半数以上が“子ども”のロヒンギャ難民。「勉強がしたい」悲痛な生活と目指す未来

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  • 2017年8月、ミャンマー政府軍が少数民族ロヒンギャの掃討作戦を決行
  • バングラデシュに避難したロヒンギャ難民は約120万人
  • 難民の6割に当たる70万人の子供たちは懸命に日々を生きる

難民キャンプで暮らす『ロヒンギャ難民』

祖国を追われた“無”国籍難民『ロヒンギャ難民』をご存知だろうか。

彼らが今住んでいる難民キャンプの中を通る道は、山を削ってできた舗装がされていない道路で、車で走ると砂埃が舞い上がる。

この難民キャンプはバングラデシュ南東部に位置するコックスバザールという地域にあり、現地では、見えなくなるほど遠くまで家々が連なるように建てられていた。

その仮設の住居は山を削って造られた狭いスペースに所狭しと並んでいて、今にも崩れそうな崖の上に立っている家もあった。

ここで先の見えない暮らしを強いられているのが『ロヒンギャ難民』。

元々、隣国ミャンマー西部の地域に暮らすイスラム系少数民族だ。

なぜ難民となってしまったのか

ミャンマー国民の約9割は仏教徒。
そのため、イスラム教徒のロヒンギャの人々は宗教の違いや、肌の色が異なることなどを理由に、差別や迫害を受けてきた。

そして2017年8月、ミャンマー政府軍は少数民族ロヒンギャの掃討作戦を決行。
ロヒンギャの人々が住む村は、無残にも焼き尽くされた。

この掃討作戦によって、1カ月で6700人が殺害、5歳未満の子供たち700人以上の命が奪われたと言われている。
そして生き延びたロヒンギャの人々は、国境を接する隣国バングラデシュへと避難を続けている。

軍の許可をもらい、多くの難民が命を懸けて渡ったミャンマーとバングラディシュの国境を流れるナフ川へ向かうと、ぬかるみの中に多くの足跡が見受けられた。
難民の中には、栄養失調で亡くなる人や川を渡る途中、力尽きて亡くなる人も少なくないという。

国境を越える唯一の陸路では、逃げる際に落ちてしまったボロボロの衣類が地べたに残されていた。
彼らは一体どんな思いで生まれ育った祖国を後にしたのだろうか。
軍による掃討作戦以降、約70万人のロヒンギャがバングラデシュに避難している。

「多くの人が目の前で撃ち殺されたんだ…」

ある男の子は「多くの人が僕の目の前でロケットランチャーや銃で撃ち殺されたりしたんだ」と悲惨な掃討作戦の状況を語ってくれた。

そんな悲惨な目に遭い、故郷を追われた避難民が暮らすのが、バングラデシュ南東部コックスバザールにある難民キャンプだ。

しかし命がけで逃げてきた先でも、度々キャンプ内に野生の象が侵入するなど危険は絶えない。
2月には子供を含む2人が象に踏まれるなどして死亡した。
犠牲となってしまった幼い子供の父親は「息子は象の鼻にまかれて、地面に激しく叩きつけられて、死んだんだ」と涙を浮かべた。

これまでバングラデシュに避難したロヒンギャ難民120万人のうち、約6割の70万人が子供だ。
そんな子供たちの中には両親が亡くなるなどして身寄りのない子も多いという。

16歳と9歳の姉弟は「お父さんは射殺されました。母は、ここにたどり着いたけど病気で死にました」と語る。
別の子供にも話を聞くと「お父さんは銃で撃たれ、お母さんは刺されて死にました」と口にして、涙が溢れ出した。

家々の外には頭にまきを載せて運んだり、水の運搬をしたり、露店で店番をするなど、懸命に生きる子供たちの姿があった。

キャンプでの最大の課題

この劣悪とも言える環境での生活では、不衛生な環境や栄養失調などが原因で亡くなる子供も少なくない。
最大の課題はこれまで30人以上の子供が死亡している感染症対策だ。

取材をした日は、国連の医療機関による予防接種が行われていた。

大声で泣きながら、生きていくために予防接種を受ける子供たち。
そんな中、予防接種を受けたくないという少女がいた。

15歳のヤスミンちゃんには頑なに予防接種を拒む理由があった。

ヤスミンちゃんは家にロケットランチャーを撃たれ、母親を助けようとしたが、大やけどを負い、逃げることしかできなかった。

袖をまくり私たちに見せてくれた腕には傷跡。
その傷の上には、さらに大きなやけどの痕があり、そこは絶対に人には見せられないという。
大きな傷は少女の心にも残っていた。

「とにかく勉強がしたいんです」

取材に訪れた私たちが座るためにござを準備してくれたファティマさん。
夫をミャンマー軍に殺され、9月に娘達と一緒に逃げて来た。

「この家は屋根も壁もシートで暑いから団扇でしのがなきゃね」と笑顔で風を送ってくれた。

このキャンプに来るために、5日間近く食べ物も食べず歩き続けたファティマさんは当時をこう語る。
「泥に埋もれ胸まで川に浸かりながら、なんとか逃げて来ました。家族は離れ離れで逃げて来たんですが、こうしてキャンプで会うことができました。バングラデシュの人たちに本当に感謝しています」

そんなファティマさんの願いは子供を学校に通わせることだ。
「こういう時こそ勉強が大事なんです」と強調する。

12歳のボリアちゃん

ミャンマーにいる間も学校に通えなかったというファティマさんの12歳の孫娘、ボリアちゃん。
笑顔が魅力的な女の子だ。

どんな勉強がしたいか尋ねると「英語を勉強したいです」という答えが。
さらにその理由を聞くと「あなた達と話せるからです」と笑顔で返してくれた。

実はボリアちゃんは、この日が初めてキャンプ内にある国連機関が運営する学習施設へ行く日だった。

ミャンマー語にの勉強に真剣な眼差しで挑むボリアちゃん。

初めて同世代の子たちと勉強した彼女は、何を感じたのだろうか。

家に戻り、彼女に夢を聞いた。

「夢はまだわからないけど、とにかく勉強がしたいんです」

満面の笑みを見せてくれた。

先の見えない難民生活の中、新たな一歩を踏み出す姿がそこにあった。

難民キャンプの喫緊の課題は、雨季による被害だ。

彼らが住むキャンプは、もともと森林保護区を伐採して作ったものであることから、6月から始まる雨季の雨で、土砂崩れの危険や感染症の危険性が指摘されている。


彼らが明るく安心して暮らせる未来が来ることを切に願う。


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