「受験生を釣るため」5ちゃんねるに集結 架空の大学を“安価方式”で設立

瀧澤航一郎
カテゴリ:国内

  • 偽大学の仕掛人談「受験生を釣ることが目的」
  • 5ちゃんねる掲示板の安価スレッドが契機に
  • アメリカ大統領選挙や新潟女児殺害事件でも

「国際信州学院大学」という大掛かりなフェイクニュース

5月14日(月)、「国際信州学院大学」というワードがYahoo!リアルタイム検索で2位に、Google急上昇ワードでも3位に、それぞれ上位にランクインした。

この「国際信州学院大学」とは、ある“うどん店”を名乗るアカウントのツイートから話題になった。そのツイートは「50人で貸し切りの予約があったが、時間を過ぎてもお客さんが見えないので、こちらから電話をするとキャンセルされた。国際信州学院大学の教職員のみなさん、二度と来ないでください」という内容で、いわゆる“ドタキャン”を告発したもの。

投稿は多くの人に拡散されて炎上、うどん店への同情の声や、キャンセルしたとされる大学側を非難する声が相次いだ。

と、ここまでは、時々ツイッター上でも話題になる、予約した団体客による事前連絡なしの“ドタキャン”被害の話。

今回は、その続きがあった。

実は被害者側のうどん店も、“ドタキャン”したとされる大学も存在しない“フェイクニュース”だった。

ネットで「国際信州学院大学」を調べると、実際に長野県安曇野市にキャンパスを構えるという同大学の公式サイトが存在し、ツイッター上でも「国際信州学院大学」公式アカウントはもちろんのこと、「●●学部」、「●●サークル」、「●●教授」といった、大学に関連しているとみられるアカウントも多数、確認できた。

ただ、大学HPをよく調べてみると、学長の言葉として「Les choses sur cette page sont fictives.」というフランス語が掲載されており、この仏文を日本語に訳すと「このページは架空のもの」となる、大学に関連したアカウントが全て2018年1月27日以降に開設されている、等々いくつかの箇所で「国際信州学院大学」自体がフェイクだと気付くことができる。

フジテレビ取材班は、この“フェイクニュース”を仕掛けた集団の1人にSNSを介して接触し、今回の“大学設立”の目的などについて聞いた。

ネット用語「安価方式」とは?

この人物によると、某掲示板にあるスレッドが立ったことが始まりという。

そのスレッドはいわゆる“安価方式”とよばれるもの。

“安価方式”とは、英単語anchor(アンカー)から発生したインターネット用語で、インターネット掲示板で使われる。あるスレッド内にある他の書き込みにリンク(レス)される書式のこと。

多くの人が他人の書き込んだ内容に答えていきながら、ひとつのストーリーが出来上がっていく。2ちゃんねる上での書き込みを題材にしたラブストーリーが書籍化され、映画やドラマでも大ヒットした『電車男』。このストーリー展開も掲示板上でのアドバイスの取捨選択に委ねられたことでいうと似たような事例と言える。

今回のケースも、ある掲示板に立てられた「架空の大学を設立しよう」といった類いのスレッドに集結した多くの人々が、様々な情報や意見を共有したり、交換しながら、SNSやホームページを介して偽情報を真実味があるように見せたサイトやツイッターを次々と開設。「国際信州学院大学」という架空の大学をあたかも実在しているかのように信憑性を高めていく。

誰が中心人物なのか?

「掲示板自体が匿名のため、今回のスレッドを立ち上げた人、いわゆる発起人含めて、掲示板に集結した人々の正体はお互い分からな」と仕掛け人。

アメリカ大統領選挙ではフェイクニュースが大問題に

昨今、フェイクニュースは世界的に問題になっており、先のアメリカ大統領選挙でも交流サイト世界最大手・フェイスブック上でトランプ大統領側に有利な内容のフェイクニュースが蔓延したことで、選挙結果に影響が出た可能性まで指摘されている。

新潟市女児殺害事件でも嘘ツイートが・・・

今月初旬に発生した新潟市の女児殺害事件。事件発生から1週間ほどで容疑者が逮捕され、実名報道された瞬間から、各メディアによるSNS上で容疑者の関係者探しが始まった。職場の同僚、小中高時代の同級生、恩師など。

メディアによるSNS取材の必至さに目をつけたのか?
 
「容疑者の同級生」を名乗る投稿の中に、実際は関係のない人による嘘の投稿、いわゆる釣り投稿があった。

中には、悪意があるのかないのか分からないまでも、「元同級生って名乗っただけで取材のインタビューめっちゃ来たわ」といったツイートまで見受けられた。

フジテレビでも「小中一緒で〜」と投稿した人物に取材をしたが、現地で取材した内容と矛盾があっため、信憑性に疑念を感じ、報道しなかった。

「受験生を釣る(だます)ことが目的」

先述した仕掛人によると、ネットを騒がせた国際信州学院大学は、「“受験生を釣る(だます)”ことだけを目的に、ただ“面白そうだから”と参加した人たちによって成立した」という。

取材した感覚では、新潟女児殺人事件の偽同級生を名乗ったケースのような明確な悪意は感じられなかったが、「インターネット出願」として受験生の個人情報を入力させるなど、明らかに行き過ぎた面も見られる。
また、一部の大学関連アカウントの中には、使用画像が著作権を侵害している可能性があるものもあり、今後被害を訴える人が出てくる可能性もなくはない。

フェイクニュースへの免疫力

アメリカ大統領選挙と同じように、日本においても、次の衆議院総選挙でフェイクニュースが問題になるだろう。

多くの人が誤った情報を鵜呑みにして投票する。
その結果で選出された議員によって国家の最高議決機関である国会が運営されていく。
そうなってしまう前に、ひとりひとりがフェイクニュースへの免疫力を付けなくてはならない。

言わずもがな、の話だが、SNSの情報は拡散しやすいし、されやすい。

ネットで覚知した情報は、安易に拡散する前に「情報は正しいものか?」と考えることが大切であることと同時に、過去にはどんなフェイクニュースがあったのかを知ることも重要だ。

自戒の意味も含めて。