一品一品に込められた思惑と思想と嫌がらせ 晩餐会メニューから紐解く南北首脳会談

カテゴリ:ワールド

  • 晩餐会メニューから文政権の思惑が見えてくる
  • デザートに竹島を描くなど反日感情をあからさまに
  • 外交舞台での料理を使った嫌がらせは韓国政府の常套手段

晩餐会メニューから文政権の思惑が見えてくる

韓国大統領府は、南北首脳会談が開かれる板門店の様子をテレビで放映する予定であり、青瓦台はお祭り騒ぎのようだ。

南北首脳会談は、過去2000年、2007年の2回開催されているが、その時の韓国大統領は、金大中氏と盧武鉉氏。
いずれも文氏が尊敬する革新系指導者であり、肩を並べることへの満足感がうかがえる。

24日には、首脳会談の夕食会に出されるメニューを発表した。
現在、休戦中であり核兵器の保持を目論む隣国との首脳会談にしては、緊張感が薄く感じられる。

韓国大統領府によると、夕食会のメニューは朝鮮半島の平和と統一に向けて尽力してきた人物に敬意を表した食材が使われている。
このメニューを深堀すると、文政権の思惑が見えてくる。

反日運動活動家の故郷のタコを使用

冷麺の本場である北朝鮮の高級店「玉流館」の冷麺を文大統領が所望し、金委員長の指示により、同店の首席料理人が板門店に製麺機を持ち込み調理するという。玉流館には、第一回首脳会談の際、金大中氏も訪れている。

冷麺の他には、金大中大統領の故郷である可居島のニベ(イシモチ)とナマコを使った饅頭、盧武鉉元大統領の故郷の金海烽下村の鴨を使った耕法で作った米、音楽家ユン・イサンの故郷・統営のタコの冷菜などが提供される。

ユン・イサンは、韓国で生まれで、戦時中は反日運動に身を投じ、その後、ドイツに移住したコミュニストである。
北朝鮮を数回訪問し金日成とも親交があり、1967年にはスパイと疑われKCIAにより拉致され、ソウルに送られ、一度は死刑判決を受けたが無期懲役に減刑後、大統領特赦により釈放された過去を持つ。

盧武鉉政権により名誉が回復されている。
ユン・イサンを持ち出すところにも文大統領の思想的背景が感じられる。

マトウダイの口から金貨がザックザック・・・?!

さらに、文在寅大統領が幼少期を過ごした釜山で獲れたマトウダイの焼き物、金正恩委員長が留学したスイスの料理レシュティを韓国式にアレンジしたジャガイモ料理カムジャチョンが出される。

マトウダイは、フランス料理では「サン・ピエール」という名で呼ばれる高級食材で、特にムニエルが美味しい。
この名は、イエス・キリストの使徒ひとり聖ペトロに由来する。

ペトロは、マトウダイの大きな口の中から貢物にする金貨を取り出したという言い伝えがあり、マトウダイの横腹にある班模様は、その時についたペトロの指紋といわれる。

文大統領は、どのような貢物を金正恩委員長に贈るつもりなのだろうか。

南北融和を導いた”不正送金” そして牛が送られた・・・

メイン料理は、故鄭周永現代グループ会長が北朝鮮訪問時に送った牛を飼育した忠清南道瑞山の牧場の牛の炭火焼きである。
現代グループは、南北融和に重要な立場にあった。

2000年6月、第一回南北首脳会談が、金大中大統領と金正日委員長の間で開催され、南北共同宣言が発表され、離散家族の再開、スポーツ交流、経済協力などが進められた。
金大統領は、この功績によりノーベル平和賞が贈られている。

この会談に先立ち韓国の財閥である現代グループは、北朝鮮に対し観光利権を獲得する裏金として4億5000万ドルの不正送金を行ったことが米国議会により指摘された。
この資金は、金正日氏や金正男氏などの当時の北朝鮮指導者に渡されたと推測され、首脳会談開催を後押ししたと考えられる。
その功績をたたえる料理なのだろうか。

外交舞台での料理を使った嫌がらせは常套手段

極め付けは、デザートである。
「民族の春」名付けられた春の花で装飾されたマンゴームーズの上には、朝鮮・韓民族の結束を現す統一旗があしらわれている。
この統一旗には、丁寧にも0.21平方キロしかない日本固有の領土、竹島まで描かれている。

平昌オリンピックで使われた統一旗には、竹島はなかった。
北朝鮮は、統一旗に竹島を入れることを要求したが、韓国は受け入れなかった。
しかし、今回は堂々と書き加えられている。
当然、日本政府としては抗議をしているが、韓国政府の外交舞台での料理を使った嫌がらせは、米トランプ大統領に竹島付近で獲ったエビを独島エビとして提供した事例がある。

国際社会の一員としての冷静な対応を期待する

韓国と北朝鮮の終戦は、アジアの民として望むべきところである。
しかし、北朝鮮は、未だ核保有を放棄したわけではなく、中、短距離ミサイルの破棄には触れていない。
また、拉致問題は一向に解決のめどが立っていない。

日本海では、北朝鮮漁船による密漁が横行し、さらに、連日のように不審な北朝鮮船が流れ着き、沿岸住民の生活を脅かしている。
北朝鮮への対応は、韓国一国の問題ではない。

文大統領には、冷静に国際社会の一員としての冷静な対応を期待したい。

(執筆:海洋経済学者 山田吉彦)

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