九州ほどの面積が「所有者不明」!いったいなぜ放置されているの?

【のぞき見!リアル とくキュウ】日本各地に増えている「所有者不明の土地」

カテゴリ:国内

  • 相続人が多すぎて処理できない
  • 所有者がはっきりしても連絡が取れない 
  • 「所有者不明の土地」 が様々な問題を引き起こしている

「土地」といえば、都会暮らしの人間からすれば喉から手が出るほど憧れるもの。ところが今、誰のものなのか分からず長年放置されている土地が日本中に増えているという。

そんな「所有者不明の土地」をまとめると、なんと九州に匹敵するほどの面積になるという説もある。

いったいなぜ放置され、どんな問題があるのか。

所有者が分からず…

相続人が誰か分からない

さいたま市のJR大宮駅から徒歩約10分。

高層マンションが立ち並ぶ 好立地なエリアの一角に、突然 金網に囲まれたボロボロの家屋が現れる。

瓦が大きく崩れ落ちた家屋。

がれき一歩手前の外壁には、傾いた郵便受けと停止した電気メーターがかろうじて張り付き、家の中は正体不明の物だらけになっていた。
いわゆるゴミ屋敷のようになっていて人の気配はまったくない

傾いた郵便受けと1985年製の電気メーター

誰も住んでないだけではなく、この家の存在自体が人々の迷惑になっている。

高い位置から通りを見れば一目瞭然なのだが、この家が建っている部分だけ歩道が狭い

歩道の幅は1mほどしかなく、すれ違うにはどちらかが自動車専用道路スレスレを通らなければならない。

取材していると、お母さんが押すベビーカーがやむなく車道側に出てしまう場面にも遭遇した。

実は、さいたま市は17年前にこのあたりの歩道の幅を広げる工事を行ったのだが、この土地だけ買収できなかったという。

この土地の登記簿に書かれたは最も新しい日付は明治30年。当時の所有者が亡くなった場合、法定相続人が相続する権利を持つのだが、120年の間に子供や孫・配偶者など、6世代・数十人に膨れ上がっていた。

さいたま市建設局北部建設事務所用地課・染井洋二課長は「現状の法律だと、なかなか厳しいと思いますね」と話す。

土地の取引は原則として相続人全員の同意を得なければならないため
、市は対処に苦慮していた。

相続人が分かっても対応できない

たとえ協力的な相続人がみつかったとしても問題が解決するわけではない

木造住宅の密集地が多い東京・葛飾区。現在、大地震や火災などに備え道幅の拡張工事を進めている。

しかし、入り組んだ路地の中で、途中まで広がっていた道路が急に狭くなっている場所がある。

問題の土地は、江戸時代から続くという墓地で、近くに住む相続人の1人が管理しているという。

江戸時代から続く墓地

相続人の1人である宮田さん(83)は、自分のお墓もあるこの土地の管理を任され、道路の拡張工事にも前向きだった。

しかし、ここも「所有者不明の土地」とされ、工事の妨げになっている。宮田さんは、あくまでも相続人の1人。他の相続人がとても多いため、宮田さんは土地を提供してもいいと考えているが、調査を続けている区側も全容をつかめず工事を始められない状態だった。

だが、相続人がすべてわかればいいというわけでもない。土地の所有者全員がはっきりしても「所有者不明の土地」になってしまうこともあるという。

所有者が分かっても「所有者不明」

木々の枝が電線に覆いかぶさり「火災の不安」に…

千葉県・佐倉市では、所有者不明の「林」が周囲の人の悩みの種になっていた。

隣の家のベランダには毎日大量の枯葉が舞い込み、木々が張り出した真下の道路には大きな枝が落ちてくるという。また木々が電線に覆いかぶさってしまうため火災の不安も尽きない。

さらに、前出のケースと違って、この土地は所有者がはっきりしているのだが、佐倉市では対応に苦慮していた。登記記録上の所有者は明らかなのだが、登記簿の住所に要請文書をいくら送っても「あて所に尋ねあたりません」(住所が間違っていたり、受取人が住んでいないなどの理由で配達できない)という理由で手紙が返送されるので連絡が取れないという。

そこで、とくダネ!は登記簿に書かれた東京・新宿の住所を尋ねてみた。

大きなビルが建っている…

昔の地図では多くの住宅が建っていたようだが、現在は大きなビルに変わっていた。

登記された昭和58年(1983年)当時を知る人はいないのか?

所有者と付き合いがあったというラーメン店で詳しい話を聞くことができた。

店主:
所有者は確か、男性の方で運送屋さんをやっていたっていう記憶はあるんですけど…

今からおよそ50年前の記憶によると、所有者は当時50歳前後で運送会社に勤めていたという。
その後、ビルが建った一角の人々はどうなったのか?

店主:
今現在、この町内に住んでいるのは私ともう2人ぐらいしかいません。あとはほとんど全国に散らばっている状態です。

このように相続人の行方がどうしても分からない場合、第三者を選任して土地を処分する「不在者財産管理人制度」があるものの、費用・時間・証拠書類の準備などの面から、ハードルが相当高くなっている。

そこで有識者らによる所有者不明土地問題研究会では、放置された土地の調査や、登記の義務化など問題解決にむけて国への提言を予定している。

コメンテーターの経済学者・安田洋祐さんは土地に関連する仕組み自体が古くなっていると訴えた。

安田:
土地の値段がどんどん上がっていた時期は、義務じゃなくても積極的に登記をする機運があったので、ここまで問題が深刻化していなかったと思います。でも今は全国的に地価が下がっているので、所有者・権利者が不明のままになっているケースも増えているのでしょう。一刻も早く対策を始めてほしいですね」


(『とくダネ!』【のぞき見!リアル とくキュウ】10月10日放送分より)

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