「国会に4時間座って答弁1回」異端児・河野太郎が訴える“ムダ撲滅運動”

佐藤 メリサ
カテゴリ:国内

  • 河野氏が訴える外相業務の効率化
  • 座っているだけの国会にNO!
  • 外相専用機導入で外遊をスムーズに

河野太郎外相が口にする業務のムダ

政界の異端児と称され、ポスト安倍の候補にも名を連ねる河野太郎氏が、外務大臣に抜擢されてから9か月が過ぎた。

その河野氏が今、外務大臣としての仕事にムダが多いことを嘆く場面が目立っている。若手時代から行政のムダ撲滅に取り組み、行革担当大臣も経験した河野氏の、仕事効率化への訴えとは…。

4時間座って答弁1回だけ!

5月15日の記者会見、河野外相の批判の矛先は、国会運営に向けられた。

「閣僚として国会で説明をするのは当然のことだと思っているが、形式的なところで張り付けになるというのは、少し国会にご配慮を頂けないだろうか」

河野外相はこのように、国会審議に長時間拘束されることへの不満を露わにした。
実は前日14日に開かれた衆院予算委員会の集中審議では、4時間近く閣僚席に座り続けたものの河野外相への質問はたったの1問だった。
野党が加計問題を中心に質疑を行い、外交でも安倍首相への質問が多かったため、河野外相が答弁する機会は1回しかなかった。その1回のために4時間も身柄を国会に拘束されたことへの愚痴がこぼれた格好だ。

14日の集中審議 語るは安倍首相ばかり 

さらに河野氏は、この日はインドネシアでのテロ、イスラエルのアメリカ大使館の移転などの様々な課題があったにも関わらず、国会審議への出席のため「役所の中で情報を聞く、あるいは決断をするということが全てできないまま、日をまたいでしまった」と、外相としての業務に支障が出たことを強調した。
国会での河野外相といえば、冬には、毛布を羽織り、寒そうにしながら、質問を待っている姿が印象的で、審議が終わり外務省に戻った際には、「まだまだ仕事が残っているよ」と、ただ座っているだけの時間が多い国会に疲れた様子を見せていた。

 河野氏は会見で「形式的なところについては21世紀型の国会運営ということを是非ご検討頂きたい」と、与野党に“外相の国会出席の効率化”を呼びかけた

しかし、こうした態度に対し、集中審議終了後の予算委理事会では「大臣の国会出席は優先事項」だとする野党からの不満が噴出した。


野党理事:
今日の委員会の後、出口で河野大臣が『質問が1問しかなかった』と言っていた。自民党としても改めて指導してもらいたい。

与党理事:
以前にも慎むよう伝えたが、悩ましいところだ。改めて伝えたい。


河野氏の訴える国会出席のムダ削減は一筋縄ではいかなそうだ。

相手国「自分の飛行機ないのか?」 河野氏「・・・ありません」

河野外相が効率化を求めているのは、国会への出席だけではない。昨年末から訴えているのが「外務大臣専用機」の導入による外国訪問の効率化だ。
河野氏はその理由として、過去5年間に中国の外相が訪問した国の数が、のべ262なのに対し、日本の外相が訪問したのは97と、約3倍もの差がついていることへの危機感を示し、中国に負けないためにも、専用機による効率的な移動で差を埋める必要性を強調した。

取材に応じた後、民間機にのりこむ河野外相

河野氏が外相就任してからの9か月間で、訪問した国と地域はのべ44(5月15日時点)。かなりのハイペースで外遊を進めているものの、民間機での移動では、訪問先を効率的に回ることができず、急な日程の変更にも対応できないのが現実だ。
河野氏は、それを象徴する外遊先でのある会話を自民党の会合で紹介している。 

相手国:
飯食っていけよ。

河野外相:
いやいや、飯を食っていると飛行機に乗り遅れます。

相手国:
お前、自分の飛行機ねえのか。

河野外相:
・・・ありません

 
こうした屈辱的なエピソードの中で外相専用機が必要と痛感したという河野氏。

チャーター機を利用した3月の訪米に同行した外務省職員は「批判もあるようだが、チャーター機のおかげでセットできた会談もあったし、機内で色んな打ち合わせもできたので非常に効率が良かった」と利点を述べている。

外相専用機導入のプランとしては購入以外に、レンタルやリースの選択肢もあり、河野氏は「ガルフストリーム650ER」を機種の候補にあげるなど、2019年度予算での導入に向け、検討を進めている。
しかし一方で、過去に専用機の導入を検討した際に、『予算をどこが負担するのか』『メンテナンスはどこの省庁で請け負うのか』などの疑問や批判が噴出し、購入を断念した経緯もある。

河野氏の悲願が叶うかの結論は、もう少し先になりそうだ。

外遊ロジブック廃止&全面禁煙化も

さらに河野氏は、外務省の業務効率化に向け、今年のはじめに「今まではこうやっていたけど明らかにこれは合理的ではないよね、というリストを作ってもらって、端から順番におかしいものは直していく」と宣言した。
事務作業を削減して、職員には外交に集中してほしいという狙いがある。

さっそく外遊の度に作成されていた「ロジブック」が廃止された

ロジブックとは、外遊先での行事や大臣の動きなどについて、職員の立ち位置やエレベーターに乗るタイミングに至るまで細かくまとめ、関係者の連絡先なども記載した内部資料のこと。

外遊をスムーズに行うための重要なものとされ、作成にあたっては、多くの職員が細かい調整を積み重ねてきた。
しかし河野大臣は「多少外務大臣の出張に不便があってもサブスタンス(外交の本質的業務)に影響がなければ、それでよし」と思い切って廃止に踏み切った。

この写真に「河野流改革」が?

さらに河野氏は外務省の建物内の全面禁煙化を実施した
以前から受動喫煙対策に取り組んでいる河野氏は「外務省は外国から大勢のお客さまをお招きしている。喫煙ルームでモクモクと煙が充満しているのはよくないし、喫煙ルームから出てきた人はしばらくの間、たばこの影響を周りに及ぼす」と指摘。
全面禁煙化は業務効率化にもつながるとして、今月、省内にある喫煙室を閉鎖し、新たに屋外に喫煙スペース(上の写真)を設置した。

こうして業務のムダ撲滅に取り組む河野氏だが、過去にこんなことも。

行革担当大臣を務めていた際に、大使館の定員削減を外務省に求めたものの、自らが外相に就任した後には「現地を見て明らかに私の間違い、失敗だったと実感した」と反省の弁を述べている。

 太郎流の効率化改革が職員や各方面からの支持を得られるか、そして日本外交のレベルアップにつながるかどうか、今後の行方が注目される。


(政治部 外務省担当 佐藤メリサ)