2018年の日本企業は「ディスラプター」に対応できる?

フジテレビ解説陣が集結 2017年の経済を振り返り、2018年を予測【第1弾】

カテゴリ:ワールド

  • 2018年春に黒田総裁が任期満了を迎え、経済政策は?
  •  東京は五輪に向けて、景気は上がっていく予想
  • ビットコインの法整備は日本が進んでいるが、この先は?

2017年は、トランプ大統領就任や北朝鮮のミサイル、天皇陛下退位の決定や眞子さま婚約、働き方改革や小池旋風、衆議院議員選挙など様々なことがあった。

2018年は一体どんな一年になるのか。

今回は、フジテレビ経済担当の解説陣による座談会、第1回目。

2017年の日本の景気を振り返りつつ、2018年の景気や、価値が急上昇したビットコインについて話し合った。

黒田総裁の任期満了で金融政策がどう変わるか?

大山泰:
2017年は基本的に欧米や外需の調子がかなり良かったですね。製造業を中心にGDPの結果なんかでも外需が強いと言っているので、非常に巡航速度で過ぎた一年だったと思います。

現在も産業部品、産業機械などの受注が多すぎて、生産が追い付かないという声もあり、一部の企業を除いたかなりの企業が、史上最高益更新といった状態が続いて、主にアメリカも、ヨーロッパも景気がいいので、それに引っ張られた1年だったのではないかと。

日銀も緩和を進めているのでマネタリーベース拡大が始まった2013年4月4日に比べると、3.6倍くらいになっています。最初130兆円だったのが、もう470兆円(2017年9月)ほどのお金が回っている。21年間乗り越えられなかった日経平均2万2666円の壁を抜いたのは、金融緩和の影響もあるし、今のところは巡航速度が続いてると思います。

智田裕一:
金融緩和がだいぶ進んできましたよね。ただ、アメリカやヨーロッパはもう出口に向かっていて、その動きが加速しています。株価も企業業績も良いいまの景気拡大を反映して、日本より先にアメリカ・ヨーロッパは、正常化への動きを加速させていると思います。将来、景気後退の局面になったとき備えて“のりしろ”を確保するために、利上げやそれをにらんだ動きへ踏み出しているんだと思います。

一方、日本はまだ(物価上昇率)2%への到達がなかなかできない中で、アメリカやヨーロッパに比べると後ろを走っている感じ。2018年もそのままの傾向になるのではないかというところはあると思いますね。

年末に黒田総裁の発言が変わってきた部分もあるんですけども、この先2%の目標をずっと掲げ続けたまま今の政策を続けていくのか、それとも長期金利を0%から少し上げて、出口まで行かないにしても、何らかの政策変更をやるのかというところが、2018年の焦点かと思います。

あと黒田総裁の任期が春で満了するなか彼が続けるのか、誰か別の人になるのかというのも、金融政策がどう変わるのかということに関わってくると思いますね。日本の金融緩和がどうなっていくのか、そこがポスト黒田と絡んでどうなるかというところが、2018年の一つの大きな注目点です。

鈴木款: 
2017年1月にトランプ大統領が就任して、世界の株式市場はトランプショックになるのではと言われていましたが、逆にトランプ相場になり、どんどんアメリカが世界を引っ張る形になった。

しかしアメリカの株式市場の強さの源泉はトランプではなく、IT企業だと思います。中国もそうですが、シェアリング・エコノミーをフル活用していますよね。一方の日本は、高齢化社会が進んでいてシェアリング・エコノミーやIoT、ロボットなど潜在的にニーズが大きいはずなのに、周回遅れに近い状態です。2018年はそこをどうするかということなんですよね。

あとはやっぱり金融緩和。欧米が出口に向かっている中で、日本はどうするんでしょうと。黒田総裁は再任しそうですが、ズルズルといつまでもマイナス金利を続けていくと預金者も銀行も痛みます。それをどうしていくのか、という課題もあります。

山田博:
経済全体でいうとGDPは非常に好調で、株価も表面的には上昇しているということで、順調な一年だったかなとは思います。企業の面に転じてみると2つポイントがあります。「選択」と「集中」が非常に求められた一年だったのかなと思いますね。

企業の面に転じてみると、2つポイントがあって、1つは選択と集中が非常に求められた一年だったのかなと思います。

まぁ、東芝は半導体メモリーの売却を余儀なくされた訳ですが、パナソニックは自動車の部品メーカーのようにEV(電気自動車)向けの電池の供給を加速させ、また自動車業界は、EV開発の覇権争いでさまざまな手を打ってきた1年。
また、仮想通貨やフィンテックも注目されてきて、中国ではIT企業アリババが金融業界を制しそうな状況もあるので、メガバンクも変わらざる得ない状況だと思います

もう1つは、選択と集中の原因でもありますが、「ディスラプター」つまり破壊者です。日本はまだまだですが、海外のディスラプターはすごい。これまでの日本企業で当たり前だと思っていたやり方経営のやり方など、サービスや製品に対する評価や見方はディスラプターの登場で非常に大きく変わります。2018年はこういった動きに対して、大きな波が来ると思うので、どう対応していくのかを政府も働き手も、みんなで知恵を出し合っていかなければいけない年になると思います。

あとは、トランプリスクと北朝鮮リスク、戦争始まったらね今言ってることなんて吹き飛んじゃうかもしれないし、そこが2018年のポイントだという気がします。
小川美那:
都内の景気について取材すると、年に4回出される財務省関東財務局の経済情勢報告で、今回は個人消費と企業の景況感、両方が上方修正されていて、これまで東京都内は厳しいと言われていた衣料品やデパートなど、ショッピングセンターの消費が伸びています。乗用車の新車登録台数も前年を上回って、地方より先駆けて景気回復の動きが東京で顕著に出ているのかなと。

先行きも上昇傾向だという分析も出ています。

都庁内の財務局や政策企画局などの局の幹部に取材をしても、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでは都税の税収も増加傾向にあり、それに沿って景気も上がっていく。しかし、オリ・パラ後はどうなるかわからないというのが共通した見方なんです。
2017年も景気の本格的な回復も見えてきて、2018年も東京オリンピック・パラリンピックに向けて伸びていくというのが都庁の見方だと思いますね。

ビットコインの法整備は日本が進んでいる

ーービットコインは今年凄い値上がりを見せていましたね。

智田:

そうなんですよね。値上がり以外にも分裂騒動などもありましたけど、実は中央銀行でもブロックチェーンのシステムを入れようという話が出ています。ビットコインは中央に管制的なシステムを入れないで、参加者みんなで取引を監視する、そうしたらコストも低くなると。今はビットコインの値動きにバブル的な要素が多いとは思うんですけど、ブロックチェーンのシステム自体はコストの点からいっても、発展性があると思うんです。

今は仮想通貨はまだ決裁の面で普及が大きく進んでおらず、資産価値ということで所蔵している人も多いと思いますが、参加者がみんなで取引記録をつなげて、ブロックチェーンを続けていくシステムの技術自体は将来性のあるものですよ。ただ、ビットコインなどの場合、取引を承認するマイナーっていうのはだいぶ寡占的で、すごく膨大なコンピューターでやらないと…

山田:
電気代がとんでもないんですよね?

智田:
そうなんです。凄いコンピューターが必要で、電気代が高くなり、さらには冷房入れなきゃいけない。マイニングのコンピューターの中で一番にならないと報酬がもらえない。大規模なコンピューターシステムを作れる業者は限られていて、そこにビットコインの新規獲得者が集中しているということです。

鈴木:
でも法整備は日本が欧米諸国より進んでいますよね。金融って基本的にはBIS規制も含め欧米に先にやられてますけど、ビットコインに関しては金融庁が割と頑張っていて、一番進んでいると思います。

マウントゴックスの事件があったことが弾みになったというか「法整備をやらないとだめだ」ということになって、逆説的に言えば良かったですよね。

山田:
世界的に統制しようみたいのはあるんですか?

智田:
仮想通貨は、複数系列ありますけど、規模が一番大きいのがビットコインです。中央で統制しないというのが魅力的とされ、成長してきているんです。参加者全員できちっと管理を保っていくという原則が崩れちゃうと、ビットコインの良さはなくなってしまいますし、しかし一方で投機的に動く部分もあり、信頼性に向けた課題も多いというところですね

大山:
お金と資産には聖人君子にしか集まらないってわけじゃないから、そこは相当な課題になると思いますよ。自主規制団体を作って、自分たちのルールをきちっと決めたりできるかっていうことが課題ですよね。全世界的に、マネーローダリングして、ミサイル作るお金にしたがる人もいるじゃないですかきっと(笑)難しいところはありますよね。

イラスト=さいとうひさし