【豊洲開場まで5ヶ月】築地を守り豊洲を活かせるのか 奇襲作戦に出た小池知事のハラの内

カテゴリ:国内

  • 小池都知事が「千客万来施設」問題で万葉倶楽部会長に”謝罪”
  • 小池知事と高橋会長の間で落とし所は見つかるのか
  • 問題山積の中、開場までは残り5ヶ月のみ

豊洲開場まであと5か月

東京江東区の豊洲市場。
土壌汚染問題や、環状2号線の全面開通が東京五輪に間に合わないなど、様々な問題が未だ山積しているが、すでに開場は10月11日と迫ってきた。
残すところあと5ヶ月だ。

そんな中、新たな観光拠点のあり方を巡りくすぶり続けている問題がある。

GWに小池都知事が訪れたのは…

万葉倶楽部を訪問する小池都知事

ゴールデンウィークのど真ん中、気持ちのいい5月の昼下がり、神奈川・小田原市に東京都の小池知事が急きょ姿を現した。
温泉施設の経営などで知られる万葉倶楽部の高橋弘会長に会うためだ。

小池知事の万葉倶楽部訪問は、都庁幹部にも事前に知らされず、昼前になって「小池知事の動きがおかしい」ということでわかったという。

千客万来施設イメージ図(提供:東京都)

そもそも東京都は築地市場から豊洲市場への移転を巡り「築地特有の貴重な財産であるにぎわいを継承・発展させるとともに、豊洲市場本体施設と連携し、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すため『千客万来施設事業』を展開してまいります」と3年前の9月に事業者の募集をかけた。

万葉倶楽部は、その豊洲市場の新たな観光拠点『千客万来施設』に応募、豊洲市場内の面積10,840.32平方メートルを、都の予定した月額賃料585万円より高い721万円で落札し、事業者として決定した。

しかしその後、小池知事が「築地を守り豊洲を活かす」として築地跡地を「食のテーマパーク」として再開発する基本方針を示したことから「観光施設が競合し採算が合わなくなる」として反発し、事業撤廃を示唆、先月25日には基本方針の撤回や小池知事の謝罪を求めていた。

謝罪に関する食い違い

小池知事の“奇襲作戦”とも思われた万葉倶楽部会長との面会は1時間足らずで終了、その後の二人の発言でわかりやすく食い違ったのは「謝罪」についての認識だった。

小池知事は「これまでの言葉の中で千客万来の事業環境を阻害するような誤解を与えてしまったとしたならば申し訳ございませんと、このように陳謝させていただきました」と謝罪したことを明らかにした。

一方で高橋会長は「明確な謝罪はないですね」と不快感を露わに。

謝罪を巡り真っ向から食い違った両者の「認識」。
しかし、小池知事の様子は意外と“平穏”だった。
その心は何か。

千客万来施設イメージ図(提供:東京都)

ある都庁幹部は小池知事が小田原に向かった理由について、こんなことを思ったという。
「知事は小田原できちんと謝罪したうえで、『謝ったんだから』と業者の退路を断つ気なのでは 」と。

つまり、今回の小池知事の小田原電撃訪問の目的は そもそも「決着させるため」でなく、自ら出向いてきちんと謝った、その”事実”を残した上で 「だから今度はあなたの番よ 」と万葉倶楽部会長を決着に向けて 追い込むためものだったのではないか、ということだ。

しかし万葉倶楽部会長は、事業者として決定した時に比べ建設費が高騰していることから「3年前のコストで受注してくれるゼネコンを紹介してほしい」、また、観光施設内に170~280ほど出店予定のテナントの募集を「(都に)全部引き受けてほしい」と更なる“提案”。

これには小池知事も「行政でありますので出来ることを超えてしまいますと、言ってしまえば森友ではないですけど」とチクリ。

一方で高橋会長は「このプロジェクトからは降りるに降りられない」とも。

埋まらない溝・・・。
この膠着状態のなかで小池知事と高橋会長の間で落とし所を見い出せるのか。

問題山積の中、開場まであと5ヶ月

今すぐに、都と万葉倶楽部の間で結論に至ったとしても、10月11日の開場日には間に合わない。
トップ会談後に「江東区からスピーディーな結論が求められている」と繰り返していた小池知事としては、開場日になっても事態が膠着したままというのは避けたいところであろう。
今月中に築地の再開発を議論している都の会議で、再開発方針が取りまとめられる予定で、これに合わせて万葉倶楽部も何らかの決着をつけるのではという見方もあるが、定かではない。 

もし、どうしてもまとまらず新たな事業者を再再公募することになってしまったら、公募から決定までに1年~1年半かかるという。
しかも次回こそ失敗するわけにいかないため、江東区とも綿密な調整が必要になるので、さらに時間がかかるという見方も。

観光施設以外にも、引越し計画、事業者が新たな施設に慣れるための訓練、内装工事、追加対策工事という開場に不可欠な作業も着実にすすめていかないといけない。

まさに難題山積のなか、豊洲市場はあと5か月で開場となる。

(執筆:フジテレビ 経済部都庁担当 小川美那)


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