北朝鮮「核・ミサイル実験停止」に日本政府は

「一歩前進」発言から読み解く本音

カテゴリ:国内

  • 菅長官「一歩前進」と評価…その背景
  • 「私どもが考えていた方向」の意味
  • 北はカードを切ったのか

北朝鮮について菅長官は「一歩前進」

「一歩前進であり、前向きな動きとして歓迎している。今回の発表が北朝鮮の核ミサイル破棄に向けた具体的な行動につながることを期待している」

 菅官房長官が23日の会見で、「歓迎」と「期待」を示したのは、突然ともいえる北朝鮮の重大発表に対してだった。

北朝鮮の金正恩委員長は20日、「我々はいかなる核実験、中距離や大陸間弾道ミサイル発射も必要がなくなった。北部核実験場も使命を終えた」と述べ、核実験や弾道ミサイル試射の停止、核実験場の廃棄を宣言した。


菅長官は会見でこう続けた。

「今回、北朝鮮が核実験およびICBM試験発射の停止、核実験場の廃棄等を自ら発表し、さらには、金正恩委員長が核兵器のない世界の建設に積極的に寄与しようとまで述べており、これらにおいて一歩前進であり、前向きな動きとして歓迎している。今回の発表が北朝鮮による核・ミサイル廃棄に向けた具体的な行動につながるという風に期待している」

北朝鮮の発表直後にコメントした安倍首相と同じく「前向きな動きとして歓迎」という言葉を使いながら、「一歩前進」と踏み込んで北朝鮮の対応を評価した。

私どもが考えていた方向への第一歩

23日午前の記者会見

そして、会見で菅長官は北朝鮮の対応についてこうも述べた。

「私どもが考えていた方向に第一歩を踏み出した、このように考えております」

日本が考えていた通りの方向だと強調した菅長官。

22日のテレビ番組の中では「日米韓を中心に圧力をかけて来た、国連での経済制裁、極めて強い決議がようやく去年に出来た。そうしたものが北朝鮮の政策を変える流れになった」として、日本が主導して圧力をかけ続けた成果だとアピールした。

 さらに、菅長官は北朝鮮の発表を額面通り受け入れるのに否定的なメディアの論評に対しても「今まで二回約束を破られたが、その時は軍事的、経済的圧力はなかったから、そこは違う」と指摘するなど、圧力に基づかない中で国際約束を反故にされてきた過去の経緯と、今回の動きは違うと強調した。

その背景には、一部で指摘されているように、日本が対話への流れから取り残されているのではなく、圧力をかけた上で北朝鮮から譲歩を引き出す融和への展開は、「狙い通り」なのだというアピールもにじむ。

北朝鮮はカードを切ったのか…南北首脳会談で答えが

政府内でも、北朝鮮の真意について、「南北や米朝首脳会談もやっていないのにすでに交渉のカードを切っている」として、非核化に前向きなのは確かだと見る関係者もいる。
つまり、政府内では今の北朝鮮の動きを「信じてもいい」状況にあると分析し、それが菅長官の「一歩前進」の表現につながった可能性がある。

一方、河野外相が出席したG7外相会合では北朝鮮の動きについて、足並みをそろえて「一歩前進」と歓迎しつつ、「核の放棄について何も言っていない」との認識が共有された。

27日の南北首脳会談で、北朝鮮から核の放棄に向けた具体的な提案は出てくるのだろうか。

主な場面が生中継されるこの会談での金正恩委員長の発言で、日本政府が評価する「前進」が確かなものなのかどうか、わかるはずだ。

(政治部 官邸担当 千田淳一記者)

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