「働き方改革」法案はすでに骨抜きだ

結論から先に言うと、働き方改革法案の今国会での成立は諦めた方がいいと思う。

安倍首相が裁量労働制の拡大を外した時点で、片肺と言うか骨抜きになってしまった。

働き方改革には
①  労働者に無理な残業をさせないようルールを作る
②  規制を外して自由に働けるようにする
の2つの側面がある。

この両方がないと経営者と労働者の双方が納得しないのに、すでに経営側にとっては厳しい状況。

片肺のまま無理に通すのはいいが、裁量労働制の拡大は単独で出しなおしても通る保証がない。
 

「お上」の顔色を伺い暮らすのは民主主義社会にあらず

 
 
この記事の画像(3枚)

これに加えて東京労働局の勝田労働局長の失言には驚いた。

社員が過労自殺した野村不動産への特別指導を報道発表する前に会見で「プレゼントがある」と言ったり、記者に対して「何なら皆さんのところに行って是正勧告してあげてもいいんだけど」と言ったり、もう無茶苦茶である。

民間企業は労働局にビクビク怯えながら経営しないといけないのか。
これは脅迫ではないですか。
なぜ加藤厚労相はこの人をそのまま働かせているのか。

権力を使って民間人を取り締まる人は、それをネタに冗談を言ってはいけない。
そんなことをしたら民間人は「お上」の顔色を伺いながら暮さねばならない。

それは民主主義社会ではありません。

こんな人が働き方改革をするのかと思うとぞっとする。
 

今国会での法案成立は諦めなさい

 
 

官僚のゆるみがいろいろ指摘されているが、公文書の書き換えや隠ぺいよりこちらの方がはるかにたちが悪い話だ。

だから安倍首相はとりあえず今国会での成立は諦めた方がいいです。
仕切り直して来年以降法案を出しなおした方がいい。

関連記事:麻生さんはなぜメディアに喧嘩を売り続けるのか

     石破茂氏が語る「昭恵夫人が今語ることの意味」

     石破茂は安倍晋三と何が一番違うのか 

     実労時間1日たった18分!?「長時間礼拝」弊害でイスラム社会にも働き方改革の波

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。