“ミライの黒板” でAI授業!先生の声がリアルタイムで文字になる

カテゴリ:国内

  • 先生の「声」を収集し、教材にする授業AIアシスタント
  • 開発したのは黒板メーカー「激務の先生方を助け、もっと手軽に使ってもらえる製品を」 
  • 授業を歌や漫画に変換!? 今後のアイディアも満載

学校の授業で、先生が黒板に書いたことを一生懸命ノートに書き写していた時代から、今では携帯のカメラで板書を撮影する生徒も普通になりつつある。その一方で、毎回黒板にイチから書く先生も大変だ。

こうした中、AIを活用した“ミライの黒板”として、先生の「声」に目をつけた画期的なアイディアが注目を集めている。その名も「Josyu(ジョシュ)」。
先生の声を収集し、教材にするという授業AIアシスタントで、大正8年(1919年)設立の黒板メーカー・サカワが開発した授業支援システムだ。

現在、α版(試作品)を公開し、学校関係者・教育関係者を対象に無料体験とモデル校を募集している。

これが“ミライの黒板”

先生の事前準備の軽減や授業の振り返りを目的として開発された「Josyu」だが、その仕組みは、パソコンの音声入力機能を使って、授業をする先生の声をインターネットブラウザを利用したシステム上でリアルタイムに解析し、自動でテキスト化するというもの。大きく4つの特徴がある。

(1)授業を自動でテキスト保存

先生が発した言葉は、リアルタイムで一言一句テキストデータとして保存される。
パソコンをプロジェクタと接続して映し出せば、先生の音声が、目に見えるデータとなって黒板上に表示され、さまざまな活用が見込まれるという。

(2)重要な単語を抽出

保存されたテキストから使われた単語を抽出し、その出現回数や前後の文章との関連などを人工知能(AI)が解析。
「単語一覧」「頻度が多い単語」「重要度が高い単語」に分類する。
抽出された単語は、重要度によってランキング化され、選択した単語を表示エリアに自由に配置することもできる。

(3)関連する単語・画像を予測表示

ある単語に関連する別の単語や、その単語に関連する画像をAIがおすすめしてくれる。
予測される単語や画像は、サービス利用者の使用率を機械学習することによって調整されるという。
つまり、利用者が増えるにつれて「使える単語・画像」の予測表示の精度が成長していくというのだ。

「聖徳太子」という単語から肖像画、関連する「十七条憲法」を表示

(4)授業の総まとめプリントを自動生成

抽出した重要単語周辺の文章をピックアップして、まとめプリントを生成する。
テキストの編集機能も備えていて、重要単語を伏せれば、あっという間に小テストを作ることができる。

重要単語の虫食い小テスト

そして、「Josyu」がかなえるのは、先生の負担軽減だけではない。
生徒たちもノートに書き写すことに気を取られず授業に集中することができ、単語や画像が効果的に表示されることで、授業内容への理解も深まる。

黒板メーカー・サカワの担当者に開発の経緯と今後の展望を聞いた。

「電子黒板」は、便利な一方でスキルなどの問題があった

ーー「Josyu」というネーミングは誰が?

先生をアシスタントする「助手」という意味で、開発チームで名づけました。


ーー黒板メーカーがテクノロジーを使用した新システムを開発した理由は?

弊社では、ICT(情報通信技術)教育をサポートする製品として、10年ほど前から電子黒板を提案しています。
しかし、電子黒板は便利な一方、高価なことや使用する先生方のスキルなどが問題となっていました。
以前から「授業準備が大変だ」「黒板に貼る資料の画像を拡大プリントアウトするのも一苦労」という先生方の話を聞いていたので、テクノロジーでこれを変えられないかと思いました。

「激務の先生方を助け、もっと手軽に使っていただけるような製品」と考えた時に、授業で常に発信されている先生の「声」に注目しました。
開発期間は半年ほどです。今後も無料体験やモデル校からのヒアリングを重ねて、バージョンアップしていきます。


ーー運用テストでは、先生と生徒からどのような感想があった?

小学校の先生は、毎日40分の授業を5回以上されています。それだけの内容をもらさず正確に、すべて覚えていることは難しいです。
「Josyu」を使って自分の話がそのまま形に残ることの便利さを実感し、発したキーワードがデータとして蓄積され、他の先生にも利用されるという広がりに驚き、よろこびを感じるという声が多かったです。

生徒たちからも、先生が関連単語を動かすと「おぉ~!」と歓声があがり、とても楽しそうでした。
座学授業はどうしても生徒が受動的になってしまう傾向がありますが、文字が動いたり画像が現れたりするので、目が離せないといった様子でした。


ーー授業内容のデータは、システム上で誰でも閲覧可能?

授業のテキストデータは、先生の話だけでなく生徒との質疑応答も保存されます。ひとつの授業がまるまるデータとして残り、復習のために確認できるのです。
現在はまだその準備が整っていませんが、将来的にはシステムを導入している全ユーザーが他のユーザーの授業内容を見る「知識のシェア」や、先生同士のコミュニケーションが図れるようにしたいと考えています。

歌や漫画に変換!? 授業をもっと楽しくわかりやすく

「Josyu」の機能は、これだけにとどまらない。
「東京五輪が開催される2020年までに実装できれば」という期待を込めて、さまざまな展開を構想中だという。

例えば、先生の話す言葉を黒板に表示する「リアルタイムテロップ」では、キーワードや先生の決め台詞が出ると文字が飛び出すような仕掛けも。
各教科の授業要約を復習できるアプリや、堅苦しい内容を覚えやすく歌に変換する機能、さらには自動的に授業を漫画化することも挙げられている。

漫画になった授業。先生や生徒たちも描かれている。(構想イメージ)

α版の無料体験の応募状況は、「小・中・高・大学を問わず数100件のお問い合わせがあり、中には通信教育や遠隔授業を扱う塾や、会議での利用を考えているという企業もありました」ということだ。
製品版のリリースは、年内を目指しているという。

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