俺と接着しよっか…アロンアルフアの攻めまくった動画が話題

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  • アロンアルフアのPR動画がTwitterなどで話題
  • 若年層の認知率低下に危機感を抱き、若者の心に響く動画を作ろうと考えた
  • 担当者「振り切った内容のため、このまま進めていいのか本当に迷った」

再生回数200万回超えのPR動画『君に、くっつけ!』

接着剤の「アロンアルフア」で知られる東亞合成が、「キスの日」である5月23日に公開したプロモーション動画『君に、くっつけ!』が再生回数200万回を超えるなど話題となっている。

動画の主人公は、プラモデルとアロンアルフアが友達の女子高生、今直筑乃(いますぐ・つくの)。
いつものように教室でプラモ作りに没頭していると、学校一のモテ男、九津剛(くっつ・つよし)が話しかけてきて、この2人が、ファーストキスをきっかけに、くっついていくというラブストーリー。

キスを「接着」と表記するだけでなく、「羽賀志太郎(はがし・たろう)」といった接着剤を意識した登場人物のネーミング、「アロンアルフア波全開」「仮止め女」「そんなに簡単に剥がせない」といった接着剤に絡めた造語にインパクトがあり、大きな反響を呼んでいる。

たとえば、Twitter上では
「本当にくだらなさすぎて笑える」
「こういう悪ノリ好き」
「企業の本気、久々に見た」

といった感想が書き込まれている。

なぜ今、このような攻めた動画を作ろうと思ったのか?また、動画を制作するにあたってどのような苦労があったのか?
東亞合成の担当者に話を聞いた。

若年層の認知率低下に危機感。若者の心に響く動画を作ろうと考えた

――なぜ今、このような攻めた動画を作ろうと思った?

アロンアルフアはTVCMによる圧倒的な認知とそこから得られるブランドへの信頼性に支えられてきた商品です。
そのなかで、近年、とくに20代以下の若年層の認知率が落ちていることに危機感を抱いております。

メインユーザーである40代以上の方は、「昔から家にあった、昔から知っている」「昔見たTVCMが衝撃だった」などの理由でアロンアルフアに愛着を持っていただいている方が多くいらっしゃいます。

そのため、アロンアルフアに対するロイヤリティを高めるためには、若いうちから商品認知してもらうことが重要であると考えています。

そこで、これまでアロンアルフアの知名度を上げてきた「インパクトがある実証実験CM」という枠組みに拘らず、とにかく“若者の心に響く”動画を自由な発想で作ろうと考えたことがきっかけです。

その結果、企業広告として攻めた動画になりました。

SNS上で「アロンアルフア」は永遠の友情・愛情を誓うフレーズ

――アニメ部分のぶっ飛んだストーリーはどうやって考えた?

まず、「アロンアルフア=(物理的な強力接着だけでなく)情緒的なつながりも強力接着する」というストーリーを描こうと考えました。

それは、インスタグラムなどで、高校生や大学生が永遠の友情・愛情を誓うフレーズとして「#アロンアルファ(※残念ながら「フア」ではなく「ファ」ですが)」と投稿していることを確認していて、この発想を活かせばアロンアルフアというブランドを若年層に身近に感じてもらえるのではないかと考えたからです。

アニメ部分の“ぶっ飛んだストーリー”に関しては、動画が商品広告である以上、アロンアルフアの「瞬間」「強力」という特長が理解できるようにしたいという思いがありました。

当初、広告色を抑えて純粋なラブストーリーとした方が若者から共感を得やすいとの意見もありましたが、商品特長を伝える事(とくに接着させるシーンを入れること)を重視しました。

また、せっかく新しいコンセプトの動画を制作するのなら、中途半端はダメで、徹底して若者目線でのCM作りをしようと決心していました。

そういった思いの過程はたくさんありましたが、とにかく、「アロンアルフア」が徹底的に「ウケる!」「くだらない!」と思われることを意識し続けたことで、少しやりすぎたかなと思える程の企画が生まれました。

アロンアルフアには恋愛に通じる用語がたくさんある

――「アロンアルフア波全開」などの造語を考えるのは大変だったのでは?

造語を考える過程で、アロンアルフアには「接着」「強力」「瞬間」「速くくっつく」「剥がれる」など恋愛に通じる用語がたくさんあることに気づきました。

またSNSでは「接着剤だけにノリがいい」などのギャグっぽい投稿もたくさん発見し、ギャグっぽさを接着剤用語と組み合わせることは面白いのかもしれないと考えました。
その結果、造語そのものはどんどんアイディアが生み出されていきました。

このような言葉をきっかけに、アロンアルフア=情緒的なつながりを応援するというイメージをつくることができればと考えています。

――造語の一番の自信作は?

一番を決めるのはなかなかむずかしいですが、「仮止め女」という造語は、アロンアルフアが日曜大工の仮止めにもつかえるという活用方法を基にしており、SNSでもみなさんからたくさん反応を頂いた部分でもあります。

「このまま進めていいのか」…本当に迷った

――動画を制作するにあたって、とくに苦労した点は?

弊社として振り切ったアイディアを採用したことです。

「このまま進めてよいのか?」本当に迷いましたが、「新しいことにどんどんチャレンジしよう」という会社の方針を良いように(都合よく)解釈し割り切って進めることで、会社の理解も得ることが出来ました。

また、動画内容においては、商品情報とストーリーの融合のバランスです。

入れないと商品のことが伝わらず、入れすぎるとそっぽを向かれるので、どのような形で表現していくかは何度も検証しました。
中途半端に商品情報を入れると、逆によくある広告っぽくなってしまうため「良い違和感」を心がけて、メリハリをつけるように工夫しています。


――動画のなかでとくに注目してほしいところは?

クリエイティブの視点においては、ストーリーの中に隠し小ネタをたくさんいれているところです。

「109のようなビルの名前が929(くっつく)」「トラックのナンバープレートの数字が”東亞 はやく つよく つく”になっている」「学校名が東亞合成高等学校」「瞬華のピアスが東亞合成の”亞”」「羽賀志くんのかけているメガネのブランド名がAronalpha」「筑乃の持っている教科書が新現代接着A」などSNSでもいくつか発見されていますが、まだすべてではありません。

遊園地で隠しキャラクターを見つける感覚で、楽しんでもらえればうれしいです。
また、最後の実写部分での俳優さんの演技にも注目していただきたいです。

最後に実写が出てくる理由

――その実写部分に関して。実写部分を最後まで見ると、アニメ部分は「アラフォー男性社員の妄想」と分かる。この演出の意図は?

アニメ部分だけで完結してしまうと、ただ企業が言いたいことだけを盛り込んだ強引な広告になってしまいかねないと考えました。

そこで「アニメ部分の展開が強引であることや、そもそもアロンアルフアに興味をもっていただくことはなかなか難しいということは企業側も自覚していますよ」ということを伝えるために、このパートが存在しています。

アニメと実写の融合という事もあり、弊社としてもかなり振り切った動画になりました。

こうなったら行くところまで行こうと思い、採用したアイディアなのですが、アニメ部分で物足りないと感じられた方にも「くだらない!」「ウケる!」という感覚を持ってもらいたいとの狙いもありました。



東亞合成の担当者は、動画のぶっ飛んだ内容とは対照的に、とても真摯に答えてくれた。制作の過程で葛藤もあったというが、しっかり若者の心に響いたことは確かで、そのつながりをこのまま強力接着できるか見守りたい。