なぜ?イギリスのレストランが世界一に?!

若手イケメン英国人シェフに票が集まる理由 【フジテレビ二関吉郎解説委員】

カテゴリ:話題

  •  素敵な店だが、ナンバーワン評価の理由は?
  •  BBC放送の力は料理の世界でも絶大
  •  日本の食も英語での発信力強化が必要か

“イギリスのレストランが世界一”

この見出しに気付いた時、何かの間違いかなと思った。
12日朝にイギリスのBBCニュースのウェブをチェックしていて発見したのだが、エープリル・フールのジョークにしては明らかに時期はずれだったからである。
 
確かに、イギリスの食の質は最近かなり向上したと断言できる。しかし、”世界一”には正直なところ違和感があった。

ちなみに、筆者は1990年代と2010年代に2回、通算で8年間ロンドンに駐在した経験を持つ。もちろん専門ではないが、彼の国の食に関しては悲しい記憶の方がはるかに多い。

そこで半信半疑に記事の内容をチェックしてみた。

案の定、ミシュラン・ガイドのような専門家による評価ではなかった。トリップ・アドバイザーが顧客のレストラン・レビューを基にランキングを出したところ、2017年のベスト・レストランにイギリスの店が選ばれたということであった。つまり、ざっくり言えば一般の人気投票の結果であった。

BBC放送の絶大なる力は、料理界にも!

だがそれでも、イギリスのレストランが世界一になるのは申し訳ないが納得いかない。過去の数々の苦い体験のせいか、“そんなはずは無い”という思いが消えないまま、行ったことのないその店を検索してみた。

一位になったレストランは、“ザ・ブラック・スワン・アット・オールドステッド(The Black Swan at Oldstead)”。(http://www.blackswanoldstead.co.uk/

イングランド北部のヨークシャー地方の片田舎にある、家族経営のパブ・スタイルのレストランであった。

レンガ造りの建物は結構洒落ている。料理の写真も見るからに美味しそうである。

「The Black Swan at Oldstead」HPより

テイスティング・メニューを覗くと“豆とエルダー・フラワー”、“鶏肉のダンプリング”、“ホース・ラディッシュ・ジュースを絡めた烏賊”、“グース・ベリーと玉葱のロブスター”、“サワー・ブレッドとサワー・バター”、さらには、メインとして、タルボット、ラム、そして、デザート類が並んでいる。

ただし、食材は判るものの、どう調理するかはメニューだけではわからない。が、きっと素材の味を生かすように軽やかに調理するのだろうと想像する。

「The Black Swan at Oldstead」HPより

トリップ・アドバイザーの顧客は86%が最高評価をつけているし、ミシュランの星も一つ獲得しているので、味も、純粋に良いはずである。

値段は、コース料理一人前で£95.00。1ポンド=150円で計算すると1万4,000円強だが、これに飲み物代と消費税20%、サービス料(多分12.5%)が加わるから、最終的には結構な額になる。

まとめれば、きっととても美味しい店なのだろうが、ロンドンからだと片道4~5時間は掛かる場所なので、ヘリでも使わなければ日帰りは無理だし、値段は手頃とは言い難い。行った事もないのにこんなことを言うのは申し訳ないが、やはり、“世界一”とまで評価される理由はわからない。

実際、この店より多くミシュランの星を獲得している店は、イギリスにも、フランスにも、スペインにも、世界には数多ある。東京にも沢山ある。だから、ミシュラン・ガイドを信用するなら、この店が世界一になるのはやはり不思議ということになる。

そこで、トリップ・アドバイザーのウェブに掲載されている写真を改めて眺めてみたら、シェフの顔にぴんと来た。去年だったか一昨年だったか、イギリスで大人気のBBCの料理番組で注目されたあの若手ハンサム・シェフではないか、、、!

「The Black Swan at Oldstead」HPより

なーんだ、そういうことか、、、料理の世界でも、BBCの影響力はとても大きいということなのかも知れない。

和食の素晴らしさを英語でも発信すべし

このランキングについてさらに言えば、25位以内に日本の店が一軒も入っていないのも日本人としては到底納得できない。

この点について、経歴35年のフード・ジャーナリストに意見を訊いてみたところ、「トリップ・アドバイザーはアメリカの会社ということもあって、英語圏の店と英語のわかる顧客にどうしても有利な結果が出る。また、日本の店は言葉の壁のせいで発信力に難がある分さらに不利になる。発信力を強化する為には国の支援がもっと必要になるのではないか」ということであった。

こんなところでも英語力が物を言うらしい。

しかし、同時に「イギリスのレストランが遅れているというイメージはもう過去のもの。専門家が選ぶ別のランキングでもイギリスのレストランのランク入りは今や普通のことになっている」とも指摘されてしまった。

イギリスの食に関する筆者の感覚はもう古いということらしい。だが、この際声を大にして言わせていただきたい。

世界で一番素敵な食の国は日本である。

西洋料理に限るなら、何と言ってもフランスだ。アングロ・サクソンの食の伝統は我々とは明らかに違うのである。

イギリスにある店が“世界一”というのは、どうしても腑に落ちないのである。