「南北の進展は象徴的なものに過ぎない」 専門家インタビュー

柴木友和
カテゴリ:ワールド

  • 南北首脳会談の結果はどのような影響を及ぼすのか、東アジア問題の専門家に聞いた
  • 「両首脳は最低限の進展を達成したが、このほとんどは象徴的なもの」
  • 北朝鮮が非核化の誓約を守る意思があるのかどうかには懐疑的であるべき

歴史的な南北首脳会談は、アメリカ・トランプ大統領が6月までの開催をめざす米朝首脳会談の前哨戦と見られていた。
今回の会談結果がどのような影響を及ぼすのか、マンスフィールド財団のジャヌージ理事長に聞いた。

戦略的なフレームワークを具体化するには時間と努力が必要

「非核化の目標で文大統領と金正恩というトップが合意した南北首脳会談は全体としては実りのあるものだった」

かつて国務省に勤務。
議会上院の外交委員会で政策部長をしていたこともあるジャヌージ氏は東アジア問題の専門家だ。
ジャヌージ氏は、南北が非核化で合意したことなどは一定の成果と認めつつも、次のように指摘する。

「両首脳は最低限の進展を達成したが、私はこれを誇張したくはない。こうした進展はほとんど象徴的なものだった」
「我々は慎重であるべきだ。北朝鮮の声明に疑念を抱く必要はないが、多くの詳細がまだ解決されていないことを理解する必要がある」

ジャヌージ氏はさらに、非核化は象徴的な言葉であり、実際に北朝鮮の核兵器の廃棄などロードマップ=工程表にして実行に移すにはかなりの時間がかかるとしていて、近く行われる見通しの米朝首脳会談でも困難があるとの見方を示している。

「北朝鮮はまだ、非核化を達成するために必要なロードマップや、段階的なステップを示していない。私はこれは米朝首脳会談においても達成されないだろうと考えている」
「戦略的なフレームワークを具体化することは、多くの時間と努力を要するだろう」

「アメリカはもう北朝鮮にもてあそばれない」

ただ、ジャヌージ氏は現在の状況は、以下の3つの点で過去の南北会談とは異なると指摘。
これまでと比べて成果が期待できる状況だという。

1:韓国の文在寅政権が北朝鮮に融和的で、まだ十分な任期が残っていること
2:北朝鮮の金正恩委員長の政治基盤が以前よりも強固であること
3:アメリカ大統領が、ディール=取り引きができるビジネスマンのトランプ大統領であること

6月までに開かれる見通しの米朝首脳会談では、北朝鮮がどこまで具体的に非核化に向けたプロセスに踏み込むのか、北朝鮮が見返りに何を要求してくるかが焦点となる。
トランプ大統領は27日、米朝首脳会談について「偉大な成功を期待する」と強調する一方で、
「アメリカはもう北朝鮮にはもてあそばれない」とけん制している。

【ジャヌージ氏経歴】
国務省情報・調査局勤務上院外交委員会政策部長(1997年~2012年)
北朝鮮などアジアを訪問
日米・米中・米朝関係など東アジア問題について専門

(執筆:FNN ワシントン支局 柴木友和)

南北首脳会談の他の記事