「金正恩はベッドで死にたいと願っている」CIA専門家が語る中国の役割

中国の本心は「朝鮮半島分断の継続」~Part2~ フジテレビ二関吉郎解説委員の解説

カテゴリ:ワールド

  • 「戦闘が始まってしまう恐れは常にある」
  • 「中国を本気で動かせるのはアメリカしかいない」 
  • 「中国は、朝鮮半島分断の継続を望んでいる」

「戦闘状態に陥ってしまう恐れはある」

改めて記すが、朝鮮半島で戦争は起きないと断言するつもりは毛頭無い。誤算は常にあり得る。
特に北朝鮮に「勝てるかもしれない」或は「悪くても引き分けに持ち込めるかもしれない」と勘違いさせるのが一番危険である。
また彼らを追い込み過ぎるのも危うい。

今月初めにワシントンで開催されたシンポジウムに参加したブッシュ政権下のアメリカの六者協議代表ジョセフ・デトラニ氏も「戦闘状態に陥ってしまう恐れはある。」(We could stumble into conflict. )とし、「彼らがコーナーに追い詰められ自分達の生き残りが危ういと感じたら、どう反応するか予測できない。」と懸念を隠さなかった。

 「ベッドの上で死にたいと願っている。」という分析と矛盾しなくもないが、CIAの朝鮮ミッション・センターのヨン・スク・リー氏も「心配なことだが、戦闘が始まってしまう恐れは常にある。・・・北朝鮮の歴史的な懸念は、中国から見捨てられることとアメリカから攻撃をされること。しかし金正恩は今そのどちらも気にしていないようにも見える。」との見解を示している。

「中国が北朝鮮をサポートすることは中国の国益に反するのだ」

中国の話に移る。

このシンポジウムにはCIAの東アジア・ミッションセンターのマイケル・コリンズ氏も出席し、専門の中国の役割について次のように述べた。
「中国は北朝鮮の貿易の90%の取引相手である。金正恩がどう受け止めるかは別問題になるが、中国は北朝鮮にさらに圧力を掛けることができる。・・・中国は朝鮮半島の非核化を支持しているが、それよりも安定を重視している。・・・しかし北朝鮮をこれまでのようにサポートすることが朝鮮半島と地域全体の安定よりも脅威に繋がっていて、中国の国益に反していると認識してくれることを願っている。」

「今回の事態は中国に対してアメリカとどのような関係を望むのかというテストでもある。」

と、紳士的な物言いながら中国に注文をつけ、その手綱さばきに期待を寄せたのである。

「中国の戦略的目標は、朝鮮半島の分断を維持することだ」

同席したヨン・スク・リー氏はもっと直截的で冷徹とも言える見解を、次のように示した。

「歴史的に見ればメリカの北朝鮮に対する攻撃がこのままだと不可避であると確信した場合にのみ、中国は北朝鮮に最大限の圧力を掛けてきた。・・・だからこそ我々の決意を(たとえば演習などの行動で)デモンストレートするのは重要である。中国は北朝鮮の問題をあくまでも北朝鮮の問題に過ぎないと診ている。それを変えるにはアメリカの決意を明確にするしかない。」

「中国の戦略的目標は朝鮮半島の平和と安定ではない。彼らの目標はアメリカを苛立たせ朝鮮半島の分断を維持することだ。(to frustrate the U.S. and maintain a permanent division of the Korean peninsula.)
彼らは緩衝地帯が欲しいのだ。・・・南シナ海での航行の自由作戦も含め、我々の意思を中国にも示すことが彼らの北朝鮮に対する考えを再考させることに繋がるだろう。」

仮に北問題が平和裏に解決して統一国家が誕生したら・・・?

中国に対するシニカルな見方は実は珍しいものではない。

筆者もワシントン駐在時代国務省の研究者らから似たような見解を聞かされたことが何度かある。

仮に繰り返すがあくまでも仮に・・・、北朝鮮の核・ミサイル問題がめでたくも武力衝突なしに平和裏に完全解決して朝鮮半島の分断が終わり、韓国主導でそこに連合国家なり統一国家が誕生するとどうなるか?
中国からどう見えるか?ということを少し考えてみれば良いかも知れない。

その場合西側先進国が中国と初めて国境を接することになる。また在韓米軍が完全に撤収するとは考えにくく、むしろ国境を挟んでアメリカ軍と中国軍が、直接向かい合う可能性が出てくる。
中朝国境の中国側で暮らす朝鮮族と呼ばれる人々の間で、朝鮮半島の統一国家との合流を望む声が高まる可能性も高い。
これは中国の共産党政権にとってその正統性を問われる一大事態になる。絶対に避けたいはずである。
それ故中国は分断の継続を望んでいる、というのである。

またこうはならなくとも逆に、東アジアの他国に核武装ドミノが波及することも望ましくない。

戦争はもちろん誰にとっても利益にならない。
だからデトラニ氏は「中国は朝鮮半島での戦争を望んでいない。アメリカや同盟国が行動起こせば、中国の国益に直結する。だからこそ中国との連携も重要である。」と述べている。
ならばどうなっていくのか?
どうすれば皆の安心に繋がるのか?
またも紙数が尽きかけている。次回、続きをお伝えしたい。

再掲するが、この稿で取りあげているシンポジウムは
https://www.c-span.org/video/?435116-2/national-security-conference-pompeo-keynote-panel-north-korea-china
でご覧いただける。
英語のみだがご興味のある方は是非。
「金正恩はベッドの上で死にたいと願っている」CIA専門家が語る北朝鮮の本音~Part1~はこちら
https://www.houdoukyoku.jp/posts/19916

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