“鉄柱よじ登り男”で電車運休…損害賠償額はいくらになるか算出してみた

とくダネ!
国内

  • 3万人に影響を与えた鉄柱“よじ登り男”に損害賠償検討
  • 過去1億円を超える賠償請求もあり、修理代や人件費などから算出
  • 今回のケースで想定される金額は?

6月2日土曜日、週末の夜という華やかな時間帯に、千葉市のJR幕張本郷駅で鉄柱にしがみつき、約2時間も居座った迷惑男。

51歳の男は、6月4日、建造物侵入の疑いで送検された。

痴漢の疑いで事情を聞かれている際に逃走し、鉄柱によじ登ったとみられる男。

青いシャツは着ているが、ズボンを身に着けていないことも話題となっていた。

男が履いていたとみられるズボンは、下の画像の矢印にあるように、電車の屋根の上にあったという。

いつズボンを脱いだのか

上記写真は、一番早く投稿されたもの写真だが、投稿された時間は午後10時3分。
この時点で、ズボンは履いていない。

また、この車両に乗り合わせた乗客に話を聞くと、男の線路内立ち入りのため、電車が緊急停止したのは「午後9時50分ごろだったと思う」と話していて、つまり、電車が緊急停止した午後9時50分から午後10時3分までの13分間の間に、ズボンを投げ捨てた可能性がある。

この日、感電の恐れから電気を止めたことで、JR総武線の東京ー千葉間で快速・普通電車合わせて31本が運休となり、運転見合わせは2時間45分、3万人の利用者に影響が及んだ。

そのためJR東日本は4日、男に対して、「請求を前提に、弁護士など専門家の意見を聴くなどして慎重に判断していく」と、損害賠償を求める検討を始めたとしている。

迷惑行為の代償は、いくらになるのだろうか。

過去に1億円を超える賠償請求額も

これまでに鉄道事業者が事故などの影響で相手に損害賠償を請求した事例を調べてみると、

1992年9月、ダンプカーが列車に衝突し、1人が死亡、67人が重軽傷を負った。
この際、電車が遅れたことに対する賠償請求額は、約1億1300万円。

1995年10月には、子供が線路に置き石をして、列車が脱線。
この場合には、約453万円が請求された。

1998年6月に、食肉センターの豚が脱走して列車と衝突した際には、食肉センターに約54万円の賠償請求額となった。

こう見ると、賠償額にはかなりばらつきがある印象だ。
それは算出方法によるものだという。

賠償請求額の算出方法は、『車両の修理代』『遅延による払い戻し金』『人件費(清掃や乗客の誘導)』『振り替え輸送費』を足すというものだ。

前述のダンプカーと列車の衝突事故では、上記画像のように、車両廃車費と車両修繕費がそれぞれ約3400万円と約3770万円となっていて、そのほかに線路や通信設備修繕費や人件費などが足されて約1億1300万円という高額な賠償請求額になった。

それでは今回のケースになると、いくらくらいの賠償請求額になるのだろうか。

賠償額は500万円以上?

今回のケースに影響を与えた人数や、止まった電車の本数などの面で似ているのが、2007年12月に認知症の男性が列車に衝突して死亡したケースだ。

運休本数は34本、2万7000人の利用者に影響を与えた。

その際、一審の賠償請求額は、振替輸送費が約534万円、人件費約185万円と、合わせて約720万円となった。
ただこのケースは最高裁まで争われ、「家族に責任はない」という判決が出ている。


幕張本郷の駅で起きた今回のケースは、500万円以上になるのではないかと新紀尾井町法律事務所の江口大和弁護士は想定する。

その理由について鉄道アナリストの川島令三さんによると、「普通電車の場合、“遅延時間”の長さは賠償額に影響しない」ことだという。賠償額に関係するのは時間ではなくどこからどこまで乗るかという“距離”、そして影響を及ぼした人数で計算されるということだ。

JRではこれまでに何度も電車が止まるようなトラブルがあるが、実際に支払えるかどうかの問題なども含め、損害賠償はそこまでしていないというのが現状だ。しかし今回のケースは悪質性を踏まえ検討を始めることになったということだ。



(『とくダネ!』ヤマサキ調べました・6月5日放送分)


とくダネ!の他の記事