3D拳銃は「表現の自由」の問題だ!

あの全米ライフル協会も反対だが、規制は困難?<br>

カテゴリ:暮らし

  • 映画に登場したプラスチック製の拳銃が現実のものに
  • オバマ政権時に設計図公開禁止命令 トランプ政権で和解後公開へ
  • 議論の焦点は「武器の規制」ではなく「表現の自由」

映画に登場したプラスチック製の拳銃

『ザ・シークレットサービス』というハリウッド映画があった。

クリント・イーストウッド演ずるシークレット・サービスが、大統領を狙う暗殺者とわたり合うアクション映画だが、その暗殺者が使ったのがプラスチック製の手製拳銃、いわゆる「ジップガン」だった。暗殺者は、プラスチック製の「ジップガン」をバラバラに分解して保安検査をすり抜け、大統領の演説会場に入ってから組み立てて暗殺を図るという筋書きだった。

プラスチック製の「ジップガン」は、金属探知機に感知されず、登録番号が打刻されないため特定できず、また発射された弾丸に線状痕が残らないのでどの拳銃から発射されたかわからないという、極めて危険な武器と考えられていた。

3Dプリンタで自作できる拳銃

その危険な武器が現実となり、しかも3Dプリンタで自作できる「リベレーター」という拳銃をテキサス州の団体が開発して、2013年にその設計図をインターネット上で公開した。

これに対して当時のオバマ政権は、直接取り締まる法律がないためインターネットが国際的に情報を拡散することを理由に銃火器の輸出を規制する法律を適用して公開しないよう命令した。

しかし開発した団体は合衆国憲法修正第1条の「表現の自由」を盾に政府を訴え、この訴訟を引き継いだトランプ政権の司法省は「勝ち目がない」という判断から6月末に和解し、3D拳銃の設計図が今月1日から公開されることになっていた。

安心して飛行機に乗れなくなる?

これに対して抗議の声が巻き起こったのはいうまでもない。
ワシントン州の司法長官は公開の取り消しを求める訴訟を起こし、この問題は「宙に浮いた」形になっているが、分かりずらいのは議論が武器の規制ではなく「表現の自由」をめぐって行われていることだ。

NRAホームページより

銃所有の自由を訴える全米ライフル協会(NRA)は先月31日声明を発表し、「3Dプリンタで製造された探知不能な銃は、30年前から非合法化されている」と今回は銃規制派に合流した。

これで、この問題は「銃規制の是非」ではなく、3D 拳銃の設計図は米憲法で言う「表現」に当たるのかどうかが争点になるわけだが、米国の憲法学者の間ではやはり「表現」であり公開を規制するのは難しいとする意見が多いようだ。

このままだと設計図が闇でネット上に拡散し、飛行機に乗るときには保安検査をすり抜けて「ジップガン」が持ち込まれていないか、心配のタネが増えることにもなりそうだ。

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(執筆:ジャーナリスト 木村太郎)
(イラスト:さいとうひさし)

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