朝鮮戦争終結宣言署名は有りうる。米朝国交正常化は最終ゴールだ。ー日米首脳会談におけるトランプ発言を検証する

二関吉郎
カテゴリ:ワールド

  • 7日(日本時間8日未明)、安倍首相とトランプ米大統領がホワイトハウスで会談
  • トランプ大統領は終了後の会見で、朝鮮戦争終結宣言の「可能性はある」「国交正常化も実現したい」
  • 拉致問題については「北朝鮮と議論する。絶対に」

米朝会談「準備すべきことはそんなに無い」

ホワイトハウスの大統領執務室、オーバル・オフィスで現地時間の7日正午過ぎに開催された日米首脳会談冒頭、トランプ大統領は来るべき米朝首脳会談の準備に関して、こう述べた。

「私自身が準備しなければいけないことはそんなに沢山あるとは思わない。むしろ、姿勢が大切だ。事を成し遂げようという意思の問題だ。もっとも、ずいぶん長い間、私は米朝サミットの準備をし続けている。北朝鮮側も同様だ。」
“I don’t think I have to prepare very much. It’s about attitude. It’s about willingness to get things done. But I think I’ve been preparing for this summit for a long time, as has the other side. ”

自分自身が準備すべきことはそんなに無い!?
この認識が本当だとすれば空恐ろしい。

核廃棄に関わる技術的手順など詳細のブリーフィング・ペーパーをトランプ氏は読むことさえ拒否したという報道が一部であったと記憶するが、本当なら、非常に不安にならざるを得ない。
会談後の記者説明で、ポンぺオ国務長官は以下のように述べ、火消しに躍起だった。
「これまで大統領は北朝鮮問題に関する様々な説明を受けてきた。軍事的側面・経済的側面・米朝関係の歴史などについてだ。過去数か月について言えば、ほぼ毎日、彼が知るべきことに関してブリーフィングを受けてきた。米朝首脳会談に臨むにあたって、大統領は準備万端になると私は確信している。」

その通りになることを望んでやまない。

朝鮮戦争終結「可能性ある」「国交正常化も実現したい」

会談後、ローズ・ガーデンで開かれた記者会見で
「朝鮮戦争を終結させる為の何らかの合意に12日に署名する可能性は?」と問われ、トランプ大統領は 「可能性はある。最初のステップになり得る。しかし、肝心なのはその後だ。」(We could sign an agreement. As you know, that would be a first step.It's what happens after the agreement that really is the big point.)との認識を示した。

また、冒頭発言では「北朝鮮は非核化すべきだ。しないならディールを受け入れない。制裁緩和は無い。」(They have to denuke. If they don’t denuclearize, that will not be acceptable. We cannot take sanctions off;) とも述べた。

 まさに、この”姿勢”は正しい。徹底してもらいたい。

その終戦宣言と国交正常化に関して、トランプ大統領はこう述べた。
「戦争終結宣言の合意に署名することは可能だ。我々はそれを目指している。彼らとその話をしている。
ただし、これは始まりに過ぎない。少し不思議かもしれないが、終結宣言署名はそんなに難しい話ではない。難しいのはその後だ。」

「国交正常化は?」
「国交正常化も実現したいと思っている。全てが完了した時にそうしたいと思っている。」

 交渉が順調にいけば、12日に朝鮮戦争終結が宣言され、非核化実現の暁には国交も正常化するという目標が謳われることになる。

「最大限の圧力は今も有効…今は言葉を使わないだけ」

 “最大限の圧力”についてはこう述べた。
「最大限の圧力(Maximum pressure)は今も有効である。最大限の圧力という言葉を今は使わないというだけだ。ただし、もしかすると、米朝交渉の後に、また使い始めるかもしれない。その時は交渉がうまく行かなかったことを意味する。」
「我々は更に300以上の強力な制裁項目のリストを持っている。しかし、今はその執行を控えている。何故なら、ディールは可能と信じているからだ。」

 12日の米朝交渉が首尾よく行かなくとも、その次の手段は制裁の強化ということを示唆している。
そこに早急な武力行使の示唆は無い。

ただし、同時に、トランプ大統領は「会談がうまく行けば金正恩委員長の訪米もあり得る。」「しかし、望まないが、席を蹴って出る可能性だってある。」「金正恩委員長は北朝鮮の人々と彼の家族と彼自身の為に、何かを成し遂げたいと願っていると信じている。」と述べ、硬軟織り交ぜ複雑なシグナルを送った。
12日の首脳会談に向け、今も、相手を惑わす牽制球を投げ続けている。

拉致問題「北朝鮮と議論する」

そして、拉致問題に関してトランプ大統領はこう述べた。
「安倍総理は拉致問題について多く語った。我々の会話の中で突出したテーマだったと言える。安倍総理は確固たる信念を持って熱心にたっぷりと拉致問題について話してくれた。私は彼の望みに従う。我々はこの問題を北朝鮮と議論する。絶対に。」

”he very much talked about abduction. It was preeminent in our conversations. He talked about it long and hard and passionately. And I will follow his wishes,and we will be discussion that with North Korea, absolutely. Absolutely.”

 ちょっと前の話になるが、日本政府関係者によると、拉致問題に関するトランプ大統領の理解と同情は大変深いという。アメリカの最優先事項が北朝鮮の核の脅威の除去であることは間違いないが、拉致問題解決に向けても日本を支援してくれると期待できる。

 最後に付け足す。
「シンガポールではゴルフをするか?」の問いにトランプ氏は「やりたいがしない。」
「日本は米朝サミットに参加するか?」「ノー」
「バスケのロッドマン元選手が関わることは?」「ノー」
と応えている。

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