知らないうちに使っているかも!「新しい電話」でビジネスも働き方も変わる

サンフランシスコでみた最新テクノロジー

カテゴリ:テクノロジー

  • 新たなコミュニケーションの形を生み出す取り組みが始まっている。 
  • 「ネット」と「電話」をどうつないでいくか。
  • AIと顧客満足をどう上げるかがポイントになる。

コミュニケーションの無駄を省く

あなたはお店のオーナーで、自動販売機を設置している。

その自動販売機が故障してしまった。さて、どうするだろうか?

よほど技術に詳しい人でない限り、トラブルが起きた日時や状況、症状などを電話で伝え、エンジニアに来てもらって修理をしてもらうことになるだろう。

これだと、コミュニケーションに時間も手間もかかってしまう。

アメリカのコカ・コーラ社も、これまではそのような対応をとってきた。

しかし、現在はテクノロジーを入れることで状況は変わっている。

トラブルが発生すると自動販売機自身がそれを検知し、すぐに携帯電話のショートメッセージをエンジニアに送る。それを見て、エンジニアは現場に行って修理。作業が完了したら通知が各所に配信される仕組みで、無駄がほとんどない。

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こうした作業効率の向上を可能にしたのがTwilioというサービス。

一般には馴染みは薄いが、コカ・コーラなどの大企業のほか、Uber、Airbnb、BoxといったIT企業など、多くの会社で導入されている。

Twilioは「クラウド電話API」と紹介されるが、わかりやすく言うと「ネット」と「電話・SMS」をつなぐサービスだ。

開発者は簡単なコードを書くだけで、「ネット」の情報を「電話やショートメッセージ」で通知したり、「電話」を使って「ネット」の仕組みを操作したりできる。

「電話」と「ネット」をつないでビジネスを最大化

これを応用し、人工知能(AI)を使ってコールセンターの自動応答をしたり、Uberを使うときにユーザーとドライバーがお互いの番号を知らせずにやり取りしたりすることができる。

世界100か国以上に電話番号を提供しているというTwilioはサンフランシスコに本社を構えていて、そこを訪ねた。

オフィスの中に入ると、いたるところに靴がぶら下げられている。これらはお客さんの靴で、ユーザーの目線になって地に足をつけていこうということで、仕事をしながら見える場所にぶら下げられている。

Twilioのプロダクト全体とメッセージングサービスを統括しているパトリック・マラタックさんに話を聞いた。

パトリックさん(右)

AIとカスタマーエンゲージメント

開口一番、パトリックさんが強調したのは「コミュニケーションは、すごく期待できるエキサイティングな産業だ」という言葉だった。
 
「コミュニケーションがどうして期待できる産業かというと、家族やお客さんなどいつでもどこでも起きているからです。メッセンジャーやLINEなどもそうですし、銀行に行くと窓口やATMなど、どれもコミュニケーションが発生します」

ただし、同じコミュニケーションでも違いがある。

「友達や家族とコミュニケーションするのは簡単ですが、銀行や企業とコミュニケーションするのはすごく難しいことです。これを簡単にするのが我々の目的です」

その目的を達成するために、いま特に力を入れているのが、人工知能(AI)とカスタマーエンゲージメント(顧客満足)だ。

この2つを追求したところ、コールセンターでは、すでにTwilioなしでは成り立たないところも出ているという。

「AIの素晴らしいのは、賃金を払わなくていいのと、賢くなるのと、眠らないこと。AIが20~30%の簡単な問い合わせに対応することで、働いている人は楽になり、会社は節約ができ、客は素早く必要な情報をもらえます」

たくさん電話を受けることでどんどんデータが集まり、さらに対応がよくなっていく。そのため、AIを入れておけば、工夫をしなくても働く環境がどんどんよくなっていくのだという。

働く環境がどんどんよくなる(IMAGE)

それでは、AIが発達することによって、仕事がなくなってしまうのではないだろうか?

「AIは素晴らしいです。でも、たくさんデータがある問い合わせでないと対応できません。一般的ではない問題は人間の方がやはり優れています。これからもきっとデータがないものは人間が強いと思います。多くの会社は人間とAIの“両方いいところどり”をしています」

イギリスでは、電話をしているだけでパーキンソン病の症状を検知できるサービスも始まっている。話しているペースなどをAIがマシンラーニングすることで、普通に人間が聞いただけではわからないような変化がわかるのだという。

Twilio本社

カスタマーエンゲージメントを上げるという点では、Twilioが提供する番号を使った通話が人気だ。利用者同士が事前に電話番号を交換しなくても通話ができ、個人情報が漏洩する心配はない。配車アプリUberではこの仕組みが使われている。

民泊サイトAirbnbでは、ホストと客がテキストでコミュニケーションを取れるようになっているため煩わしさが少ないと評判だという。また、eコマースでの商品購入や病院でも待たされるイライラを解消するサービスを提供している。

パトリックさんは「Twilioを使って何かを作ったことはないと思いますが、Twilioを使って作られているサービスはきっと使ったことがあると思います」と語るだけあって、本当に多くの企業やサービスで使われている。

「コミュニケーションをよくすることが、ビジネスをよくすることにつながっていきます。様々な開発者たちがTwilioを使って、まだ誰も知らないコミュニケーションの形を作ってくれると思います」

コミュニケーションの形を再定義する。そんな新たなサービスを生み出した開発者が、次のイノベーションを起こすことになるのかもしれない。

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