南北首脳会談の36時間前、米空軍はミニットマンⅢ型ICBM発射試験に成功

3年前に決定した発射試験のスケジュールを変更しなかった理由

カテゴリ:ワールド

  • 4月27日、10年ぶりの南北首脳会談を実施
  • 南北首脳会談の36時間前、米は大陸間弾道ミサイル発射試験
  • 米国は、南北首脳会談スケジュールを忖度せず? 

「板門店宣言」でミサイルは?

27日午前10時過ぎ、10年ぶりの南北首脳会談が、北朝鮮と韓国の境界の板門店で始まり、南北首脳は、午前、午後の首脳会談を経て「朝鮮半島の非核化」をあらためて、うたった「板門店宣言」に署名、発表した。
地上と海上、空中をはじめ、すべての領域で軍事的緊張と対立のもととなる一切の敵対行為を全面停止」としたうえで「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」と将来の目標について、南北の首脳があらためて“合意はした”形だが、「互いの軍事的信頼が構築されるのに従って、段階的に軍縮を実現」という、この共同宣言の書きぶりでは、軍縮は時間を掛けて行うというようにも読める。

それでは、北朝鮮が現在、保有している核弾頭・弾道ミサイルは、当面、維持されることにならないのか。また、時間が与えられるなら、新たに生産しないという約束に繋がるのかは、不詳だ。そして、日本にとって、重要な日本人拉致問題も言及がない。
さらに今年、「停戦協定を平和協定に」直すため、「南・北・米3者または南・北・米・中4者会談の開催を推進」と記述。この組み合わせのいずれにも、日本が入っていない。これでは、日本人拉致問題について、日本が直接申し入れる機会は確保できるのだろうか。

"北"が誇示した新型短距離弾道ミサイル

いくつも疑問が浮かぶ板門店宣言だが、それでも、従来、予測のつかない言動をとってきた金正恩委員長が、南北首脳会談を、予定通り、行ったことは、注目に値することかもしれない。北朝鮮は、従来、4月25日としてきた「朝鮮人民軍創建日」を、急きょ、ピョンチャン・オリンピック開会式前日の2月8日に変更。ソウルを射程内とする新型短距離弾道ミサイルを誇示した(参照:下画像)。

金正恩委員長は、これまで、核兵器、弾道ミサイルの開発・生産・配備にこだわってきたが、これは、金委員長が“軍事力を重視”してきたことに他ならないだろう。今回の南北首脳会談の予定を金正恩委員長に守らせたのは、何だったのだろうか。

首脳会談36時間前、米空軍がミニットマンⅢ型ICBM発射試験

南北首脳会談の日程を視野に入れたものとは言い難いかもしれないが、南北首脳会談の36時間程前にあたる25日05時26分(日本時間同日21時26分)、米空軍グローバル・ストライク・コマンドは、カリフォルニア州バンデンバーグ基地から、今年初めて、LGM-30ミニットマンIII型ICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射。太平洋マーシャル諸島北東に弾着させるのに成功した(参照:タイトル画像右+上画像)。
金委員長にとって気掛かりな米国のICBM能力の高さがあらためて見せつけつけられたことになったのではないか。

この発射試験のスケジュールは、南北首脳会談を視野に急きょ設定されたものではなく、3年前から決まっていたとされている。逆に言えば、南北首脳会談への影響を配慮し、発射試験スケジュールを変更するような、”忖度(そんたく)”は、米政府には、全くなかったということだろう。ひょっとすると、南北首脳会談を視野に、あえてスケジュールを変更しなかったということかもしれない。

いずれにせよ、予定されていた南北首脳会談は終わった。板門店宣言でうたわれた南北首脳の「定期的な協議と直通電話」、「5月の将官級会談」、「国防相会談を含む当局者会談」なども、今回同様、スケジュール通り開催されるかどうかも注目だが、次の注目は米朝首脳会談。
トランプ大統領が、どんな会談スケジュールを設定するのか。そこに、先に決まっていた何らかの米軍のスケジュールは絡んでこないのか。注目に値することかもしれない。

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