第三次世界大戦が始まることはない。米のシリア攻撃は露を意識してかなり抑制されたようだ。

カテゴリ:ワールド

  • 外国人の死傷者が出ないよう配慮した攻撃
  • ターゲットはシリアの化学兵器関連施設3か所
  • ロシア側は大規模なディスインフォメーション作戦等で反撃か

「第3次世界大戦は起きない」

「トランプのシリア攻撃はリスクが無かった訳ではない。だが、第三次世界大戦は起きない。」

 ”Trump's attack on Syria is not without risk – but it's not world war three” 

英・ガーディアン紙ウェブ版の解説記事の見出しである。

外国人の死傷者が出ないよう配慮

実際、米国東部時間13日夜に実行された米・英・仏軍によるシリア攻撃について、アメリカのマティス国防長官は、直後の記者会見で、

「今回の攻撃はシリアのアサド政権を狙ったものであることを強調したい。攻撃を実施するにあたって我々は民間人と外国人の死傷者が出ないよう大変な配慮をした。」
(I want to emphasize that these strikes are directed at the Syrian regime. In conducting these strikes we have gone to great lengths to avoid civilian and foreign casualties.)
と述べている。

また、「現時点では、これ一回限りの作戦である。」
(right now this is a one-time shot)
と、次の攻撃は準備していないことも明確にしている。

マティス長官は”外国人”という言い方をしたが、アサド政権を支援しているロシア軍関係者に被害の出ないよう大変気を使ったということである。

ターゲットは化学兵器関連施設3か所

ターゲットは、
1.首都・ダマスカス地区にあるシリア軍の科学リサーチ・センターで、化学兵器や細菌兵器の研究をしている施設、
2.ダマスカス北部の都市・ホムズ西方にある化学兵器の貯蔵庫で、神経剤・サリンの製造機器もある施設、
3.第2ターゲットの近くにある化学兵器の貯蔵施設と司令部の3箇所で、
地中海にいる海軍艦船とB-1爆撃機から発射された巡航ミサイルが撃ち込まれた模様である。作戦には英・仏の軍用機も参加した。

シリア軍は対空ミサイルを発射して対抗したが、アメリカ側の発表によれば、その被害はない。

 マティス長官の記者会見に同席したダンフォード統合参謀本部議長は、ターゲットの選定に当たって、アメリカ側は「ロシア軍が関わってしまうリスクをできるだけ減らすべく、そういう標的をわざわざ選んだ。」と述べている。


さらに、攻撃の事前通知等をしたわけではないが、ロシア軍との空中での偶発的事故等を避けるために設営されているコミュニケーション・チャンネルを使用したという。
( we specifically identified these targets to mitigate the risk of Russian forces being involved, and we used our normal deconfliction channels -- those were active this week -- to work through the airspace issue and so forth. We did do not do any coordination with the Russians on the strikes, nor did we pre-notify them.)

想像に難くないが、ロシア軍は危険を事前に察知し、必要な安全措置を執ったはずである。

ロシアはディスインフォメーション攻撃か

このアメリカの攻撃に対し、ロシアが軍事的報復に出て、米ロが直接衝突することはない。第三次世界大戦に発展することはない。 

標的のダメージ評価や作戦の詳細については、米東部時間の14日午前、日本時間の14日夜に、ワシントン郊外の国防総省で再び会見が開かれ発表される。
アサド政権の化学兵器製造・使用能力にどの程度のダメージを与えたか等ある程度明らかになるだろう。

反発を強めるロシアは、言葉による非難の他に、プロパガンダ作戦を展開する可能性が高い。どこかにサイバー攻撃を仕掛けてくる可能性もある。


マティス国防長官は「最近の経験に鑑みれば、大規模なディスインフォメーション作戦をアサド政権と支援者達は仕掛けてくると考えている。」
(Based on recent experience, we fully expect a significant disinformation campaign over the coming days by those who have aligned themselves with the Assad regime.)
と予想している。

アサド政権は、先週、ダマスカス郊外で、反体制派拠点に対し毒ガス攻撃を加え、住民多数を死傷させた。アメリカのミサイル攻撃は、この毒ガス攻撃に対する懲罰であった。

会見で、マティス長官は”現時点では一回限り”の作戦と述べたが、もしも、アサド政権がまた化学兵器を使えばその限りではないことも明確にしている。

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