板門店で米朝韓が『戦争終結宣言』でノーベル平和賞当確?!

戦争終結は金正恩“体制保証”への起爆スイッチ

カテゴリ:話題

  • 山気たっぷりのトランプをくすぐる文在寅
  • 終結宣言の行先は米朝国交正常化と在韓米軍
  • 中露は国益第一で南北の仕掛けに相乗りへ

トランプ・金正恩会談の開催場所として、先の南北首脳会談と同じ軍事境界線の板門店が急浮上してきた。
4月30日のトランプ・ツイート、そしてナイジェリア大統領との共同会見での思わせぶりなトランプ発言がきっかけだが、仕掛けたのは間違いなく韓国の文在寅大統領だ。
その狙いは板門店宣言の次の一文に明示されている。

「南と北朝鮮は、休戦協定締結65年になる今年に終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で堅固な平和体制構築に向けた南・北・米3者または南・北・米・中の4者会談の開催を積極的に推進していくことにした。」

米朝+韓の3首脳会談に現実味も!?


板門店で米朝首脳会談を行うとなれば、ホスト国の大統領である文氏と韓国政府による支援と協力は不可欠だし、トランプ政権にとっては準備時間が短く実務体制も限られている中で頼りがいがあるというものだ。

当然、文大統領も板門店に出かける。
そこでは米朝首脳会談の行方にリアルタイムで関与できる可能性が考えられるし、3人が物理的に同じ場所にいるからには、米朝+韓の3首脳会談も現実味が出てくる。

正に板門店宣言が目指すことであり、早くも南北合作の成果が出ることになる。

文大統領としては、ここは勝負所だ。
トランプをその気にさせるために板門店をさりげなく、しかし強烈に売り込んでいると確信する。

トランプが「(板門店案を)気に入っている。もし物事がうまくいった場合、第三国より盛大に祝えることがその理由だ」と語っているが、ここら辺にはトランプの山気が上手にくすぐられていることが感じられる。
ミシガン州の支持者集会で「ノーベル賞」コールが湧き上がった際のトランプのまんざらでもなさそうな表情、あれが勘所を示している。

いかなる非核化の合意も細部や実現性には疑問符がつきまとうのに対し、平和協定交渉が続くにせよ朝鮮戦争を終了させる首脳合意は、誰にも分かりやすく歴史の教科書にも刻まれる出来事だ。

トランプの心が揺れるのも当然と言えよう。

着地点は「年内の戦争終結宣言」であり「南・北・米3者会談」


米朝首脳会談を巡っては北朝鮮の非核化ばかりが注目されがちだが、あらゆる合意は取引、つまりギブアンドテークなので、トランプが金正恩に譲れることは何なのかも考えなければならない。

米朝会談への道筋をつけた文大統領は、トランプも金正恩も受け入れ可能、かつ韓国としても望ましい着地点を意識しながらそれぞれに働きかけていると考えるのが自然だ。

その着地点が「年内の戦争終結宣言」であり「南・北・米3者会談」だ。
(宣言文からは「終結宣言」を南北だけでやるのか、米や中を含む3者あるいは4者でやるのかは明確でないが、恐らくいろいろ働きかけてみて、最悪でも年内に南北だけで踏み切るということなのだろう。休戦協定65年にかこつけて「年内」の期限を設けたところは南北の工夫と言える。)

なぜ「終結宣言」にこだわるのか。

それは、「終結宣言」は北の体制保証へつながるプロセスの起爆スイッチに他ならず、金正恩の切望をかなえることに直結するからだ。
「終結宣言」自体についてはトランプ、そして中国政府も歓迎する意向を表明しており、ハードルは低い。

だが、スイッチが入れば、終結宣言→休戦協定を平和協定に転換→米朝国交正常化と連鎖反応的に進むことになる。

年内にスイッチ・オンするということは、非核化の進捗状況は予断できないが、体制保証の方はちゃんと始めますよ‥という南北の意図表明と言える。
金正恩としては譲れないポイントだろう。

また、平和協定が結ばれれば、国連軍が韓国に駐留する根拠はなくなる。

在韓米軍は1954年発効の米韓相互防衛条約に基づいて韓国内に駐留しているので、平和協定、即、在韓米軍の撤退ということではないが、北朝鮮の脅威が激減すれば駐留の根拠が大いに揺らぎ、まず兵力の削減いずれ撤退という方向性が強く意識されることになりそうだ。

そもそも文在寅大統領は、戦時には米韓連合軍司令官でもある在韓米軍司令官が韓国軍の作戦指揮も執るいわゆる『戦時作戦統制権』を、2022年5月までの任期中に韓国に返還されることを目指している。

そうなると、韓国人司令官が在韓米軍を指揮することになりかねず、アメリカ軍がそれを受け入れるとは考えにくい。
トランプ大統領は、であれば全軍撤退と決めかねないタイプだ。

さらに、中国やロシアは国連軍という名のアメリカ軍が韓国に駐留を続ける状況を嫌っており、平和協定締結となれば即、アメリカと韓国に対し在韓米軍の削減そして撤退への圧力を強めるに違いない。

在韓米軍を巡る各国の駆け引きも一気に走り始めると予想される。

両首脳は2人きりで何を話した?中国・ロシアも対“北”で動きを加速

だからこそ中国やロシアが動きを速める。

中国の国務委員兼外相の王毅が5月2、3の両日、平壌を訪問するのは、2人きりのベンチ・トークで何を話し合ったのか金委員長の腹の中を探ること。
米朝首脳会談の行方を見通す。
そして、南北合作に中国がどのように関与し協力していくことが中国の国益にかなうのかを見極めるためだ。

南・北・米の3者で先行されるより、最初から南・北・米・中の4者でやりたいと言い出しても不思議ではない。

プーチン大統領も4月29日の文大統領との電話会談で、北朝鮮問題でロシアが排除されることがないよう、直接くぎを刺したという。
5月7日のプーチン再任式と閣僚人事確定の後、ラブロフ外相が速やかに訪朝することになるだろう。

中国とロシアは国連安保理での拒否権をテコに、在韓国連軍の将来と対北朝鮮制裁の強化/緩和を左右する影響力をもっている。
国益のため必要に迫られれば、力技で南北やアメリカと対峙することだってできる。

にもかかわらず北朝鮮詣でを急ぐのは、金正恩と文在寅が自律的かつ協同して仕掛けており、これまでの想定をはるかに超えて連鎖反応が続く可能性を意識しているからだろう。

今年に入ってからの北朝鮮を巡る情勢は、官僚の経験則=定跡をすっ飛ばした、首脳同士による仕掛け合いの様相だ。
ディール男のトランプをはじめメインプレーヤーたちは、首脳会談の連続で大波を起こし、その波に乗って、少し前には考えもしなかった遠くにまでたどり着こう。
この波を逃すまいとしているように見える。

この大波がどんな歴史を作り出すのか、興味が尽きない。

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