96万人の命をどう守る?「怒りを感じる」ほど遅れている東海第二原発の審査

加藤崇
カテゴリ:国内

  • 原子力規制委の山中委員が東海第二原発の審査打ち切りも示唆
  • 耐震性などを評価する「工事計画認可」書類は4割が未提出
  • 仮に審査合格も、再稼働の時期は不透明

審査の打ち切りも示唆

「審査の継続そのものを考えていただかないといけない」

これは4月11日、原子力規制員会の定例会合で東海第二原発の安全審査を担当している山中委員の発言。
審査の打ち切りをも示唆したものだ。
なぜ、このような事態になっているのか。

「工事計画認可」書類は4割が未提出

東海第二原発は茨城県東海村にある原子力発電所で事業者は日本原子力発電。
同原発は運転開始から40年を迎える11月27日までに規制基準の「設置変更許可」、「工事計画認可」に加えて40年を超えて運転をする「運転延長」の審査に合格しなければ廃炉になってしまう。

しかし、そのいずれの審査も未だに合格できていない状況である。

その3つの審査のうちで大きな問題になっているのが、耐震性などを評価する「工事計画認可」。
様々な解析を行って申請書を出す必要があるが、現在提出されているのは6割ほど。
4割はまだ未提出の状況だ。

その理由の一つにパネルの耐震試験など6項目の試験はまだ行えていないことがあり、日本原電は6月末までに試験を終え、8月末までにすべての提出をするとしている。
しかし、工事計画認可書類は解析結果などをすべて載せる必要があるため、膨大な量になる。

佐賀県にある玄海原発3号機の場合では4万5000ページにも及んでいることからも分かるように、申請書が提出された後も原子力規制委員会による審査が非常に時間がかかるのである。

「対応が極めて遅く 怒りさえ感じる」

そこで出たのが冒頭の山中委員の発言である。

山中委員「この数か月、日本原電の対応というのは極めて遅い。非常に怒りすら感じでいる状況です。これ以上回答がない、あるいは答えがない場合には審査の継続そのものを考えていただかないと、ぎりぎりになって申請書を出されても審査官見れないので。正直、いい加減まともに対応していただきたいなと思っているところでございます」(4月11日原子力規制委員会・定例会合にて)

これはぎりぎりに申請書が出されて、最終的に原子力規制員会の審査が11月27日の期限に審査が間に合わず、東海第二原発の廃炉が決まってしまったときに、廃炉になった責任を「原子力規制委員会の審査が遅かったから」ということにされることを避ける、いわば今後を見据えてあえて公の場で日本原電にくぎを刺すという意味で発言したと思われる。

原子力規制委員会は4月、5月の日本原電の対応が審査を続けるうえで重要としていて、今後、日本原電がいかに対応を早く行えるかが鍵となってくる。
日本原電はメーカーや電力各社から50名ほどの人員を受け入れ、申請書の担当者を増員し対応を行っていて、「引き続き全力で対応します」とコメントしている。

再稼働の時期は不透明

もちろん審査の期限があるからと言って、日本原電にはいい加減な書類の提出は許されず、原子力規制員会もいい加減な審査を行うことは許されない。

それは福島第一原発事故の二の舞になりかねない。

廃炉という期限があるとしても、厳正なる審査が求められる。

仮に期限内に審査に合格しても、東海第二原発の周辺30キロ圏内には約96万人が住んでいることから、避難計画の策定が難航しているほか、規制基準に適合するための工事が2021年3月までかかることから、いずれにしても再稼働の時期は不透明な状況である。

(執筆:フジテレビ 経済部 加藤崇)

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