野党が政権を奪うために打つべき手は? 差別化を図る方法

フジテレビ解説陣が集結 2017年の政治を振り返り、2018年を予測【第5弾】

カテゴリ:国内

  • 野党は与党ができない政策を打ち出せばいい
  •  それができないのは小選挙区が原因?
  • 与党が野党の考える政策にまで手を伸ばしている

2017年は、トランプ大統領就任や北朝鮮のミサイル、天皇陛下退位の決定や眞子さま婚約、働き方改革や小池旋風、衆議院議員選挙など様々なことがあった。

2018年は一体どんな一年になるのか。

今回は、フジテレビ政治担当の解説陣による座談会、第5回目。

野党は何をすれば、政権与党の対立軸になれるのか?

政権を奪うには与党にできない政策を

平井文夫:
立憲と希望の比例票を合わせると、2000万票くらいあるんですよね。応援する人が 2000万人くらいはいるんですよ、これは自民党と同じくらい。

小林泰一郎:
今の時代は、少子高齢化がどんどん進んで、1000兆円を超える国の借金があり、そうなってくると、経済的な政策は、あんまり自由がきかないんですよね。与党と野党でそういう内政で違いが出てくるところは、ほとんどないんですよ。デタラメを言わずに真面目に内政を考えたら、差をつけようがないんですよね。
それが多分今の自民党と野党との関係みたいになっちゃってるから、だから経済的な政策で対自民党の軸を作るということが非常に難しくなってるんですよね。
だから私は中長期的に見て、対アメリカとか対中国とかそういう外交的な面も含めた新たな対立軸が出てこない限りは、野党の塊っていうのはできないと思うんですよね。

反町理:
プライムニュースの中で、与党に批判的な山口二郎さんが、そういう立場であったとしても外交的な部分では安倍首相のやり方に大きく注文をつけるところはないと言っていましたが、基本的には希望の党も現実対応って言っているし、長妻さんだって個別と集団の自衛権の差こそあれ、北朝鮮に対して具体的な対応マニュアルに関しては大きな違いはない、と言ってますからね。

平井上席解説委員

平井:
野党は、自民党ができないけど、国民がやってほしいと思っている政策を出せばいいんですよ。例えば、労働規制の緩和とか、自民党がどうしてもいろんなところに気を使ってできない政策ってあるじゃないですか。禁煙にしても。

小林:
既得権益みたいな部分?

平井:
そこをやればいいのにといつも思うんですけど、野党もできないことありますからね。政権を取るにはそれが一番簡単です。これと、これと、これと、これは自民党はできないことで我々はできますっていうね。

政策を掲げられないのは小選挙区が原因?

反町:
僕はそれに関しては、所得の透明性・捕捉率の向上、その一点だと思うんですよ。

マイナンバーを活用して、資産の捕捉、所得の捕捉、十五三一(とうごうさんぴん、サラリーマンは所得の10割に税金がかけられ、自営業者は所得の5割に、農業は3割しか課税されず、政治家の所得には1割しか課税されないという例え)じゃなくて、これを徹底的に透明化して、向上すること。

それを野党が先頭切ってしっかりやれば、圧倒的多数の国民の支持は得られると思うんですけどね、ただ野党も説明は嫌がりますけどね。小金持ちだって財布の中を覗かれるのは嫌なんだから。ただ自民党は支持母体である中金持ち大金持ちの人たちの利権とか権益を一番守ってるんだから。それを野党が国民に説得できるかどうかですよ。

ちゃんと「所得の透明性、資産課税の透明性やらなにやらを徹底しますよ」ってことであれば、いわゆる所得の再分配とか、格差の是正とかに対する一番のカウンタープランだと思うんです。ただそれは共産党は別の意味でマイナンバーは嫌だし、これは昔の治安維持法の思い出が蘇るからって言うことでしょう。
民進党は民進党で説明をするってことにコストがかかるから嫌だし。自分のところの支持者でも財布の中身を覗かれるのは嫌だって言うだろうから、それを丁寧に説明しないで、モリカケとかパッと見てわかるテーマで自民党を闘うという、そこが至らないところなんだと、僕は思います。

だからコストと手間をかけて、本当にこういうことをやれば、自民党の支持基盤を切り崩して、国民の大多数が理解してくれて、不公平感も是正できるような政策を、丁寧に国民にアピールしていくだけの努力が足りてないんですよね。

小林解説委員

小林:
結局、昔55年体制の時は、お金持ちは自民党に乗りましょう、貧乏人とかその他の人たち、社会の真ん中の人たちは社会党に入れますみたいなことがあったわけじゃない。
でも今はそういうのがぐちゃぐちゃになってるから、そもそも支持基盤っていうのがはっきりしないし、支持している連中だけが頑張ったって当選できないわけ。野党はもちろんそうだけど、自民党もそうだと思う。

だからそうなってきた時にじゃあ、野党は何で闘うんだろうねって思いますけどね。

岡野:
小選挙区で1人しか選ばれなくなっちゃったから、なかなか難しいですよね。中選挙区の時は自民党の商工族と自民党の農林族が両方ガッと来るって言うことができたけど、今それができないからね。

小林:
中選挙区のころは自民党同士のサービス合戦と批判されたけど、今は小選挙区になって、それこそ人気取りだけだから。

岡野:
ちゃんとした政策が打ち出せないんですよね。誰かしらが反対するんだもん。

反町:
そうそうおっしゃる通り。

岡野解説委員

自民党の政策が左右に広くなっている

平井:
だったら自民党と同じ政策にしておいて、風が吹けば政権取れるわけだから、その方がいいかも。

反町:
政策以外の点で我々には自民党にはないところがある、とかになってますよね。

平井:
我々には信頼感があるとかね。嘘はつきませんとか。

小林:
それは国の政治にとっては不幸だよ。

反町:
でも自民党が左寄りにも政策を伸ばしているからじゃないですか。

小林:
有権者にとって、自民党と自民党の戦いじゃないか、みたいになっちゃってますよね。

平井:
現実的にそうなってる。

反町解説委員長

反町:
でももう野党は基本それを狙っていくんだと思いますよ。

希望の党とかだと、外交安全保障については現実路線っていうことは、そこでは戦わないんだから。内政においては、より働く人に寄り添った政策、それは連合がついてるんだから当たり前のことなんです。そこで差別化をはかって、左に伸ばしてきた自民党に関して、今度は右に手を伸ばしてね。
そういう立ち位置を狙っているような気が僕はしていますけどね。

岡野:
働き方改革や幼児教育無償化など、みんな野党が言ってきたことですもんね。
昔は俺の選挙区は農業だとか、俺の選挙区は工場があるとかだったのが、要するにどこに一番大きな票があるかっていうのを、どこに手を伸ばしたらって言うところを考えたらば、それはもう働き方改革であり、幼児教育の無償化であり、高等教育の無償化で、なんとなくみんなが得した感のあるところですよね。

実現できない野党が言ったって毛針みたいなもので、財源はどこにあるんだってなっちゃうけど、自民党がやるって言えば、逆に言えばちゃんと財源考えてくれるんだろと思っちゃいますからね。結果それでタバコの値段が上がったりするんだけど(笑)。
だから自民党の方が滑り落ちないように、野党的な政策をどんどん取り入れてるもんね。

小林:
どんどん寄ってきちゃってるんだよね。

反町:
でも前原さんもかわいそうですよ、どんどん案とられちゃって。

平井:
でも実は自民党の方が人材がいない気がするな。野党の方が政策がわかってる人材が多くて、自民党って「う〜んこの人は」ていうのがもいます。

小林:
相変わらず地盤看板があって、世襲みたいなのがあるから、どうしても優秀な人が出られないんですね。

平井:
政策に関してだけ見ると野党の方がいい議員が多いかも。

反町:
確かに番組で話を聞くとなると…まあ官邸主導が強すぎるのかもしれないですね。あんまり考えずに政府の言うことをそのままっていう自民党議員が多いかもしれないですね。

平井:
自民党の中には、野党の言葉にちゃんと反論できない人もいます。
ある時、番組で野党議員が間違ったこと言って政府を批判したんですよ。僕が反論するのもおかしいので自民党議員が反論するかなと思ったんですけど、しなかった。わかってなかったのかな。あれはまずかった。

だから自民党は安倍さんがいなくなった後、大丈夫かなって心配になります。
その時期には、麻生さんや二階さんら70代の方たちが辞めていってしまう。政策の議論ができるのか心配になります。

イラスト=さいとうひさし