北の“瀬取り”に関与濃厚も・・・まるで隠ぺい?韓国政府の態度 石油の洋上密輸の実態

カテゴリ:国内

  • 石油の輸出制限で金体制は窮地。ミサイルや化学兵器も使用不能に!?
  • 韓国船が瀬取りに関与濃厚・・・しかし南北融和を進めたい韓国は「確認できず」。
  • 幽霊船も存在。北の完全非核化まで、一致団結した取り組みを

北朝鮮の完全な非核化を実現するためには、洋上で船から船へと積み荷を移す「瀬取り」による石油の入手を徹底的に規制することが有効である。

朝鮮人民軍の訓練もままならず・・・“燃料調達”が金正恩体制存続のカギ

国連安全保障理事会は、北朝鮮の度重なる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に対し制裁措置を実施している。

昨年12月の国連安保理決議により、原油及び石油精製品の輸入が厳しく制限されている。
原油は、年間400万バレルもしくは52万5000トンまでに制限されている。
また、ガソリンや灯油などの石油精製品は、年間50万バレル(約7万9500キロリットル)までと厳しく、北朝鮮の輸入量は前年の1割程度となる。

この石油類の総量は、日本の使う石油の量の1日分を少し上回る程度だ。これでは、国内の物流も立ち行かない。

ましてや、軍隊を維持することなど不可能だ。
朝鮮人民軍が保持すると推定される約3500両の戦闘戦車、約90隻の潜水艦、約80機の爆撃機などの主力戦闘兵器を動かすことは不可能だ。
120万人といわれる朝鮮人民軍の移動もできず、訓練もままならない状態のようだ。
他国を威嚇するミサイルや化学兵器さえ使用不能となるだろう。

燃料の調達が金正恩体制の存続の鍵を握ることになる。

瀬取りを行った疑いが強いモルディブ船籍タンカー(2月24日撮影)

防衛省の東シナ海の警戒態勢は、一定の成果を見せている。

防衛省は、中国の領海侵入などに備え警戒任務を強化してきたが、北朝鮮タンカーによる石油の不正取得の抑止にも効果を発揮している。
陸、海、空、3部門の自衛隊の統合体制により、今年に入り既に5件の北朝鮮船の瀬取りによる石油取引を確認している。

韓国船が瀬取りに関与!? 融和を推し進めたい韓国政府は・・・

北朝鮮のタンカーと船籍不明の小型船(2月16日撮影)

5月3日、東シナ海上海東方沖の洋上において韓国船籍と見られるタンカーが、北朝鮮船籍のタンカーに船体を横付けしているのを、海上自衛隊の艦艇が確認した。
国連安全保障理事会の決議において、北朝鮮への石油の輸出が厳しく制限されていることから、北朝鮮タンカーの洋上での荷の受け渡しは違法取引の可能性が強い。
韓国の船舶が違法な瀬取りに関与した疑いが持たれたのは初めてである。

海上自衛隊の撮影した映像では、韓国船籍らしきタンカーが離れた後も船が沈み込んでいないことから、瀬取りによる不正な取引は未遂に終わったようである。
海自による警戒活動が、北朝鮮へ不正に石油が運び込まれることを阻止したのだ。

同月13日、日本国政府は、慎重に調査の上、韓国政府に対し事実確認を要求した。
洋上で2隻が接弦するのは明らかに不自然な行動であるが、韓国からは「違法取引の事実は確認できない」との返答であった。
韓国では、4月27日に行われた第3回南北首脳会談以降、北朝鮮の行動を容認する風潮が高まっている。

未遂といえども、北朝鮮に手を貸す韓国籍船の国際法違反を隠ぺいするかのような韓国政府の態度である。

世界が“北”の瀬取りを警戒 アメリカは独自制裁も

北朝鮮の瀬取りに懸念を表明

しかし、諸外国は平和の実現のため、北朝鮮の瀬取りに対し警戒態勢を強化している。

4月28日以降、カナダ、オーストラリアの空軍機が在日米軍の嘉手納基地を拠点として、瀬取りへの警戒監視活動を行っている。
英国は、5月上旬から日本周辺海域に海軍フリゲート艦を派遣し、情報収集活動にあたっている。

米国は、独自に北朝鮮の瀬取りに関わっている疑いのある海運会社27社、船舶28隻と個人1人を制裁対象とし、北朝鮮に関わる海上輸送を制御する施策を打ち出している。

北の制裁逃れを許さない姿勢を表明(5月19日)

さらに5月18日、19日、福島県いわき市において「第8回太平洋・島サミット」が開催された。
このサミットには、日本を始めオーストラリア、ニュージーランドやパラオ、フィジーなど太平洋の17カ国の島国の首脳が参加し、太平洋島しょ地域の安定と繁栄が議論された。
参加した島しょ国の中には、中国からの支援を受けている国も多く、他国の海洋進出に干渉しない風潮がある。

しかし、セミナーの成果として公表された首脳宣言では、北朝鮮の瀬取りを含む制裁回避戦術に対する懸念が表明され、自国が旗国(=船舶の登録国)となっている北朝鮮関係船の船舶登録の抹消を含めた国連安保理決議に従った取り組みを加速することで一致している。

世界は、瀬取りを許さないのだ。

中には「幽霊船」も・・・瀬取りを行う船の正体は

瀬取りが強く疑われる船籍不明の小型船(2月16日撮影)

瀬取りで使われる船は、ほとんどが便宜置籍船であり、中にはソマリア沖やマラッカ海峡に出没する海賊船のように船名を偽装した幽霊船も存在する。
中国や香港の船会社が関与しているという情報もある。
国際的に歩調を合わせた、安保理決議を順守する態勢が不可欠である。

徹底した海洋監視活動は、制裁の有効性を増長し、北朝鮮の軍事能力を骨抜きにすることで、交渉による事態の打開を導き出す事だろう。
北朝鮮が完全な非核化を果たすまで、日本の海洋警備は手を緩めることが許されないのだ。

(執筆:海洋経済学者 山田吉彦)

関連記事:「北の漂着船から“動かぬ証拠” 南北融和のウラで大量上陸作戦か」【山田吉彦氏出演の番組動画あり】

隣国は何をする人ぞの他の記事