裁判員は辞退してもいいの? 施行から丸9年 辞退者が過去最多のワケ

尾瀬真澄
カテゴリ:国内

  • 裁判員制度が始まって丸9年 辞退者が66%と過去最多
  • 辞退の理由は、審理の長期化と雇用情勢の変化
  • 正当な理由なく欠席は10万円以下の過料を科す規定があるが、適用されたことはない

裁判員裁判の実態

裁判員制度が始まってから丸9年。
今年3月末までに、8万3401人が裁判員や補充裁判員が審理に参加、1万1045人の被告に判決が言い渡されてきた。
しかし、去年1年間で、無作為に呼び出し状が送られた8万4176人のうち辞退した人の割合が66%に上った。
これは9年前の53.1%から増加し、過去最多となった。
また、事前に辞退を申し出ずに選任手続きを欠席した人も増え、手続きに出席した人の割合が去年1年間で、過去最低の63.9%となった。

辞退の理由

理由の一つが、審理の長期化だ。
裁判員裁判の平均審理日数は、2009年の3.7日から、去年は11.6日と、9年間で増加傾向にある。
最高裁のアンケート調査によると、審理期間が増えるほど参加可能と回答する人の割合が減っている。

第二に、雇用情勢の変化が影響しているとみられる。
最高裁によると、非正規の職員や従業員の参加意欲が低い傾向にあるということだ。
「非正規の立場で連続欠勤が続くと仕事を失うのでは?」との不安があるとみられる。

どういう人が辞退できるの?

裁判員候補者に選ばれて呼び出し状が送られた場合、辞退する場合は理由を書いた調査票を送り返さなくてはならない。
裁判員法によって、以下が辞退の理由として認められている。

1)70歳以上の人
2)地方公共団体の議会の議員 (会期中)
3)学生・生徒
4)5年以内に裁判員や検察審査員などの職務に従事した人
5)3年以内に選任予定裁判員に選ばれた人
6)1年以内に裁判員候補者として裁判員選任手続きの期日に出頭した人
7)やむを得ない理由で裁判員を行うことや裁判所に行くことが困難な人

この(7)に入るのが、重い病気、介護、養育、事業の重要な用務があり、自分で処理しないと損害が生じる場合や、葬式、災害、妊娠、出産などだ。仕事が理由になるかどうかは、自分でないと著しい損害に当たるかどうかがポイントになり、審理期間、事業所の規模などが考慮される。

欠席したらどうなるの?

正当な理由がないまま、裁判員を欠席すると10万円以下の過料を科す規定がある。
しかし、これまで適用されたことはない。

出席率向上のために

最高裁によると、これまでに呼び出し状や調査票の再通知など運用上の工夫を行っている裁判所の裁判員の出席率が高い傾向にあった。
これを受けて、最高裁は、候補者の勤務先の上司に理解や協力を求める文書を呼び出し状に同封するなど、運用面での対策を進めている。

(執筆:フジテレビ報道局 社会部 尾瀬 真澄)

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