漂う“森友ロス“の行方は… 与野党に春の政局の予感

カテゴリ:国内

  • 森友問題、国会での真相究明はいまだ果たせぬまま
  • 政界のベテランが語った!「真相に迫る方法」とは
  • うごめく与野党…静かなる春政局の号砲鳴る

永田町の空気が一変…佐川氏の証人喚問は何だったのか

財務省の文書改ざん問題をめぐって、佐川前国税庁長官の証人喚問が行われたのが先月27日。
その日を境に永田町の雰囲気が一変した、というか一服した。

この劇的な空気感の変化は、永田町周辺をウロつくと、リアルに感じる。

ここ数週間何が起きていたのか整理したい。
3月末という時期は、政府・与党にとっては、来年度予算を成立させる一年で最も重要な時期だ。

しかし、朝から夕方まで、時に日が落ちてからも続く国会審議のなかで、多くの時間を費やしたのが森友問題だったことは紛れもない事実だった。

野党各党は疑惑解明のためのヒアリングを合同で連日行うなど、政権への攻勢を強めていく。
守勢に立たされたのは、麻生財務大臣であり財務省であり、安倍総理であり、安倍政権そのものだった。

文書改ざん問題は、見る人によって、その問題の責任の所在が異なる、100人いれば100通りの見方も成り立つ極めて特殊な事案だと言える。

関係者が多岐にわたる中で、誰が、どのような意思決定に基づいて改ざんを行ったのかという真相が明らかになっていないことに起因しているとみられる。

衆参両院で4時間超行われた佐川氏の証人喚問で明らかにされたことは、改ざんは財務省理財局の中で行われたということなど、限定的だった。
証言内容が想定内のものだということを確認するための証人喚問だったのか、証人喚問をするための証人喚問だったのか、これにはいまだに答えが出ていない。

 証人喚問をどのように受け止めたのか、様々な関係者に取材した。

「いくら政権の関与がないと説明したって納得されない。ないものをどうやって証明すればいいんだよ」と嘆く政府関係者がいる一方で、あらかじめ用意された原稿を読むように、「さらに疑惑は深まった」と追及姿勢を強める野党関係者もいた。

国会での真相究明という意味では、政府、与野党どっちもどっち、つまり誰も究明を果たしきれていないだろう。

政界引退したベテランはどう見るか

困った時に話を聞きにいく政治家がいる。

記者1年目のころから番記者としてついて回り、時に予想もできない展開に転じる政治の動きについていけない私に、モノの見方を教えてくれた政治家だ。
いまはもう国会議員を引退しているが、その日、こっそりと会いに行った。
彼の考察は明快だった。

「財務省はいま内部調査をしている。司法は捜査している。じゃあ国会は何をしているんだ?何もしてねえだろ。証人喚問は国会の役割ではないんだよ」

 彼が主張したのは、国会でこの問題の真相を究明するための特別委員会を設置せよ、ということだった。

「何も証人喚問が終わってからでも遅くないんだよ。このままだと国会への信頼は失われてしまうよ」

結論から言うと、与党が消極的姿勢を崩さず、現時点で特別委員会などを設置する動きにはなっていない。

喉元過ぎれば・・・ではいけない。

ただ、各党が連日のように個別に財務省の官僚を呼んでヒアリングすることで、どれほどの成果があがったのか、ここもしっかり検証する必要がある。

一方で、財務省は内部調査の結果をいつ公表するかを明らかにしていない。
時間稼ぎをしていると言われないためにも、一定の時間を区切って結果を公表する覚悟が必要ではないか。

あとから違う結果が出るとおかしくなるからと、中間報告に一貫して否定的だが、財務省の内部調査という性格上、その最終報告が完璧なものだという担保をどう取れるのかも見通せていない。

静かな政局、はじまりの予感

最初に述べたように、証人喚問から一週間あまりが過ぎ、永田町の空気は、ガラリと変わった。

予算が成立し、問題追及の主戦場となっていた予算委員会は、しばらく開催されていない。
連日のように首相官邸前で行われていたデモが、少しだけ静かになった。

そして、予算成立を待っていたかのように、民進党と希望の党の一部が新党結成に向けて動き出した。
近く両党の党首会談が行われるようだが、ふたりの党首には是非とも、なぜ今、何のために合流を目指すのか明快に答えてほしい。

野党には、小池新党による混乱の結果生まれた国民不在の排除の論理が、いまだにくすぶっている。

一方の自民党はどうか。

佐川氏の証人喚問が、秋の自民党総裁選の展望、もっと言うと安倍総理の三選に影響するとみていた永田町関係者は多いが、下落傾向にあった内閣支持率はいったん下げ止まった。

いわゆる様子見の時期に突入したと言える。

総裁選は秋に予定されているが、水面下の動きは今後加速するとみられる。

というか、もう始まっている。

ここ最近、派閥を超えた政治家同士が、夜、食事をともにしながら意見交換する場面が極端に増えている。
あきらかに総裁選を見据えた意見交換と互いの意思を確認する狙いだ。

そして総裁選をまだ経験していない大量の若手議員にとっては、自身の党のトップを選ぶ選挙に初めて臨むことになる。
派閥単位で一致団結して臨む総裁選はもう遠い昔。総裁選への号砲が静かに鳴っている。


 【フジテレビ・政治部官邸キャップ 鹿嶋豪心】   

取材部の他の記事