広瀬香美 独立騒動で芸名使用に待った! そもそも芸名って誰のもの?

FNN.jp編集部
国内

  • 広瀬香美さんの独立騒動で注目を集める“芸名”
  • 原則、特殊な名称でない限り著作権等の知的財産権は発生しない
  • 弁護士「裁判になっても、広瀬さんはそのまま使用できるのではないか」

事務所移籍を突然、SNSで発表したことで注目を集めた広瀬香美さんの独立騒動。これに対して、前所属事務所オフィスサーティーは一方的だとして、“広瀬香美”名義での活動自粛を求める声明を発表するなど話題となっている。

芸名をめぐっては、過去にも女優やタレントが事務所を移籍した際、使用禁止を求められて世間を賑わせたことがある。

そもそも、本来、芸名は誰のものなのだろうか? レイ法律事務所の松田有加弁護士に話を聞いた。

原則、特殊な名称でない限り、芸名に知的財産権は発生しない

ーーそもそも芸名って何?どんなメリットがあるの?

有名人が芸名をつけて活動をする理由は主に2つあると考えています。
1つ目は、自分の個人情報を開示しないですむこと、2つ目は、タレントの活動方針やキャラクターにあった芸名を自由につけることによって、よりたくさんの人に認知してもらい、人気を高めることができることです。

1つ目の点は、本名が開示され、住所等が明らかになることによって、場合によっては身の危険まで生じる可能性があるため、有名人にとっては非常に重要な視点といえます。


ーーこの芸名って原則、誰かに法的権利はあるの?

原則として、よほど特殊な名称でない限り、芸名に著作権等の知的財産権は発生しないと考えています。

ただし、芸能契約等、芸能業界で芸能人が芸能事務所と締結する契約は、芸能事務所側に極めて有利な規定がおかれていることが見受けられます。
最近では芸能事務所が、「芸能人が移籍独立する場合、芸名の継続使用を認めない」との契約をし、あたかも芸能事務所が芸名の権利を有しているかのような事実上の状態になっていることが、芸能人の転籍・就職する自由を不当に制限するものではないかと社会問題にもなっています。

公正取引委員会の有識者会議は2月、芸能界における独禁法違反の問題についての報告書をまとめていますが、この際に行われたヒアリングにおいて、業界関係者からは芸名の使用制限を問題視する意見も出されています。これも現在の社会問題に対応するもので、時代の流れとしては政策としても優先順位が高いことの現れだといえるでしょう。

将来を見据えて、タレント自身が芸名を守ることも重要

ーー例えば、芸名が商標登録されていたらどうなる?

仮に商標登録されている場合には、当然、芸名にも商標権が生じることになります。商標は原則としては先に出願した人や法人に権利が帰属しますので、紛争を防止する意味では早期に申請をした方が無難ということになるでしょう。

もっとも、商標法の第4条第1項第8号には、本人の同意がない限り、他人の氏名・名称や有名な芸名を商標登録することは認められないということが規定されています。実際に、今回の「広瀬香美」という商標は登録されていないようですので、事務所に芸名についての商標権は生じていないと考えられます。

なお、仮に、赤の他人に勝手に芸名を商標登録された場合は、ケースバイケースで争う方法はありえますので専門家に相談することをお勧めします。


ーー今後は将来を見据えて、タレントが自身の芸名を守ることは必要?

芸能人にとって芸名はマーケティングや自己の活動の方針にとって非常に重要な商売道具であり、かつ、人気が出てくると価値が急上昇する性質をもっています。ですので、芸名についての権利を法的に保護することは芸能人の活動として非常に重要です。

まずは、芸能事務所等の契約書を読まずに、理解せずにサインやハンコを押すのをやめるべきです。契約書は原則として中に書いてあることがそのまま権利や義務になります。

特に芸名に関する記載についてはかなり注意して読み、分からなければ専門家の意見なしに締結することはやめないといけません。

広瀬さんのケースは、そのまま使用できる可能性が大きい

ーー今回の広瀬さんの芸名は、裁判になってもそのまま使用できる可能性は?

裁判になっても、広瀬さんは芸名をそのまま使用できるのはないかと考えています。広瀬さんには、広瀬さんの音楽人生があり、事務所から離れ独立した環境で新しい広瀬香美をファンに届ける自由があります。

これを、「芸名を使用させない」といった手段を用いて引き止めることは、事務所と芸能人のパワーバランスを用いた不当な手段であり、合理性はないものと考えられるからです。

松田有加弁護士

今回の独立騒動について、4日、広瀬香美さんの代理人が見解を発表し、
「オフィスサーティーおよび同社代理人弁護士に対し、アーティスト活動に関する一切の契約を解除する旨の通知を送付した上で独立するに至った次第で、事前の相談もなく一方的な『独立宣言』を発表したとの事実はございません。」と一方的な独立ではないと反論。
主張は真っ向から対立しているが、双方とも話し合う意思は表示しているという。