中国外交のキーマン“王岐山”国家副主席がロシアで表舞台にデビュー

垣田友彦
カテゴリ:話題

  • 習近平国家主席の右腕王岐山国家副主席が外交の表舞台にデビュー
  • 中国外交の「司令塔」メンバーにも王岐山国家副主席
  • 米中貿易戦争が注目される中、王氏が対米外交のキーマンに

習近平の右腕“王岐山”氏が外交の司令塔に

中国の王岐山国家副主席がロシアのサンクトペテルブルクで開催された国際経済会合に出席。副主席就任後初の外遊で「首脳外交」を展開し、表舞台にデビューした。

安倍総理大臣とは立ち話であるが北朝鮮問題を巡り日中の連携強化を確認。
また、改善の流れにある日中関係では、経済など各分野での交流協力を更に拡大していくことで一致した。
王岐山氏はロシアのプーチン大統領とも会談している。
王岐山氏と言えば習近平政権1期目で、共産党中央規律検査委員会のトップとして腐敗摘発の陣頭指揮を執り、習氏の右腕として権力固めを支えた習氏の盟友だ。

今後は、中国外交の司令塔の1人として、2期目の習政権でどんな役割を果たすのだろうか。

「ヒラ党員」から「事実上のナンバー2」へ

王岐山氏は昨年の党大会で「68歳以上は引退」という党の慣例に従いチャイナセブンと言われる常務委員から退き、重要な会議に出席できない「ヒラ党員」となった。
しかし、今年3月の全人代=全国人民代表大会で国家副主席に就任。そして、今月15日に開催された第1回中央外事工作委員会に関する報道でメンバーである「委員」であることが確認された。

「中央外事工作委員会」とは、中国外交を主導する司令塔的な党の組織だ。
これまでは「中央外事工作領導小組」という名称だったが習政権2期目になって「委員会」に格上げされた。党が政府より上位に位置する中国では外務省より格上の組織といってもよい。中央外事工作委員会のトップである主任は習近平国家主席、副主任は李克強首相が務める。報道で王岐山氏は「委員」として3番目に紹介されている。
報道では他の委員が出席したことを伝えているが名前を紹介されたのは王岐山氏だけだ。

また、チャイナセブンと言われる7人の常務委員で外交担当の王滬寧氏はこの会合への参加が報じられたものの「委員」としては紹介されていない。また、常務委員の次の地位にあたる政治局委員で外交担当の楊潔篪氏は外事工作委員会の事務局長的な立場とされるが、政府の外交トップである王毅国務委員兼外相とともに報道の中に名前は見当たらない。
中国では公式文書や公式報道に出てくる順番が序列、権威を反映している。

こうしてみると王岐山氏が中国外交において極めて重要な立場にあることがわかり、「事実上のナンバー2」や「8番目の常務委員」との声も聞かれるくらいだ。役割分担が公表されているわけではないので推測の域を出ないが、中国外交は習近平氏がトップとして仕切り、李克強首相や王岐山氏も外交政策の決定に主導的役割を果たし、楊潔篪氏や王毅氏の裁量権は限定的とみられる。

米中貿易戦争交渉のキーマンとして

王岐山氏は胡錦濤政権で経済担当の副首相を務め、アメリカと交渉した経験を持つことから、習氏は王岐山氏に主に対米関係を任せるとみられる。
習氏は昨年の共産党大会で2050年までに中国が現代化された社会主義の「強国」となり、世界に大きな影響力を持つようになるとの目標を掲げた。
「中華民族の偉大なる復興」を果たし、今世紀半ばまでに「アメリカを凌駕する国になる」という意味だが、経済的にも軍事的にもアメリカとまだ対等でないことを中国自身はわかっている。

朝鮮半島をめぐる非核化や南シナ海、通商問題などで対立するアメリカとの直接対決を避けながら経済発展を続け、軍事力を強化するのが習近平政権の戦略とみられる。外交の表舞台に出てきた「事実上のナンバー2」王岐山氏が貿易戦争をちらつかせるトランプ政権との通商交渉でどのような手腕を発揮するのか今後が注目される。

(執筆:フジテレビ 国際取材部デスク 垣田友彦)

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