【米朝首脳会談】空飛ぶ「機密通信機」飛来と、空母ロナルド・レーガン出港

カテゴリ:話題

  • 横田に飛来した米空軍C-32A要人輸送機「エアフォース・ツー」
  • 北朝鮮は、米韓合同演習中止を要求。米は核弾頭の国外搬出を要求か
  • 空母ロナルド・レーガン打撃群は、どこへ向かう

横田にC-32A要人輸送機「エアフォース・ツー」飛来

5月28日、横田基地に軍用機らしからぬ、白と水色を基調にした明るい色調の米空軍の要人輸送機C-32Aが着陸したのをインターネット番組「週刊安全保障」の視聴者、SPAR65氏が確認した。

米空軍の要人輸送機C-32A(SPAR65さん撮影)

C-32Aは、しばしば、米副大統領の移動にも使用され、要人輸送機VC-25が大統領搭乗時に「エアフォース・ワン」と呼ばれるのに倣い、副大統領の搭乗時には、正式に「エアフォース・ツー」と呼ばれる。
ボーイング757型旅客機を改造して作られた機体は、機密性の高い通信環境を確保するためか、よく見ると、胴体の上下に、形状も大きさも様々なアンテナが並んでいる。

米朝首脳会談に向けての接触・調整が米朝間で進んでいると言われる中での空飛ぶ機密通信拠点機の飛来。C-32Aは、給油を行い、わずか数時間の横田滞在で離陸した。

韓国の聯合ニュースによれば、北朝鮮の金正恩委員長の「執事」とも呼ばれるキム・チャンソン国務委員会部長と米国のヘイギン大統領次席補佐官が29日中にシンガポールで会い、首脳会談の具体的な開催日程や場所、警護など実務面を協議することになっていたという。
横田に飛来したC-32Aには、ペンス副大統領が乗っているわけはなく、従って、正式には「エアフォース・ツー」ではなかったが、へイギン次席補佐官は、通信の機密保持のため、C-32Aを移動手段に選んだのかもしれない。

“金委員長の執事”キム・チャンソン国務委員会部長

北「米韓演習中止を」米「核弾頭と弾道ミサイルの国外搬出を」

翌29日、北朝鮮の朝鮮中央通信は、労働党機関紙の労働新聞が「現時期、(米韓)合同軍事演習問題は米国が平和を願うか、でなければ戦争を追求するのかを見せる試金石となる。世人は、米国が合同軍事演習を固執するのは朝鮮半島情勢が緩和されることを願わず、朝鮮と和解することに興味を持っていないからだと評している。米国が会談を心から願うなら、相手を力で威嚇、恐喝する行為をしてはならない。」として、米韓合同演習の中止を求める論評を掲載した、と報道した。

北朝鮮が問題視しているのは、米韓合同指揮所演習の「乙支フリーダムガーディアン」と見られている。

これに対し、韓国・国防部は「まだ韓米間で協議が行われていない」として、「防御的な定例演習で、現在としては特別な変更なく(例年通りに)行うと承知している」と述べ、中止要求を排除したという(韓国・聯合通信 5月29日)。

では、米国はどのように対応するのか。韓国のメディアでは、米朝首脳会談に向かい、米国側は、北朝鮮の核弾頭や一部の弾道ミサイルの国外搬出等、厳しい要求を突きつけるとも報じられている。そして、興味深いのが、米軍の態勢である。

米空母ロナルド・レーガン(CVN-76)

米朝首脳会談まで約2週間のタイミングで空母ロナルド・レーガン出港

29日午前10時頃、神奈川県の米海軍・横須賀基地からは、前日、地元自治体に通知した通り、全長333m、満載排水量10万トン以上の空母ロナルド・レーガンが、タグボートに押されるようにして横須賀基地をあとにした。

出港後、米海軍第七艦隊は、今回の出港が、定例の西太平洋パトロールであることを発表。また、興味深いのは、随伴艦にはイージス駆逐艦マスティンイージス巡洋艦アンティータム、同チャンセラーズビルも「含まれる」とした。

今後、他にも随伴艦が増える可能性があるが、これら3隻の垂直ミサイル発射機は、合計で、300発近いことになる。この3隻のイージス艦には、弾道ミサイル防衛能力はない。

イージス巡洋艦「チャンセラーズビル」

3隻の中でチャンセラーズビルは、巡航ミサイル防衛「NIFC-CA」の試験艦であったこともあり、巡航ミサイル防衛用のSM-6を搭載している可能性があるかもしれないが、アンティータム含め、3隻で約300発分の垂直ミサイル発射装置に、対航空機用の迎撃ミサイルSM-2ESSMの他に、射程1600㎞級のトマホーク・ブロックIV TLAM-E地上攻撃用巡航ミサイルが、搭載されていても不思議ではない。

敵地を直接、精緻に叩くトマホーク・ブロックIV TLAM-Eを空母ロナルド・レーガンの打撃群が何発、搭載しているかは、日本の周辺国にとっても気に掛かることかもしれない。

F/A-18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機(上)、EA-18G電子攻撃機(下)、E-2Dアドバンスド・ホークアイ早期警戒機(右)

山口県・岩国基地に配備されている空母ロナルド・レーガンの艦載機、F/A-18E/Fスーパーホーネット戦闘攻撃機EA-18G電子攻撃機E-2Dアドバンスド・ホークアイ早期警戒機等のパイロットの空母着艦資格訓練が5月30日から始まり、終了後、ロナルド・レーガンとその艦隊は、パトロールを開始することになる。
空母着艦資格訓練は、焦点の6月12日までに余裕で間に合うだろう。

先に横須賀を出港していたアンティータムについて、米第7艦隊は、5月21日付けで日本海で活動しているとの画像を公開し、28日付で、南シナ海で活動していたことを示す画像を公開している。空母ロナルド・レーガンの艦隊(空母打撃群)が、艦載機の搭載後、南シナ海へ向かうのか、他に向かうのかは不詳だ。

首脳会談の予定日とされた6月12日まで、約2週間となった段階での空母ロナルド・レーガン打撃群の行動開始であり、米朝首脳会談及び、それに向かっての北朝鮮の出方。そして、北朝鮮の出方に対して、空母ロナルド・レーガンをはじめとするアメリカ軍がどんな動きをし、それに対して、周辺国はどのように動くのか。
南シナ海の件もあり、様々な問題が複雑な絡みをみせることになりそうだ。

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