被災地に強い味方が参上!気象の専門家チーム“JETT”が始動

カテゴリ:国内

  • 気象庁は気象防災対応支援チームJETTの運用を5月1日から開始する
  • 自治体の災害対策本部に、地元気象台職員のチームを派遣 被災地の天気などを的確に解説
  • 避難のタイミングなど災害時に難しい判断を迫られる防災担当者の背中を押す役割を果たす

激甚化する自然災害に立ち向かう武器は専門知識だ

集中豪雨による洪水、土砂災害、また大雪など、ここ数年何か災害が起きるとその規模は想像を絶するものばかりだ。
こうした激甚化する自然災害に対応するため、気象庁は、災害発生時に都道府県や市町村の災害対策本部などに対し気象に関する専門チームを派遣し、最前線で防災対応を支援することを決め、5月1日から運用を開始する。

「JETT(ジェット)=JMA Emergency Task Team」とは

気象庁が派遣する気象防災対応支援チームは、職員の公募によって「JETT(ジェット)=JMA Emergency Task Team」と名づけられ、災害の起きた地域の周辺の気象台の職員で構成される。
その地域の特性を理解した隊員の方がより細かい解説が出来ると期待されている。

ある地域で大規模な災害が予見されたり発生した際に、これまでも地域とのホットラインで気象状況のアドバイスは行ってきたが、今後は速やかに支援チームJETTが現地に派遣される。
JETTは被災地では国土交通省のTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の一員として、現場のニーズや各機関の活動状況を踏まえたうえで刻々と変化する現象に対し的確な気象解説を行うことになる。

災害時には心強い存在であり、災害が起きる前から被害を最小限に抑える働きも担っている。

大分の山崩れには2人を派遣

画像は大分地方気象台提供

5月1日からの正式な運用開始に先立ち、4月11日の未明に発生し6人の犠牲者を出した大分県中津市での突然の山崩れの際には、その日の午前に地元の大分地方気象台などから2人の職員を派遣した。
現地対策本部では、大量の土砂による2次災害を防ぐため、現地の天気予報や今後の見通しなど気象解説を行い、自衛隊や警察、消防の救助活動を支えた。その後も市役所に移り、雨による救助活動の中断の判断など支援活動を続けた。

難しい避難を促すタイミング

気象庁は集中豪雨や台風など大雨による土砂災害や浸水、洪水などの危険がある場合には危険度分布などを公開し、地方自治体が災害に備えるための情報は提供しているが、その情報をもとに自治体の市町村長が自らの判断だけで最終的な避難に関する情報を発信するのは容易なことではない。

もし避難開始の判断のタイミングを誤れば、被害を拡大しかねない。

こうした災害時の課題を解決する一つの方法として気象の専門家がより積極的に助言することで、これまで判断が難しかった住民に避難を促すタイミングなど、より適正な判断が出来ることが期待される。

中津市役所で気象解説をする大分地方気象台職員

近年の自然災害の規模や激しさをみれば、この先も日本を襲う集中豪雨や台風などはより局地化、集中化、激甚化し、被害も大きくなる可能性は十分に考えられる。
住民ひとりひとりが災害に備え積極的に情報収集することはもちろんだが、自治体が迫りくる災害への防災体制をいち早く整えたうえで、避難についての的確な情報を発信することはわれわれの命に直接関わるだけに、災害時に自治体に派遣されるJETTの支援活動は非常に重要になってくるだろう。

(社会部気象庁担当 長坂哲夫)

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