ボスを売れば自分の罪は軽減!? 日本版「司法取引」がスタート!

小杉基
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  • 6月1日から日本版「司法取引」がスタート 正式名称は「協議・合意制度」
  • 事件の全容を解明しやすく、黒幕や経営トップの関与まであぶり出すことが期待できる
  • 一方でウソの証言や供述によって冤罪を生む危険性も指摘される

司法取引ってどんな制度?

本日6月1日から始まる日本版司法取引。
アメリカのドラマなどで「司法取引」という言葉を聞いたことがあるかもしれないが、一般的にはあんまりなじみのない言葉だ。

正式名称は「協議・合意制度」。
逮捕された容疑者や被告の「実はボスはアイツです」というような供述や、証拠の提供によって共犯者らの犯罪を明かした場合に、見返りとして検察官が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりする仕組みのことだ。

主な対象事件となるのは以下の通りだ。
振り込め詐欺など組織犯罪処罰法の犯罪、贈収賄・詐欺・横領など刑法の経済犯罪、独占禁止法・金融商品取引法などの経済犯罪、薬物銃器犯罪、などと幅広く定められている。

一方で被害者らの感情に配慮し、殺人や性犯罪などは対象外となっている。

司法取引導入の背景 どんなメリットが?

司法取引を導入する一番のメリットとして挙げられるのは事件の全容を解明しやすくなることだ。
例えば贈収賄事件など、確実な証拠が得にくい場合、自供に頼らない立証手段としても期待され黒幕や経営トップの関与まであぶり出すことが容易になるかもしれない。

また、振り込め詐欺事件で、金を受け取る役割の「受け子」の摘発で終わるのではなく、受け子と司法取引をして、供述から首謀者を明らかにし、組織を丸裸にする・・・というような全容解明も期待される。

一方で冤罪を生みだすリスクも

しかし、懸念もある。
ウソの証言や供述によって、冤罪を生んでしまう危険性だ。
例えば、その犯罪と全く関係ない人について「あいつが首謀者だ」「あの人の指示でやったんだ」などというウソの証言をされ、無実の人が罪に問われてしまう可能性も否定できない。

冤罪を生み出さないために・・・

供述や証拠の信用性を担保するため、日本版司法取引ではウソの供述をした場合、懲役5年以下の罰則規定を設け、協議には必ず容疑者の弁護人が立ち会うと定められている。
捜査機関はこれまで以上に、他人の犯罪を明らかにする容疑者の真意を見極めなくてはならない。

ある捜査関係者は、「確かに、供述の真意を確かめなくてはならない。しかし、以前から供述の信ぴょう性のチェック、供述の裏を取るという確認はしっかり行っていたので、そこまで神経質にはなっていない」と語る。

一方、司法取引に基づいた供述であることは検察の捜査段階では明らかにされず、法廷で初めて明らかになる。従って、冤罪を防ぐためには裁判所の役割も今まで以上に重要になってくる。

司法取引がどのように使われるのか、適切に運用されるのか、注目していきたい。

(執筆:フジテレビ社会部 司法担当 小杉基)