数字で見る国民民主党の「希望」と「絶望」

カテゴリ:国内

  • 53+54=107のはずが62に
  • なぜ?無所属議員が29人大量発生
  • 幻の新党名「ゼロ」はスタートかゴールか

「国民民主党」は空中分解しないか

「新党は民進党の再結集ではない」

民進党と希望の党が合流してこの5月に結成された新党「国民民主党」について、共同代表に就任した大塚耕平氏と玉木雄一郎氏はこう豪語する。

実際はどうだろう。

勢力を減らしての民進党の再結集ではないのか。大塚氏と玉木氏が、立憲民主党など元民進党の議員らに結党のあいさつに回る姿は少し滑稽にも映った。
去年の総選挙で民進党が事実上、空中分解し、今回は民進党と希望の党が合流する上で、四分五裂した。二度あることは三度あるというが、国民民主党はこの先躍進できるのか、それとも空中分解を繰り返すのか。


53+54=107のはずが「62」に

国民民主党の結党の目的は、民進党に所属していた議員53人と旧希望の党の54人を足して107人という「大きなかたまり」を作って存在感を高め、野党第1党として政権交代を目指すことだった。そのため最大の注目は、53+54の107人の国会議員のうち、何人が新党に参加するかという点だった。

しかしふたを開けてみると107人の国会議員のうち参加した議員はわずか62人
実に4割超が不参加で、野党第一党に及ばない厳しい船出となった。


不参加の「45人中29人が無所属」に。その本音は?

無所属を選んだ岡田、野田、安住氏

新党に参加しなかった議員45人の行き先は
1.立憲民主党
2.新たな希望の党
3.無所属

の3つだが、45人中、3分の2近い29人が選んだのが無所属だった

民進党に所属していた議員の中で、岡田克也元副総理や野田佳彦元首相、安住淳元財務相ら、大物議員は軒並み無所属を選んだ。

一方、旧希望の党からは、創業者の小池百合子東京都知事と連携していた細野元環境相、長島元防衛副大臣ら安全保障において保守系の結党メンバーが、民進党回帰を嫌って無所属となり、逆に小池知事の路線に否定的だった大串博志氏らも無所属を選んだ。

ただ、大詰めで新党不参加が相次いだのは、こうした路線の問題ではなく、新党の将来に希望ではなく、漠然とした不安や絶望を感じた議員が多かったからではないか。


一方で、その無所属の議員も今後、難しい対応を迫られる。

岡田氏らは立憲民主党を中心とする野党結集の「接着剤」の役割を自任している。しかし無所属を選択した背景には、立憲民主党が枝野代表を中心に独自路線で一定の支持率を保ち、永田町的な離合集散に否定的な中で、政策面だけでなく人間関係面でも、現時点で立憲民主党に行きづらい大物議員ならではの難しさもあるとみられる。

無所属を選んだ中堅議員は「ずっと無所属でいるわけではない。もう一度結集するための仮の足場だ」と語るが、その道のりは簡単ではない。


多い?少ない?新党参加せず立憲民主党入りは「11人」

新党不参加の45人のうち、11人は立憲民主党に入党した。民進党で参院議員会長を務めていた小川敏夫氏ら10人の参院議員と福田昭夫衆院議員だ。

支持を受ける労働組合が立憲民主党に近いことが理由の議員もいるが、来年の参院選挙をにらんで、一定の支持を集める立憲民主党に魅力を感じた議員も多いだろう。
また旧希望の党出身者には、去年の衆院選において比例代表で復活当選した議員もいるが、比例で当選した議員は、当時選挙を戦った相手でもある立憲民主党への移籍が法律で禁じられている。実はこの規定がなければ、立憲民主党に入っていた議員の数はより増えていたかもしれない。それでも、参院では6人の民進党出身議員が、無所属のまま立憲民主党の会派に入った。この人数を足せば17人となり、それなりの人数が事実上、立憲入りしたとも言える



立憲民主党に入党届をだした小川敏夫氏

創業者不在の「新・希望の党」は最低限の「5人」で船出

新党結成にともない解党した旧希望の党の結成メンバーのうち、松沢成文参院議員・中山恭子参院議員ら5人は、小池都知事の改革保守路線を引き継ぐとして、名称をそのまま使用した新たな「希望の党」を結党した。

しかし前述のように、結成メンバーで安保政策は近いはずの細野、長島両氏らが参加せず、政党としての要件を満たす最低限の人数「5人」での出発となった。
しかも代表に就任した松沢成文氏は小池氏に特別顧問の続投を打診したが小池氏はこれを固辞し、新「希望の党」は「看板」を失った。松沢氏は「いつまでも小池知事を頼っていくわけにいかない」と語っているが、今後は日本維新の会との連携や、与党・自民党への接近などに活路を見出していくことになりそうだ。



新・希望の党は議員5人でスタート

民進出身「26人」vs希望出身「36人」 そこに希望も?

国民民主党の結成メンバー62人の内訳をみると、民進党出身者が26人なのに対し、希望の党出身者が36人と上回った。衆参で見ると衆議院議員が39人で、3人を除き希望の党出身、参議院議員は23人で全員が民進党出身者だ。

結党にあたって、民進・希望両党の執行部は新党の政策や綱領などのすり合わせを行ったが、安全保障政策などで玉虫色の部分が残ったことは否めなかった。今後も節目で両党出身者の温度差が表面化する局面も予想される。
一方、政策の柱にAIの活用やベーシックインカムを据えるなど「目新しさ」を打ちだした点は旧希望の党の小池カラーを思い出させた。
国会対応でも「国会審議拒否」戦術は、今後は原則しないという方針転換を打ち出した。

従来の野党像から一歩踏み出した姿勢は、労組との関係が深い参院を中心とした元民進組よりも、若い議員を中心に人数の多い元希望組の特徴が出ているとも言える。こうした思い切りこそ、国民民主党の希望的要素かもしれない。実際、党の立ち上げを主導してきた幹部に「期待していた人数よりも少ないスタートで不安はないのか」と聞いたところ、「考えてみれば色々と小言を言う人がいなくなった。国民民主党は荒れることなくやっていける」と笑顔を見せた。


「ゼロ(0)」はスタートかゴールか…

盛り上がりを欠く船出となった国民民主党だが、新たな路線を切り開き存在感を示せるか、それとも空中分解の道を歩むのかは、議員1人1人と執行部の覚悟次第だ。
実はこの党の名称としては、一時真剣に「新党ゼロ」という案も検討され「ゼロから始めれば何にでもなれる」などとうたったプロモーションビデオまで作られた。この「ゼロ」がスタートとしてならいいが、この党のゴールになってしまう恐れも否定できない中、今後の進路に注目したい。

 

(政治部 野党担当 寺田晃子)

野党の“見える化”の他の記事