国会で「お経」読む?新人記者びっくり!おかしな永田町語

カテゴリ:国内

  • 新人のナゾ1.国会にお坊さん?「お経読み」 
  • 新人のナゾ2.居眠り厳禁では? 国会で「寝る」
  • 新人のナゾ3.バットを握らない「バッター表」


朝の情報番組のディレクターから、この4月、突然「政治部」への異動を命じられた新人記者の私。

心機一転、慣れないスーツを着て国会や首相官邸のある「永田町」に通勤しています。

そんな“ひよっ子記者”の私が直面したのは驚くべき言葉の壁でした。

国会でお経を読むの?「お経読み」という俗語の意味とは

朝の情報番組から政治部に異動した新人記者



先輩記者「おいおい、TPP法案のお経読みっていつだ?」
新人記者「えっ 国会にお坊さん来るんですか?」


皆さんは「お経読み」ってどんな意味か分かるでしょうか?

歴史ある国会議事堂には“魔物”が住んでいて、それを振り払うためにお経が読まれる…そんなファンタジーではもちろんありません。

お経を読み、成仏を祈る僧侶

「お経読み」とはその“声の特徴”をなぞらえた永田町の俗語です。

立法府である国会では、法律を作るためにその原案である、法律案=法案が提案されます。

その際、まず初めに法案提出の責任者(政府提出の法案であれば担当大臣)がその法案を提案する理由を読み上げる必要があるんです。これを趣旨説明といいます。

でも、その様子を眺めていると何かがヘン?…そうなんです。大臣は膨大な文書に目を落としながらひたすら読み上げます。

あらかじめ用意された文書の様子、それを抑揚がない感じで読み上げる姿、その一本調子の朗読を、僧侶の読経になぞらえたものなのだそうです

5月8日には、環太平洋経済連携協定(TPP)の発効に必要な関連法案の審議が衆院本会議で始まり、茂木敏充経済再生相が法案の趣旨説明­=「お経読み」を行いました。

茂木大臣のお経読み


「お経読み」の本当の意味を踏まえ、先ほどの私と先輩記者との会話を正しくすると…

先輩記者「おいおい、TPP法案のお経読みっていつだ?」
新人記者「取材の感じだと来週火曜日にはお経読みするそうです」


と返せればスムーズな会話になります。考えてみると、ちょっぴりおかしな会話ですね。

永田町にはこれ以外にも、この界隈でしか通用しない言葉があるんです。続いてはこちら。

居眠り厳禁!?国会で使われる俗語「寝る」の意味とは


先輩記者A「やっと野党が起きてきたな~」
先輩記者B「そうですね。18日間も寝てましたもんね」

新人記者「そんな長い間寝てたら死んじゃいますよ!(笑)」
先輩A・B「…言葉には気を付けて(汗)」


またしてもかみ合わない私と先輩記者との会話。

国会で「寝る」というから、居眠りでもしているのか?と思ったんですが…


国会では、野党側が与党の対応に反発した際に、審議に全く応じない=委員会などに出席しないことが、たびたびおきます。

野党が審議拒否する状態を永田町では「寝る」と言い、逆に、審議を拒否していた野党が、復帰することを「起きる」と言います。

この「寝る」ことは、今の国会でも4月末に起きました。

4月20日、財務省の文書改ざんやセクハラ問題、加計学園問題を追及する野党6党は、麻生財務大臣の辞任や柳瀬元首相秘書官の証人喚問などを求め、国会審議への出席を拒否しました。

つまり「寝た」ということです。野党側が「寝ていた」期間は18日間。

5月8日になって与野党は、柳瀬氏の参考人招致を行うことで合意し国会が正常化、野党は審議に復帰しました。野党が「起きた」わけです。


そして、私の取材はこう進化したのです!

新人記者「また野党が審議拒否ってあり得ますかね?」
与党議員「寝るってことはないと思っているよ」


言葉の意味が分かったので、その後スムーズに取材を続けられました。

冒頭の「寝すぎて死んじゃいますよ」なんて、本当の意味を知ったらとても言えません。

しかし、最初から寝かさないように真摯に向き合い調整するのも与党の仕事であり、責任なのではないかと思います。

一方で、議論をしてこその国会。寝ることが仕事だったらどんなに楽な仕事だろうか、と野党をうらめしく思うばかりです。

バッターが続々と…国会で野球?

そして、こんな連絡に戸惑ったエピソードを。

「明日のバッター表をお送りします」

まさか国会で野球をするのか!?、実は「バッター表」とは本会議や委員会において質問に立つ人の名前が一覧になった表のことを指す言葉なんです。

国会での「バッター表」 打席には国会議員の名が


与野党の議員が次々に質問席に立つことを、野球のバッターが次々に「打席」に立つことになぞらえた言葉として使われています。

質問する議員にとって「質問席」は、それこそ勝負の場なのでしょう。国会開会中は日々「バッター表」が各所に送られ、与野党関係者や記者は、どの質問者の質疑が注目か、表とにらめっこすることになります。

重要法案は荷崩れせずに通過するのか…


さらに、今、働き方改革関連法案が衆議院を通過し、カジノを含む統合型リゾート=IRの実施法案も今後衆議院で採決される見通しですが、野党側は強く反対しています。

もし、与党が強行採決をして混乱が生じたり、野党が審議拒否したりする中で、法案が衆議院を通過して参議院に送られたら、その様を「荷崩れ」と言うそうです。

法案を衆議院から参議院に送る際に、安定した状態で送られなかったという意味です。

国会の会期延長が検討される中、与党は果たして「荷崩れ」を起こさず、参議院に重要法案を送ることはできるのでしょうか?

奥が深い永田町界隈の俗語…この他にもまだまだありそうです。今後も私が出会った不思議な永田町語をお伝えして参ります。


(政治部新人記者 官邸担当 杉山和希)

 

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