「政権転覆が目標ではない」米国務長官が北へ話し合いを呼びかけ

ティラーソンのラウンド・テーブルin北京ーその2

カテゴリ:ワールド

  • ティラーソン国務長官は“REXIT”を全面否定
  • 冷静に“機が熟す”のを待つべし
  • 北の核武装より東アジアの核武装ドミノを恐れる中国

ティラーソン国務長官は“REXIT”を全面否定

「北朝鮮とは会話をしている。」という、この記者懇談でのティラーソン長官の発言に対し、翌日、トランプ大統領が、

「我々の素晴らしい国務長官・レックス・ティラーソンに伝えた。あの小さなロケット男と交渉しようとするのは時間の無駄だと。」
(I told Rex Tillerson, our wonderful Secretary of State, that he is wasting his time trying to negotiate with Little Rocket Man.)

とツイートしたのは日本でも報道されたのでご記憶の方も多いと思う。

北朝鮮との対話の糸口を探っている国務省にとっては、後ろから、ミサイルを撃ち込まれたような気持ちになったかもしれない。国務省とのチャンネルの向こう側に居る北朝鮮の担当者やその上司達、そして、金正恩委員長も、これでは、アメリカ政府の真意を疑うに決まっている。

付け加えれば“Little Rocket Man”という呼び方を「小さなロケット男」と訳したが、そのニュアンスはもっと侮蔑的で、北朝鮮が不快感を募らせるのは自然な反応でもある。

勿論、ティラーソン長官の面子も丸潰れで、この後、ワシントンでは長官の辞任説が流布されるなど、かなりの波紋を引き起こした。

ティラーソン長官の辞任は“Rexit”とも呼ばれる。

長官のファースト・ネーム“Rex”と“exit”を、あの“Brexit”のように、合成したものだが、4日には、ティラーソン長官自身が、この“Rexit”を全面否定する緊急記者会見を開く羽目に追い込まれたのである。

冷静に“機が熟す”のを待つべし

かようにトランプ政権は不安で一杯なのだが、これは本題では無いので、記者懇談の中身に戻る。

日本での報道でも取り上げられた部分だが、注目すべきは“状況は加熱しているので、冷静になるべき。ミサイル実験の停止は、その役に立つ”“目標は非核化であって、政権転覆では無い”という部分であろうか。

“計算違い”や“誤解”から戦争が始まってしまうのは避けようという意図と、北朝鮮に”話し合い“を呼びかける意図が、これらの発言には明確に反映されていることがわかる。

トランプ大統領個人がどう考えているかは相変わらず不安だが、(そして、そう思わせるのが彼の手口なのだが、、、)対して、アメリカの外交当局は極めてまともである。マティス国防長官もティラーソン長官率いる国務省の努力を支持している。

縷々解説するつもりは無いが、現在の“北朝鮮問題”は、軍事力でも、話し合いでも、短期間に解決するのは不可能に近い。万が一の事態への備えをきちんとするのは当然としても、まずは、状況を落ち着かせ、後は、機が熟すのを待つしかない。それが、多分、実情である。

北の核武装より東アジア地域の核武装ドミノを恐れる中国

蛇足になるが、ティラーソン長官の発言で注目したい点がもう一つ。“万が一、北朝鮮が核保有国として存続することになった場合には、中国は、北朝鮮に続く核保有国が、この地域から出てこないことを望んでいる。”である。

これを文字通り解釈すると、中国は、核武装ドミノが、韓国や日本、さらには、台湾にまで波及するのを、北朝鮮の核武装よりも恐れているということになる。中国当局が、この解釈を認めることは決して無いだろうが、多分、これも本音であろう。

ならば、中国は、北朝鮮の核問題の解決に向け、もっと本気になるべきだということにもなるのである。

言わずもがなであるが、北朝鮮の核開発は言語道断、我が国にとって国難とも言える重大な課題である。今後も、折を見て触れて行きたい。


「北朝鮮と直接会話している」米国務長官が北朝鮮問題で明言 
(ティラーソンのラウンド・テーブルin北京ーその1はこちらから)

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