中国:新型弾道ミサイルDF-26旅団がもたらすこと

DF-26弾道ミサイル旅団の誕生で、米空母を牽制し、中国空母の行動範囲を拡大か

カテゴリ:ワールド

  • 南シナ海に中国戦略ミサイル原潜の“聖域”誕生か 
  • 射程4000㎞のDF-26中距離弾道ミサイル配備で、米空母部隊の動きが制約される?
  • ロフテッド軌道が可能なら、日本の安全保障に更なる課題にも

中国軍の動きが活発だ。4月12日に大規模な海上閲兵式を習近平主席を迎えて実施。
場所は、南シナ海であり、射程8000㎞とされる戦略弾道ミサイルを搭載する094型戦略ミサイル原潜JIN(晋)級の改良型が新型原潜として登場。
戦略ミサイル原潜を敵艦から守る093A「商」級攻撃型原子力潜水艦の新型や、潜水艦の万が一の事態に際し、乗員を救出するダラオ級潜水艦救難艦・青島も姿を見せ、まるで、中央部に深さ2000メートルを超えるエリアが広がる南シナ海を、中国ミサイル原潜の”聖域”として誇示しようとしているかのようにも見えた。

もちろん、原潜に、とどまらず、空母「遼寧」と艦隊を組む、中国版イージスとも称されたルーヤンⅢ級/052D型駆逐艦及び蘭州級/052C型駆逐艦、さらに各種のフリゲート、コルベット。空には、H-6G爆撃機や各種戦闘機、それに、空飛ぶレーダーサイト、KJ-500早期警戒機の姿もあった。

空からも、海からも、南シナ海中央部を中国の“内海”として守る姿勢を強調しているようである。
鉄壁の守りの中に、中国ミサイル原潜の聖域が生まれれば、米国との戦略兵器バランスに大きな影を落とすかもしれない。

そして、海上閲兵式に参加した空母「遼寧」、052Dおよび052C型駆逐艦、ジャンカイⅡ級フリゲートが、4月20日から21日に掛けて、台湾の東側を通り、沖縄本島と宮古島の間を抜けて北上。防衛省の発表では、遼寧の甲板からは、J-15戦闘機が発艦するのを太平洋で初めて確認したという。

さらに、19日、20日には、中国空軍のH-6K爆撃機が、沖縄本島と宮古島の間を抜けて、台湾の東側を飛んでいたが、その左右の主翼の下には、射程1500km以上とされるCJ-20地上攻撃用巡航ミサイルの訓練弾と思しきものが吊り下がっていた。

遼寧は、中国海軍では、艦載機パイロットや空母乗員などを訓練するための練習空母という位置づけだったはずだが、中国軍は、今回、実働的な空母艦隊の編成を、台湾、日本、米国に見せつけたようであった。中国の自信の背景には何があるのだろうか。

4月16日、中国の解放軍報は、数日前に核・非核両用のDF-26中距離弾道ミサイル旅団が稼働したと伝え、同日、中国の中央電視台経由で、その部隊の映像がリリースされた。解放軍報によれば、DF-26は「核・非核両用のミサイルシステムは、迅速な核による反撃を行い、重要な陸上標的や洋上の大型および中型の艦船に対し、通常兵器として中長距離精密攻撃を実行することができる」できるという。

DF-26の射程は、解放軍報には記されていなかったが、一説には、4000㎞とも言われ、これが正しければ、米太平洋軍の一大拠点、グアムは十分、射程内。つまり、グアムまでの距離にある脅威は、地上であれ、洋上であれ、弾道ミサイルであるDF-26が、”迅速に”打撃し、排除できる、と示唆しているのだろう。
これが、正しければ、米海軍や海上自衛隊の艦船の動きもかなり、制約されることになり、その逆に、中国海軍は、DF-26弾道ミサイルの傘の下、活動範囲を広げられるということになるかもしれない。間もなく、新しい国産空母を進水させると言われる中国海軍にとって、DF-26旅団の存在は心強いかもしれない。

ところで、2015年のパレードで、DF-26の移動式発射機は、16両が登場。今回の映像では、同時に22両の姿があったという。つまり、この移動式発射機の数だけ、DF-26は、連射可能になるはずだ。
また、このミサイルを高く打ち上げて、手前に落とすロフテッド軌道だと、日本も射程内になりかねない。しかも、従来の弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイルでは想定していない、相当の高度からの弾頭落下となりかねない。すると、日米の現在の弾道ミサイル防衛能力では、防御が困難となりかねない。
日本にとっては新たに突き付けられる安全保障上の課題となるのだろうか。

能勢伸之の安全保障の他の記事