ジブリ映画の聖地が無くなる!?防災か観光かで揺れる街

とくダネ!
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  • 『平成狸合戦ぽんぽこ』の聖地が無くなるかもしれない
  • 防災や都市整備の観点から大きな市民公園になる予定
  • 住民の反対もあり、今後落とし所を探っていく

四国・阿波狸合戦の主人公が祀られた神社

ユーモラスなタヌキたちが大活躍する映画『平成狸合戦ぽんぽこ』。

4月5日に亡くなった高畑勲氏が監督を務めた、スタジオジブリの作品だ。

この人気映画の“聖地”として知られ、映画に登場するタヌキを祀った『金長大明神』が今、存続の危機に直面しているという。


この神社はタヌキにまつわる伝説が多い四国の徳島県小松島市にあり、映画にもなった「阿波狸合戦」の主人公のタヌキが祀られている。

そのタヌキは四国三大狸の『阿波の金長狸』。

1956年に、映画会社大映の永田雅一社長(旧・新興キネマ株式會社)が、『阿波狸合戦』大ヒットの礼を込めて寄付した資金を主として建てられたこの神社。

現地に行ってみると、一見タヌキを祀っているようには見えない神社だが、鳥居の手前にタヌキ、鈴の下にもタヌキ、拝殿の中にもタヌキと、確認しただけでも8匹のタヌキがいた。

神社が潰され公園になる?

実は今、この神社の周辺一帯を新たな公園として整備する計画が進められているという。

「今の金長神社(金長大明神)があるのがこのあたりですからね。全く何にも無くなってしまう。大ショックですよ」と完成予想図を指差しながら嘆く服部宏昭さん。

地元の人にとって大切な金長大明神を残したいと立ち上げられた『金長さんを守る会』のメンバーだ。

市民が集めた存続を求める署名は5000人分を超えている。

そんな計画が進められる中、取材をした日も多くの人が訪れていた。

それは、この金長大明神が、タヌキだけで有名な訳ではないからだ。

「金運のスポットってネットで見たんで、それで香川県から来ました」と話す参拝者がいるように、この神社は金運のパワースポットとしても有名な場所だ。

また地元の人が、小さい頃写生をしに来て遊んだ思い出があることを笑顔で話し、服部さんは「昔はディズニーランドがなかったんで、ここがディズニーランドみたいな、子供の楽園でしたね」と当時を懐かしむ。

毎年5月に行われる「金長まつり」に参加する人の様子からもわかるように、地元に愛された神社なのだ。

金長まつり 撮影:東阿波ケーブルテレビ

公園計画はなぜ立ち上がった?

では、なぜ公園計画が立ち上がったのだろうか。

この計画は日峯大神子広域公園(脇谷地区)整備事業というもので、事業期間は2017年度から2023年度まで。

この神社は海から3kmのところにあり、市としては防災拠点にしたいということで、公園の整備計画が考え出されたという。

今年2月に公開された完成予想図に神社がなく、市民から反発の声が上がったというが、小松島市は「あくまで完成予想図で、実際の完成とは異なっている」と説明したという。

自治体はどうするのか?

地元の人にとっても憩いの場所として親しまれている神社は、自治体の都合で取り壊すことが出来るのだろうか?

そこで所有者について調べてみると、“建物”の所有者は複雑な形となっていた。

前述したように、この神社は1956年に大映の社長の寄付を主な資金として建てられたもの。
そして現在は地元の「金長奉公会」が管理している。

一方で、所有者については不明だという。
この神社の登記がされておらず、現在、市が所有者を調査しているということだ。


また、神社の“土地”の所有者を調べてみると、小松島市と公園整備を行う「土地開発公社」のものだということがわかった。

新紀尾井町法律事務所の江口弁護士に、このケースについて尋ねると、神社の建物が誰のものかわからない上で、老朽化により倒壊の恐れがあれば、市の判断で取り壊せるということだ。


このままでは住民と平行線を辿ってしまいそうなこの問題。
今後、どうしていくのか市に尋ると「4つの選択肢」があると説明する。

・同じ場所にそのまま残す
・同じ場所に新しい神社を建てる
・神社を別の場所に移築
・全く別の場所に新しい神社を建てる


いずれの場合にしても、大事な観光資源なので無くすことは考えていないということだ。

守る会は「一番いいのは、今のままで存続すること」「移築や新しくしても本殿だけは残して欲しい」と話していて、都市整備や老朽化の問題を含め、どんな落とし所を両者で見つけていくのか、引き続き見守っていきたい。


(『とくダネ!』ヤマサキ調べました・4月16日放送分)

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