スタンプにグループ会話…「+メッセージ」はLINEを超えられるか

携帯大手3社開発のSMS共通アプリ

カテゴリ:ビジネス

  • NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクがSMS共通アプリを開発
  • 最大全角2730文字まで入力可能!ビジネスでのグループトークも想定
  • ITジャーナリスト・井上トシユキ氏「新機能を追加し“LINEは不要”を狙う」

キャリアを超えた「メッセージツール」

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアが、10日、SMS(ショートメッセージサービス)の機能を拡張したメッセージサービス「+メッセージ」を提供することを発表した。

共通アプリをダウンロードするだけで、スマートフォンやタブレット端末でIDやパスワードなどの登録なしで利用できる。

送受信にはパケット通信料がかかるが、月額利用料・ダウンロードは無料。サービスは5月9日から開始される。

電話番号さえわかれば、簡単にメッセージを送信することができるSMSだが、これまで文字制限やキャリア間での送受信がうまくいかないなどの問題があった。

新サービスでは、3社のキャリアを超えて、より長いテキストやリッチコンテンツの送受信が可能となったという。
「+メッセージ」開発の経緯や機能の特徴について、KDDIの担当者に話を聞いた。

スタンプも無料!ビジネスでの利用も視野

ーーアプリによって、SMSはどう変わるのですか?

従来のSMSよりもできることが増え、便利で楽しいメッセージサービスになりました。機能としては、大きく3つのポイントがあります。

1. 電話番号だけで送れる
これまでのSMSと同様に、会員登録などの複雑な手続きは必要ありません。電話帳に登録された連絡先がアプリに表示され、簡単・安心にメッセージを送ることができます。

2. 写真・動画・スタンプも使える
文字数が従来の70文字から、最大全角2730文字まで入力できるように拡大したことに加え、これまで添付できなかったデータの送受信も可能になりました。
スタンプは、アプリ内で500点を提供予定です。うち160点はプリセットで、アプリをダウンロードした時点ですぐに使うことができます。

3.グループでやりとりできる
家族や友人など、複数人でのメッセージのやりとりができるようになりました。1グループにつき100人まで参加可能です。ビジネスシーンでの利用も想定しています。

その他、音声メッセージや地図情報の送受信、既読機能も搭載されるという。

「LINE」との違いは?

ーーアプリ開発の理由や経緯を教えてください。

これまで、EメールではないSMSのメッセージ機能の開発は、各キャリアの範疇で行ってきました。auだとCメールですが、これは電話帳に登録している人との連絡ツールなので、安心で安全です。
しかし、各キャリアによって仕様に違いがあり、文字化けなどの問題が指摘されていいました。
お客様からの声とあわせて技術改新をきっかけに、キャリアの違いによる不便を解消するため、アプリ開発に至りました。

ーーどの社が発案?開発期間は?

開発面での役割分担はありませんが、3社間で機能やデザインなどの仕様をすり合わせる会議を重ねました。

開発期間についての正確な時期はお答えできませんが、発案は「どの社が最初に」というわけではなく、世界的な通信業者の取り組みを鑑みて、仕様統一の新サービス提供に取り組みました。

ーー新機能はLINEと似ているように思われますが、LINEとの違いや利点は?

前提として、従来のSMSと変わらず電話番号だけでやりとりできる「安心・安全」な点を保持しつつ、より便利で使いやすいサービスを提供することが目的です。

LINEに対抗するというより、各キャリアの垣根を超えて仕様を統一し、進化したサービスを使っていただきたいと考えています。


今後は、スマートフォンだけでなく、ガラケーにも対応していくほか、格安スマートフォンを手がけるMVNO(仮想移動体通信事業者)へも要望があれば、対応を検討していくという。

さらに、キャリアごとの差が解消されたことで、利用シーンは個人間だけにとどまらない。
将来的には、企業の各種申し込みや問い合わせなどのサービスへの利用も想定しているという。

LINEは「プライベート用」SMSは「ビジネス用」に!?

そうはいっても、すでにLINEを使っている人に「+メッセージ」はすぐに受け入れられるだろうか。
ITジャーナリストの井上トシユキさんに、新アプリに対する意見を聞いた。

ーー「+メッセージ」リリースを聞いて、率直にどう思われましたか?

競合する3社が協力して、共通のアプリ開発を行ったのは、これまでありそうでなかったことです。
通信料や迷惑メッセージ、犯罪につながる情報など、ユーザーからさまざまな改善要求があっただろう中、3社合同で問題に取り組んだことは、画期的でおもしろい取り組みだと思います。

ーー知らない人からメッセージが届いた場合には、「未登録」と表示されるようですが、個人情報保護の対策は十分だと思われますか?

各通信キャリアは、以前から迷惑メール対策をしてきています。アドレスを変えて送信されるものに対しても、メッセージ内容やアドレスの類似性などから、怪しいメッセージをサーバーでブロックするリストが蓄積されています。
また、AIを使って、同じアドレスや攻撃的なキーワードから推測・判断をさせることで、その精度は向上しています。
これを利用すれば、迷惑メッセージをキャリアのサーバーに留め、ユーザーまで届かないシステムをつくることもできるでしょう。


ーーLINEとの差別化は成功していると思いますか?足りない点、逆にLINEにはない特徴は?

3社は、LINEと同等の機能をプリインストールすることが重要だと考えたのだと思います。
最初から妙にハイスペックにしてしまうと、LINEもすぐに追いついてきて、サービス競争になってしまいます。これは避けたいはずです。
そのため、リリース開始時にはLINEと変わらない機能を搭載しておいて、半年から1年後に新たな機能を追加してくるのではないでしょうか。
まずは、「LINEと同じくらい便利になった」ということを浸透させたいのだと思います。

現状ユーザーにとっては、「ダウンロードする手間をかけて新アプリを使おう」と簡単にはならないかもしれませんが、今後、発売される新機種に「+メッセージ」の機能が備わっていれば、買い替えのタイミングで「LINEは必要ない」と思うユーザーが増えることを狙っているのでしょう。


また、ビジネスシーンでのLINE利用を疑問視する声が挙がっていることに触れ、「情報漏えいなどのリスクもあるので、【LINEはプライベート用】で【SMSはビジネス用】というメッセージツールの使い分けが進むかもしれません」と話してくれた。

(画像提供:KDDI)