空自F-35Aと米海兵隊F-35B、日米のステルス戦闘機による共同訓練の意味

カテゴリ:ワールド

  • 日米初のF-35共同訓練
  • F-35特有のデータリンク使用について空幕長明言せず
  • “空飛ぶセンサー”F-35Aを今後どういかすか 

三沢基地で行われていた、航空自衛隊のF-35A米海兵隊のF-35Bの共同訓練が、5月9日から24日にかけて行われた。航空自衛隊のF-35Aは1機だけだったが、米海兵隊は、8機程度。日米のF-35の他に航空自衛隊のF-2戦闘機E-2D早期警戒機、アメリカ空軍のF-16CM/DM戦闘機が参加した模様だ。

F-35は、育つ/育てる戦闘機として、能力が向上していく航空機だが、今回の共同訓練は、初の日米のF-35同士の訓練ということもあり、F-35のもう一つの側面、武装する“空飛ぶセンサー”としては、日米間ではどうだったかということ。
F-35には、米空軍、航空自衛隊のF-35A、米海兵隊のF-35B、そして、将来の米海軍用のF-35Cがあるが、F-35の各型共通の特定のデータリンク、MADLというのが装備されている。

丸茂空幕長

今回の日米共同訓練でMADLを使用したのかについて、丸茂空幕長は25日の会見で「米国との関係もあるので、F-35同士で、連接したかは残念ながらコメントできない」と述べた。

MADLと巡航ミサイル防衛の関わり

昨年12月18日、日本海の中ほどまで、中国のH-6K爆撃機が進出してきたが、その左右の主翼の下には、射程1500㎞級と言われるCJ-20巡航ミサイルの飛ばない訓練弾らしきものが吊り下がっていた。実弾のCJ-20であれば、ほぼ日本全土をカバーする位置にH-6Kが進出したことになる。

2017年12月18日に飛来した中国のH-6K爆撃機

その後も日本周辺に現れた、H-6K爆撃機は、しばしば、CJ-20の訓練弾らしきものを吊り下げて、沖縄本島と宮古島間を通過している。5月25日に飛来したH-6K爆撃機は、久々にCJ-20関連の装備を吊下げておらず、むしろ、例外的だった。

5月25日に飛来した中国のH-6K爆撃機

一般論だが、巡航ミサイルは、海上や陸上を低く飛び、相手のレーダー等のセンサーに引っかからないようにして接近する。気づいた時には、もう手遅れということになりかねない。このため、米海軍は、巡航ミサイル防衛のセンサーとして、F-35戦闘機を使う事を計画している。

F-35各型の共通センサー、EO-DASは、強力な赤外線センサーとしての能力を持ち、機体を中心に球体上に周囲に「眼」を配る。開発試験中に1000㎞先を飛翔する“模擬弾道ミサイル”を感知する能力を示したとも言われる。
だから、巡航ミサイルが低空飛行していても、噴射熱は出るので、敏感なF-35の赤外線センサーの眼を誤魔化すのは難しいかもしれない。

そこで、たまたまF-35戦闘機が飛んでいるときに、敵の巡航ミサイルが飛んでいるのを見つけた。すると、そのデータをデータリンクのMADLを使って、イージス艦に送って、迎撃ミサイルを発射することを計画、試験しているのだ。

日本では、海上自衛隊がイージス艦を持ち、巡航ミサイル迎撃に使用されるSM-6迎撃ミサイルも今年度予算で試験導入される。
さらに、イージス・アショアの導入計画があるが、米海軍のイージス・アショアが、弾道ミサイル防衛専用のシステムであるのに対し、日本では、小野寺五典防衛相のイニシアティブで、巡航ミサイル迎撃の可能性も視野に、IAMD化も意識されているようだ。

日米のF-35の間で、MADLによるデータ交換が可能になれば、例えば、今回の共同訓練で航空自衛隊の唯一機のF-35Aに、状況によっては、米海兵隊8機分のデータが送付される可能性も能力としてはあったのかもしれない。
そのデータによって、日本版イージス・アショアやイージス艦が敵の巡航ミサイルを迎撃できるなら、それなりに望ましいことかもしれない。一般論だが、地上攻撃用巡航ミサイルで、長い距離を飛翔できるものは、核弾頭装着可能であることが決して少ないからだ。

今回の共同訓練で、日米のF-35の間で、MADLを使ったデータ交換が行われたどうかは、不明だが、将来の日本の安全保障にとっては、検討すべき課題となるかもしれない。

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