【豊洲開場まで4か月】電撃合意に見え隠れする都庁内の「二重構造」?

カテゴリ:国内

  • 江東区議会は怒り心頭「都の対応にはうんざり。全く信頼できない!」
  • 小池知事は事業者である万葉倶楽部の高橋会長と会い謝罪を重ねた
  • 都庁内には「現場と知事がかい離、都の二重構造を感じる」という危機感

「信頼関係はマイナスの域だ!」

11日開催された江東区議会の清掃港湾・臨海部対策特別委員会

築地市場から江東区の豊洲市場への移転まであと4か月。

「小池知事は区議会に来て謝罪すべき」
「都の対応にはうんざりしている。全く信用できない。われわれとの信頼関係はマイナスの域だ」

11日この問題について約3時間にわたり議論した江東区議会の委員会。

区議らからは、小池知事や東京都の対応に、次々と批判の声が上がり、ついには「開場延期の決議を」という話にまで至った。
区議らの怒りの理由は、とある「集客施設」を巡って先月末に起きた“急転直下”の出来事。
江東区は観光拠点「千客万来施設」を同時に開場することを市場受け入れの条件としていたが、小池知事が去年6月に「築地市場跡地に食のテーマパークを作る」という方針を打ち出したため、事業者である万葉倶楽部は、「築地に同じような施設ができたら採算がとれなくなる」と反発。

交渉は暗礁に乗り上げ、もはや「協議打ち切り、事業断念で再再公募か」という事態にまで陥ったが、5月31日に急転直下の基本合意となった。

「気配り 心配りが足りなかった」と謝罪

その内容は「2020年の東京オリンピック・パラリンピックのあとに事業を本格着工し、それまでは暫定の集客施設を整備する」というもの。

小池知事は「非常に厳しい場面もございましたが信頼関係を築き一転して前向きな返事を頂いた」と「急転直下で合意したこと」に胸を張ったが、そのやり取りはよほどハードだったのか、タフネゴシエーターとして知られる小池知事もさすがに疲れた様子だった。

それもそのはず”電撃合意”の前日の夜、小池知事は事業者である万葉倶楽部の高橋会長と横浜のホテルであっていたという。(ちなみに都庁職員では市場担当の事務方トップである市場長が同席した)

高橋会長との会談は5月1日に続き2回目。
1回目の面会の時には「陳謝した」という小池知事に対し、高橋会長は「謝罪されてない」とこれを一蹴。

それもあってか、関係者によると30日夜の会談では冒頭から小池知事が謝罪を重ねたという。
私たち報道陣に対しても「これまで豊洲の安全性に目が行きがちだったが万葉さんへの気配り、心配りが足りなかったことに陳謝した」と強調した。

高橋会長をよく知る人物はここまで交渉が膠着した原因を「会長の感情論」 と話していて、小池知事の“本格的”謝罪で会長も溜飲が下がったのだろうか、それだけ小池知事の謝罪というのは大きな意味があったと思われる。

都知事の“隠密行動”がきな臭い

その一方で、今回の急転直下の合意を巡っては、都庁内からは小池知事に対して悲しみとも諦めともつかない声もあがった。その理由は知事の“隠密行動”にある。
「何かきな臭い」
「知事は万葉倶楽部をあきらめきれていないのでは」という雰囲気を少数の都庁幹部は感じていたそうだが、高橋会長と会うことを事前に知っていた人はさらにごくわずかだった。

そんななか複数の関係者らによると、都庁内では万葉倶楽部との「交渉を打ち切り」を前提に、法的リスクを様々なパターンでほぼシミュレーションし終えていたほか、市場の担当者はすでに江東区に対し「万葉倶楽部との交渉打ち切り」で説明・根回しにいっていたという。このため、小池知事が万葉倶楽部の高橋会長と会っていた30日夜には、「知事が交渉打ち切りで気持ちを固めた」との情報すら流れていた。

小池知事の隠密行動に、「さすが、政治家!」と称賛の声もある一方で、蚊帳の外に置かれた都庁職員らは、結果的にその“海千山千ぶり”に振り回されることなった感は否めない。

今回の小池知事の一連の対応については、冒頭に紹介した11日の江東区議会の委員会でも、「チーム東京として動いているというよりは現場サイドの積み重ねてきたものと都知事がかい離しているように思う。東京都の二重構造を感じる」との声が上がっていた。

また今回の合意を受け、6日の定例会見の延期を余儀なくされた江東区の山崎区長も記者の前で「誰だって怒るに決まっているよな」と切り出したうえで「行政の事務方がずっと積み上げてきたものが相談なくトップの判断でひっくり返るということは行政との一体感はどうなのか」と厳しく指摘した。

さまざまな思惑が絡む中、合意に至った今回の交渉。
しかし、都の職員らはこの問題の今後について、危機感に駆られた声も多く聞かれる。

「着工までの暫定利用についてはまだ全くの白紙で、どうやって賑わいを作り出すのか見えてこない。」
「万葉倶楽部から入るはずだった2年ぶんの賃料収入が入らないことで都民の負担がさらに膨らむかもしれない 」
「オリパラ後に建設費が高騰したままだと万葉倶楽部が着工しないかもしれない 。」

兎にも角にも、豊洲開場まで4か月。
不信感・危機感を抱く都庁職員らをどうハンドリングし、関係者の不満・批判にどう対処していくのか・・・
内憂外患を抱える中、「突っ込みどころ満載」(某都議)の事態の収拾に向け、小池知事の「真の」リーダーシップが問われることになる。

(取材:フジテレビ 都庁担当 小川美那)

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