米戦略核兵器部隊が今だから見せたいE-6B戦略核ミサイル発射指揮機。でも、誰に?

能勢伸之
カテゴリ:ワールド

  • 観客が撮影したB-2A戦略爆撃機を米空軍地球規模打撃軍団がリツイート
  • 米戦略核ミサイル発射指揮機E-6Bと大統領が米全軍を指揮するE-4B 
  • 6月12日まで二週間。世界最強といわれるF-22A、嘉手納展開

インディ500レースでB-2Aがフライバイ

5月27日、日本から佐藤琢磨選手が参加するので、注目される米自動車レース「インディ500」が開幕した。米インディアナ州の500マイル(約800㎞)のコースを200周するという過酷なレース。

レースのスタートにあたって、恒例により、米軍機のフライバイ(上空通過)が行われたが、2016年のF/A-18戦闘攻撃機、2017年のB-52H戦略爆撃機に続く、2018年のフライバイ機種は、B-2Aステルス戦略爆撃機であった。

B-2A戦略爆撃機

会場や周辺で撮影された映像や画像は、様々な形でSNSに投稿されたが、興味深いのは、米戦略爆撃機や大陸間弾道ミサイルを管轄する米空軍のグローバル・ストライク・コマンド(地球規模打撃軍団)がリツイートしていた点。

戦略核兵器をも扱うグローバル・ストライク・コマンドは、全米で著名なインディ500に、配下の戦略爆撃機が参加したことを示したかったのか、それとも、インディ500にかこつけて、配下の核兵器搭載可能な戦略爆撃機B-2Aの存在を画像や映像をツイート画像を通じて、広く、世界に存在を誇示したかったのか不明だが、興味深いことではあった。

隊員の記録樹立にかこつけ、米戦略核ミサイル発射指揮機E-6Bの画像公開

米戦略コマンドは、400回もの警報通達を経験、成功させたヴ―ヴィエ大尉が5月21日に記録更新したことを、5月29日付で発表した。
ヴ―ヴィエ大尉は、2016年10月に、第625戦略作戦飛行隊の空中発射制御システム情報担当官兼打撃計画官に赴任。2年に満たず、米国への戦略攻撃に対応する警告対応の記録を打ち立てたことになる。

興味深いのは、ヴ―ヴィエ大尉とその上司、同僚の背景にE-6Bマーキュリー空中指揮所E-4Bナイトウオッチ国家空中作戦センターが写っていたことだ。

E-6Bマーキュリー空中指揮所
E-4Bナイトウオッチ国家空中作戦センター

E-4Bは、有事の際に米大統領が、戦略核部隊を含め、全世界の米軍を指揮するために搭乗する特別な航空機。機体の上には、通信衛星と連絡をとるためのパラボラアンテナが入った出っ張りが目立つ。

また、E-6Bは、飛びながら、後ろに7.6kmものアンテナを繰り出し、海中に潜む戦略弾道ミサイル原潜に、戦略弾道ミサイルの発射指令を伝えたり、地上の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射指揮制御装置(=ALCS)で、発射指令を行う航空機だ。

E-4BもE-6Bも、それ自体は、核兵器どころか、ミサイルや機関砲で武装しているわけでない。
だが、トランプ米大統領が「我々の核の能力は、巨大で強力で、使わないで済みことを神に祈っている」(金正恩委員長宛書簡、5月24日付)と書いた、米国の核戦力は、これらの航空機を通じて、その威力が発揮されることは間違いない。
言い換えれば、E-4BやE-6Bといった航空機の陰にこそ、米戦略核戦力があるのだ。

米軍の戦略核戦力に関わる装備の映像・画像が立て続けに、米軍の公式SNSなどで公表されたのはなぜだろうか。勿論、偶然かもしれないが、米朝首脳会談の予定日と言われる6月12日まで、2週間を切った現状では、誰を意識したものなのか、気に掛かることである。

嘉手納に展開した世界最強戦闘機F-22Aが睨むもの

5月30日、沖縄県・嘉手納基地には、世界最強をうたわれるF-22Aステルス戦闘機ラプター10機が展開した。
期間限定のローテーション展開だが、機数はさらに追加される見通しであり、6月12日段階では、日本周辺に睨みを利かせていることになりそうだ。

F-22Aステルス戦闘機(撮影:久場悟氏)

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