【動画】“王様と私” 丸刈り頭にジャージ姿...渡辺謙の気迫 リハーサル公開&単独インタビュー

カテゴリ:ワールド

  • 「王様と私」に出演の渡辺謙さんと大沢たかおさんに単独インタビュー
  • 渡辺「仲間と一つのものを作り上げる喜び もうそろそろライトの下に立てる」
  • 大沢「何もかも初めてで大変だが、無限大の可能性があるシーンが沢山ある」

旧館の裏舞台に響く力強い歌声

ロンドン屈指の高級住宅街ハムステッド。
煉瓦のファサードが美しい瀟洒な古い建物。おそらく19世紀の建築であろう。
ウェストエンドのミュージカルのリハーサルは、こんな場所で行われるのか、と思った。

6月5日、私はミュージカルの聖地ウェストエンドでまもなく公演が始まる渡辺謙主演の名作ミュージカル「王様と私」直前リハーサルの取材に出かけた。開場後はゲストへのレセプションが開かれ、ショウビズ関係者や多くの英国プレスも集まり、一挙に華やかな雰囲気が増してくる。

そんな中、恥ずかしい話だが、私はトイレを探し建物内を迷っていた。その時、あるドアの向こうから力強い歌声が聞こえてきた。顔はみえなかったが、これは渡辺の歌声だ。
旧館の裏舞台で人知れず響く歌声に、失礼ながら私はしばし聞き入ってしまった。

殺気にも近い凄み

講堂でリハーサルが始まる。子供たち、そしてトニー賞受賞女優ケリー・オハラに続いて渡辺が駆け足で登場、ケリーの周りをくるりと回り少しおどけて見せる。

その姿に私は衝撃を受けた。丸刈り頭、グレーのジャージの上下。メイクは無い。リラックスし、人懐っこそうな笑みを浮かべてはいるのだが、殺気にも近い凄みを感じる。ステージに上がるまでの長い日々、もがきながら自らの芸を修練させていく。そういう役者の舞台裏の空気をまとった渡辺の練習着姿に圧倒されたのだ。

可愛らしい子役たちとのコミカルなシーン、劇中のシリアスな場面、そしてケリー・オハラとの「Shall we dance?」。
そこには華やかな舞台装置はない。しかし演者たちの剥き身の迫力があった。集まったショウビズ関係者やジャーナリストからは惜しみない拍手が捧げられた。

「もうそろそろライトの下に立てる」

「色々な人がキングを演じてきた。だが舞台で私が感じるのは彼が本当のキングということだ。」渡辺と共演するケリー・オハラは、リハーサル終了後に、その存在についてこう話した。

今回、渡辺と初めて共演するため渡英した大沢たかおは、「日本の先輩というより、このカンパニーの中心。こういう風に皆を引っ張るのか、こういう佇まいが必要なのか。様々な側面から見て刺激になる」と、渡辺のリーダーシップについて話した。

これまで渡辺に2回話を聞く機会があったが、彼の口からは「カンパニー」「仲間」という言葉がよく出る。イギリス、アメリカ、韓国、、、様々な国から集まった仲間と一つのものを作りあげる。その大きな旗印の役を果たす。

当の渡辺は「大沢ともケリーとも新しいロンドンチームとも皆でキャッチボールをしながら、新しいキングを作る時間を費やしてきた。もうそろそろライトの下に立てる」と今の状態を話す。

「生の人間の声は直接お客のハートに届く」

3か月を超えるほぼ毎日、一回3時間以上も舞台で演じ続ける日々がこれからやってくる。58才、渡辺の情熱はどこから来るのか。
「テクノロジーが発達し、見たことのない映像が無い時代。しかし結局はバイブレーションだ。生の人間の声、生のオーケストラが届けるバイブレーションは直接お客のハートに届く。一番、生に勝るものは無いと実感した」渡辺は舞台に立つ喜びをこう語った。

ミュージカル「王様と私」6月21日から9月末まで。
ロンドン「パラディウム」にて。

(取材&執筆:FNNロンドン支局 立石修 支局長)

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