あの行為もNG!? 働く女性たちが感じる「セクハラ」のボーダーラインとは?

カテゴリ:ワールド

  • 「女性的役割」の強要は、仕事上でも注意したい
  • 男性と同じように扱うのもNG
  • 溝がある男女の「セクハラ」認識、必要なことは?

何気ないつもりの言動が、想定外の大問題に発展する恐れもある「セクハラ」。
特に女性の部下や後輩が増える年齢を迎えたビジネスマンの中には、「何をしてもセクハラ呼ばわりされるのでは…」という不安を抱えている人も多いだろう。
そこで、20~30代の働く女性を対象にアンケートを実施(編集部による独自調査、2016年9月実施)。
彼女らが職場で感じる「セクハラ」には、どのような言動が含まれるのだろうか?

たとえ“仕事”と思っていても注意したい「女性的役割」の強要

今回の調査対象となったのは、職種を問わず主に首都圏で働く約50名の女性たち。軽いものから、明らかに訴えたほうがよいレベルの深刻なものまで、さまざまな事例が寄せられた。

その中で目立ったのが、いわゆる「女性的役割」の強要だ。

「今日はお前がコンパニオンになるんだぞ、と言われ飲み会でお酌と鍋奉行をさせられた。いつまで古い感覚を引きずってるんだろう?」(27歳・会社員)

「飲み会では必ず接待先の男性の隣に座るように指示される。そのせいでいつも気を使って疲れるし行きたくない…」(24歳・事務)

といった宴席での事例は、メディアで取り上げられる機会も多いので日頃から注意しているという男性も多いはず。なかには、仕事の「役割分担」と同じなんだから我慢して当然と思っている人もいるかもしれないが、実際に「セクハラ」と感じている女性がいる以上、自分の身を守るという意味でも注意すべきだろう。

褒めているつもりでも容姿に対する言及は避けた方が安全!?

宴席でのお酌に代表される「女性的役割」強要と並び「これはセクハラ!」として多数寄せられたのが、女性の容姿に対する発言だ。

 「ピッタリめのニットを着ていたら、腕あげてと言われて胸のサイズ当てをされた。最悪!」 (26歳・事務)

「グラビアアイドルの写真と見比べて、○○さんのほうが胸大きいよねと言ってきたから引いた」(25歳・会社員)

「会うたびに安産型だねと言ってくる」(25歳・飲食業)

「親しくなったと思ってるのか、私のことを『おい』とか『ぶす』とか呼んでくるのが許せません」(23歳・会社員)

といった発言は、身に覚えのある男性もいるはず。決して悪意はなかったとしても、女性側からすればボディタッチと変わらぬレベルのセクハラ行為と感じられるそう。親しい間柄と思っている相手でも慎んだほうが無難に違いない。

相手を“女性”として扱うこと自体がNG!?
微妙なボーダーラインとは?

一方、「女性的役割」強要の延長線上にあるとも考えられるのが、以下の事例。

「取引先の人がイケメン高学歴独身のときに、チャンスだからがんばりなよ!と励まされてうざかった」(26歳・会社員)

「もっと女子力あげなよ、と冗談っぽく言ってくる。余計なお世話!!」(28歳・会社員)

「下着メーカーとの商談中だから仕方ないのかもしれないけど、上司に下着をどこで買っているのか聞かれたのはイヤだった」(26歳・会社員)

「上司に頭ぽんぽんされて鳥肌たった。そういうの、求めてませんから!」(27歳・出版)

同じ職場で働く人間として、悪い意味で“女性扱い”されることでプライドが傷つけられるというのは確かに納得できること。とはいえ、正直なところこれらの事例がセクハラに該当するといわれると、「どう接してよいのかわからない!?」と頭を抱えてしまう男性もいるのでは?

個人的には上記の下着の話に出てくる上司は、さすがにちょっと気の毒なように思えてしまうのだが…。

男性相手のようなふるまいも当然セクハラ?? 体育会系ノリには要注意

「女性的役割」強要や悪い意味での「女性扱い」がNGというなら、敢えて男性相手のように扱えばOKなのか?? といえば、それは大きな間違い。

下記のような「体育会系男子」のノリも、女性から見れば立派なセクハラだという。

「飲み会で酔っぱらうとすぐ上の服を脱いで、半裸になる。正直かなり不快です。もう飲み会行きたくないって感じる子もいる」
(28歳・一般職)

「聞いてもないのに、奥さんとの性生活や自分の初体験について語る。想像するのもいやだ!」(26歳・事務)

「風俗店の名前を自慢げにいろいろ教えてくる」(25歳・アパレル)

男性同士であれば、面白ノリで済むような言動…といいたいところだが、最近では上記のような「体育会系」のノリに不快感をおぼえる若い世代の男性も増えている。30~40代のビジネスマンは、あらためて自分の“常識”を再点検する時期に差し掛かっているといえるのではないだろうか。

また、イマドキのセクハラとして注意すべきなのが、
「FacebookでAV女優のイベントをシェアしてくるから、見たくもないのに目に入る!」
(23歳・販売)
のような、SNS経由での言動。

自分としてはごく身近な友達向けな発信のつもりでも、思わぬ範囲まで拡散されてしまうのが恐ろしいところ。TwitterやFacebook、Instagramといったオープンな比較的SNSに限らず、LINEのように閉じられたツールでも十分な配慮が必要になってくるだろう。

やはり大きな溝がある男女の「セクハラ」認識。必要なのは、まじめに向き合うこと

「性に関わって人間性を傷つけること。職場や学校などで相手の意に反して、不快・苦痛な状態に追い込み、人間の尊厳を奪う性的な言葉や行為。性的いやがらせ」(広辞苑)
と定義されているセクハラ。この文章だけ読めば、確信的な悪質行為がセクハラのように捉えてしまう男性も多いだろう。


しかし今回の調査結果を読めば、世の男性の認識と働く女性たちが感じている「セクハラ」との間には、まだまだ大きな溝があることがわかる。

男性と女性が、より平等に互いを尊重しあいながら働ける環境の実現といえば大きな理想となってしまうが、少なくとも互いに不快な思いをしたり想定外のトラブルに巻き込まれたりしないためにも、働く男性たちは、あらためて「セクハラ」問題に向き合う必要があるのではないだろうか。


文=片岡暁乃(清談社)
イラスト=マツモトカズトク

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