京都「八ツ橋」の老舗同士が裁判…同じ“1689年創業”の老舗が語る“根拠”

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  • “1689年創業”に根拠がないとして「八ツ橋」の老舗が訴えられた
  • 実は、“1689年創業”の八ツ橋の老舗は3社あった
  • 同じ創業年の老舗に話を聞くと、意外な関係がわかった

京都を代表する和菓子「八ッ橋」の老舗メーカーが創業や由来をめぐり裁判をおこした。

訴えを起こしたのは京都市の「井筒八ッ橋本舗(以下 井筒)」で、訴えられたのは同じく京都市の「聖護院八ッ橋総本店(以下 聖護院)」だ。

双方が争っているのは創業年”の表記。
「聖護院」は創業の年として1689年(元禄2年)と表記しているが、「井筒」(創業1805年)側は、当時、八ッ橋が存在したことを示す文献はなく、創業の根拠もないとしている。
根拠の無い表示を売りにした被告の営業行為は、八ッ橋業界の信用をおとしめているなどとして、原告は表示の差し止めなどを求めている。

八ツ橋の起源について「聖護院」は、ホームページなどで、江戸中期の琴の名手「八橋検校(やつはしけんぎょう)」を称え琴に似せて作った干菓子で、現在本店がある場所で売り始めてから320年余り作り続けていると説明している。

1680年代といえば、徳川綱吉が第5代将軍になり、生類憐れみの令が制定され、八百屋お七が放火事件を起こしたような時代。
そんな大昔に、お店やお菓子があったかないかをどうやって証明するのだろうか?
と思って調べてみると、なんと1689年創業の八ツ橋の老舗は他にもあった。

“1689年創業”の八ツ橋老舗は他にもあった

京都八ツ橋商工業協同組合には、「井筒」や「聖護院」をはじめ、全部で14の八ツ橋メーカーが会員として名を連ねている。
その中で、今回の裁判とは別の老舗「本家西尾八ッ橋(以下 西尾)」と「本家八ツ橋(以下 本家)」も、ともに1689年の創業だという。

しかも「西尾」と訴えられた「聖護院」とは本店が道を挟んで隣りに建つというご近所どうし。
奇しくも同じ年に創業で何か関係ありそうだが、八ツ橋の原型に関しては、琴を模した「聖護院」と違っている。「西尾」と「本家」は橋の形を模したとしているのだ。

「本家」によれば、当時の先祖が伊勢物語に感銘を受け、舞台として登場する「三河の国の八橋」にちなんで橋の板の形を模した菓子を作ったという。

八ツ橋の起源は他にも諸説あるそうだが、ちなみに同組合会員のホームページに掲載されている解説で多数決をとるとこうなる。

「琴」説…聖護院、井筒など5社
「橋」説…本家、西尾の2社

1689年(元禄2年)創業の根拠は?

京都の老舗は“創業年”に関してどんな根拠を持っているのだろう。
今回の裁判の当事者ではないが、「本家」の担当者に話を聞くことができた。

――1689年(元禄2年)創業という根拠はあるのか?

今の社長で15代目になります。
また「西尾」とは親戚の関係でございます。
先祖を共にして、同じ歴史を歩み、今まで15代続いているということでございます。

――同年創業の「聖護院」とは全く関係ないのか?

狭い地域なので昔はいろいろあったみたいですけど、現在は全く別です。


「西尾」と「本家」は親戚関係で、今回、「井筒」が訴えているのは同じ創業年でも「聖護院」だけ。
「本家」に話を伺っても、「井筒」側から特に何か言われたことはないそうだ。

八ッ橋の老舗同士の“創業年”をめぐる争い。
「聖護院」側は、今回の訴えについては「お答えしようがございません」とコメントしている。