【リアル首相動静】南北首脳とセクハラにゆれた1週間

カテゴリ:国内

4月24日(火)文在寅大統領から拉致提起の確約取る

安倍首相は韓国の文在寅大統領と電話会談を行い、3日後の南北首脳会談の場で文大統領が拉致問題を提起することで合意しました。
政府関係者は「拉致は日本の問題なので日本が最終的にアクションを起こさないといけない話だが、韓国からもアメリカからも拉致問題解決を(北朝鮮に)提起してもらうのは心強い」と意義を強調しました。

これに先立つ閣議では、セクハラ問題での福田財務次官の辞任が了承されました。
首相はその後、麻生財務大臣と2人だけでおよそ10分間会談。
今後の財務省の対応か、それとも政局か、協議内容について憶測を呼びました。

4月25日(水)スウェーデン国王の同行記者が質問したのは「次官問題」

日本とスウェーデンの外交関係樹立150周年を契機に、スウェーデン国王・王妃が来日しました。
一連の歓迎行事は迎賓館で行われ、昭恵夫人も和服姿で同席しました。
晩さん会では国産の食材をふんだんに使ったコース料理に、信州・甲州産のワインが振る舞われ、安倍首相も両国関係にまつわるエピソードを披露して歓迎ムードを演出。
一連の行事には政治的な内容は少なく、晩さん会は終始和やかでした。

一方で、取材をしているとスウェーデン側の同行記者から「財務省の福田次官は辞任したのか」と日本側の記者が聞かれる場面も。
スウェーデン社会はセクハラに厳しく、国王が訪日することも相まって、福田次官のセクハラ問題はスウェーデンのメディアでも大きく取り上げられていたということです。

4月26日(木)平昌オリ・パラ選手団に感謝状&米軍司令官の表敬

平昌オリンピック・パラリンピックのメダリストと入賞者らおよそ100人を首相官邸に招き、感謝状と記念品を授与しました。
安倍首相は予算委員会の審議が控えていたため、当初は授与式のみ参加する予定でしたが、急きょ、授与式のあとの懇談会まで出席、羽生結弦選手と談笑し、ご機嫌でした。

昼食を食べる時間はほとんどなくなってしまいましたが、国会審議の中での気分転換になったようです。

ハリス氏が駐韓アメリカ大使に

アメリカ太平洋軍のトップで、駐韓大使に転出する見通しのハリス司令官の表敬を受けました。
実はハリス司令官は日本人の母親をもつ日系人で、日本に造詣が深く、過去にも数度安倍首相と会談しています。
この日は、日米同盟強化のほか、北朝鮮への対応について話し合いましたが、駐韓大使は、北朝鮮をめぐるキーマンの1人だけに、ハリス氏の就任は、日本にとって心強いものとなりそうです。

4月27日(金)強くこぶしを握ったワケは…

ついに世界が注目する南北首脳会談が行われました。
安倍首相は南北首脳が共同宣言を発表している間、官邸で外務省の秋葉次官と共にいました。
生中継の映像を見ながら、宣言の内容について説明を受け、分析をしていたとみられます。

南北首脳の発表終了後、安倍首相は「前向きな動きと歓迎する」と一定の評価を示したうえで、「北朝鮮が具体的な行動をとることを強く期待する。北朝鮮の今後の動向を注視していく」と強調しました。
「具体的行動に期待する」と述べたとき、首相はまるで選挙演説のようにこぶしを握って力強く話し、首相周辺も「あれほど熱のこもった話しぶりは珍しい」と語っていました。
北朝鮮に裏切られて来た過去があるだけに、具体的な行動が確認できるまでは、圧力を維持すべきだという強い思いが拳に表れたのでしょう。

一方、この日、首相は「FIFAワールドカップトロフィーツアー」一行の表敬を受けました。
サッカーワールドカップの優勝チームに贈呈される、世界でたった一つのトロフィーが間近にみられるイベントで、世界中で開催されています。
安倍首相は「世界チャンピオンか国家のリーダーしかこのトロフィーを持つことができない」と、トロフィーを持つよう勧められると、勝ち誇ったような満面の笑みでトロフィーを掲げました。

この日は政府が今国会の最重要法案に位置付ける「働き方改革関連法案」が審議入り。
野党の多くが法案に反対する中、成立という成果を掲げることはできるのでしょうか。

4月28日(土)日米首脳電話会談 会見で紙を見て言葉を選ぶ

アメリカのトランプ大統領と電話で会談し、前日に行われた南北首脳会談を受けて北朝鮮への対応について協議しました。
終了後に記者会見を行いましたが、何度も手元の原稿を見るなど、丁寧に言葉を選んでいる様子がうかがえました。
その上で首相は「日米、日米韓の連携(協力)」という言葉をアドリブも交えて三度繰り返しました。

4月29日(日)日韓首脳電話会談を経て中東へ出発

徐薫国家情報院長と会談

午前に韓国の文在寅大統領と電話で会談しました。
この中で文大統領から南北首脳会談の場で北朝鮮の金正恩委員長に対し、日本の拉致問題を提起したと報告を受けました。
安倍首相は電話会談の後、南北首脳会談に出席した韓国側の3人の中の1人である、徐薫国家情報院長と会談。
およそ80分間にわたり、より詳細な報告を直接受けました。

午後には、中東のUAE、ヨルダン、パレスチナ、イスラエルを歴訪するため、羽田空港を発ちました。
シリアへの軍事攻撃など中東情勢が悪化する中、各国との関係強化をはかり、中東和平に積極的に貢献したい考えです。

1週間を振り返り…南北会談は安倍首相のシナリオ通りだったのか?

安倍首相は、北朝鮮が核・ミサイルの実験を加速させた去年9月以降、「圧力を強化していくことで、北朝鮮の政策を変えさせる必要がある」というフレーズを多用してきました。
圧力を強化して「北朝鮮の側から対話を求めてくるような状況を作る」というのが描くシナリオで、その通り圧力を高めてきました。

今年2月に、北朝鮮が平昌オリンピックへの参加を表明するなど「融和ムード」になると、首相はこれまでの圧力の成果だと強調しつつ「完全かつ検証可能、そして不可逆的な非核化」との表現を多用するようになりました。
北朝鮮による非核化の具体的な保証がなければ対話の意味はないと、釘を刺す役割を担ったものといえます。

 そして南北首脳会談を受け、首相は「前向きな動きと歓迎する」「評価できる部分は評価する」と、これまでより一歩踏み込みつつ「日米韓で方針を決めてきたラインにのっとって南北首脳会談が行われた」と、シナリオ通りであることを強調しました。
その際「日米、日米韓の連携」に何度も言及したのは、日本は決して「蚊帳の外」に置かれているということはない、との意味が込められているようでした。

 一方で、ある政府関係者は「南北会談は南北のためのものだった」と述べるなど、日本の懸案事項がどれだけ議題に上ったのか不透明な部分も残りました。

安倍首相や周辺は29日の日韓電話首脳会談後の会見には、やや渋い表情をして登場しました。
南北会談が、必ずしもすべてシナリオ通りの展開ではなかったということなのでしょうか。
今後の米朝首脳会談、そしてその先に模索している日朝首脳会談に向けた、安倍首相の対応が注目されます。


(政治部 官邸担当 山田勇)

取材部の他の記事