目の前が“廃墟”旅館でイメージ悪化…人気温泉街の戦い方

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  • 人気温泉街の“廃墟”旅館が周囲の旅館に迷惑をかける
  • 宿泊客から「景観が悪いから部屋をかえてくれ」
  • 元々老舗旅館だったが、後継がなく、廃業後そのままに

温泉旅館での楽しみは何だろうか?

温泉、食事、そして情緒ある景観。

しかし今、「景観が悪い」と観光客からクレームが相次いでいる人気温泉街があるという。

美しい温泉街に倒壊寸前の建物

福島県会津若松市の東山温泉。
年間50万人以上が訪れる人気の温泉地だ。

しかし、美しい外の景色を楽しんでいると、目についてしまうのが倒壊寸前の建物だ。

この廃墟の川を挟んで向かいにある旅館「くつろぎ宿・新滝」は、困っていた。
廃墟が、かきいれどきのゴールデンウイークにも、影響を与えているというのだ。

「くつろぎ宿・新滝」の渡部一貴マーケティング部長は「お客様から毎日のようにご意見やご指摘をいただきます。景観が悪いからお部屋を変えてくれとか、こんな景観を見に来たんじゃないとか、お金は払えないとかですね」と打ち明ける。

この廃墟がどんな状態なのか近くまで行ってみると、張りの部分が湾曲し、壁も剥がれてしまい、周囲は立ち入り禁止となっている。
また、建物のちょうど真ん中のあたりは、完全に抜けてしまっていた。

ここは、元々「髙橋館」という旅館だ。
入手した内部の写真では、荒れ果てた室内が見てとれ、屋根は崩れ、物が散乱している。
また、客室も障子が破れ、ふすまのようなものも倒れてしまっている。

老舗旅館がなぜ廃墟に?

今でこそ倒壊寸前の「髙橋館」だが、5年前までは普通に営業していたという。

当時の画像を見ると、昭和初期を彷彿とさせるレトロな雰囲気に、壁にかかった柱時計。
そしてこの旅館の主役・岩風呂は奥ゆかしさを醸し出している。

それもそのはず、なんと明治9年創業の老舗旅館だったのだ。

こんないい雰囲気だった旅館が、なぜ倒壊寸前の建物となってしまったのだろうか。

会津若松市は「東日本大震災の影響で7年前から客足が減りました。また、福島県ということで、原発の風評被害もありました。5年前に廃業することになりましたが、その後、雪の重みで屋根が倒壊してしまいました」と、旅館廃業の理由を説明した。

元々高齢のご兄妹で経営していたこの「髙橋館」だが、震災の影響で客が減少。
さらに建物の老朽化が進み、2013年1月には後継者もいないことから廃業してしまったそうだ。

雪の重みなどで、まもなく廃墟状態になってしまい、県や市は倒壊の危険があるとして所有者に修繕を要請していた。
しかしその費用が払えないという状態のまま、約5年間も放置状態になってしまったという。

その後、2017年10月に所有者が転居。
今年1月には、髙橋館の土地と建物を市へ寄付したそうだ。

前述の「くつろぎ宿・新滝」渡部一貴部長は、この雪解け後の時期だからこそ、余計に困ることがあるという。
 
「冬の期間は雪がつもっている間は、がれきが雪で覆われているので、今ほど目立たないんです。しかし雪解けとともに全体像が見えてしまい、雪が降る前よりもさらに崩れ方が激しかったりしてしまうんです」


温泉街に訪れた観光客は驚きを隠さず、「残念な感じですね。今はどこに行っても旅館の経営は厳しいから、こういう景色になってしまうのがかわいそうだけどね。ちょっと趣向を削がれてしまいますよね」と話す男性も残念な表情。

若い男性は「ここはあまり道幅も広くないので、危ないというのもありますね」と危険性を指摘していた。

景観を悪くさせるだけではなく、倒壊の危険もある。
そこで、この問題に立ち上がったのは…。

解体費用を負担するのは?

倒壊の危険があるこの旅館。
すぐにでも解体をしなくてはならない。
そこで、解体にかかる費用1000万円は誰が支払うのかについて、3月、市と周辺の旅館などで話し合いが行われた。

その結果、全額負担することになったのは、一番迷惑を受けている「くつろぎ宿・新滝」だった。

それは「お客さんのために一日でも早く景観を良くしたい」との思いからだ。

さらに、最高の景観であるはずの4階の部屋の値段は、以前は1万9000円だったが、現在は景観が良くないため1万2千円に値下げして営業している。

旅館の運営にまで影響を与えてしまっているこの廃墟を、どうにかしなければいけなかったのだ。


市は、管理・使用をこの旅館に委託し、現状では解体が終わった土地を駐車場や公園にする案などが出ているという。
GW明けに本格的な解体作業を開始して、5月中には解体終了を目指すということで、今後は旅館の窓から綺麗な景色が見られることになりそうだ。


このような空き旅館やホテルの問題は、各地の温泉街でトラブルになっている。

ここ、東山温泉では解決の道が見えたが、他の場所では所有者が不明になってしまった旅館や、解体費用を誰が負担するかなど、行政が頭を抱えることが多いというのが現状だ。

放っておいてしまうと温泉街全体のイメージの悪化にも繋がるため、早急な対応が求められそうだ。

(『とくダネ!』ヤマサキ調べました・4月30日放送分)

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