ギャンブル依存症対策を政局に巻き込むな! ~与野党で早期に合意形成を~

カテゴリ:国内

  • 自公の政調会長が作業部会でIR実施法に向け重要論点で合意
  • 一方で、パチンコなど既存の「遊技」による依存症患者を未然に防ぐ手立ては皆無だったのでは
  • 野党は積極的にギャンブル依存症の議論をリードすべき

IR設置個所は「3か所」、入場料は6000円に

4月3日、自民・公明両党の政調会長が参加する、カジノを含む統合型リゾート=IRの実施法に向けた与党の作業部会が重要論点について合意した。
IRの設置箇所やカジノの入場料などが議論となっていたが、IR設置箇所数は「3か所」に、入場料は6000円とすることになった。
法案の行方は今後、与野党による議論に委ねられることになるが、一方で、国会で議論が停滞している課題がある。
既存のギャンブル依存症対策の問題だ。

成人1万人のうち3.6%がギャンブル依存症の疑い

厚生労働省が去年公表した、成人1万人を対象にした実態把握の調査では、ギャンブル依存症の疑いのある人は人口の3.6%。
約320万人に上ることが明らかになった。
このうちの大多数は、公営ギャンブルではなく、「遊技」とされている、パチンコ・スロットに最も投資をしていた。

自公の合意内容はマイナンバーカードで入場管理や回数制限も

これから作られるカジノのために、与党の作業部会が合意した内容には、マイナンバーカードによる入場管理や、日本人は週3回・月10回とした入場回数制限もある。
入場料も6000円徴収することになった。
この入場料は、国民1人当たりのGDPとの比較では、世界一高いレベルであり、その他の規制も世界最高水準だ。
もちろん、IR施設に誕生するカジノは社交場の一面もあるので、高級レストランのようなドレスコードも必要になるだろう。

既存の「遊技」などの依存症を未然に防ぐ手立ては皆無だったのでは

一方で、既存の「遊技」や公営ギャンブルはどうか。政府や一部事業者では規制の動きも出ているが、入場管理は的確に行われていると言えるのだろうか。
依存症を未然に防ぐ手立てはこれまで皆無だったのではないだろうか。
そして依存症患者やその家族を救済する手段は十分なものであったと言えるのであろうか。
カジノをいくら規制をしたところで、既存の「遊技」やギャンブルから生み出された、依存症患者や家族が救済されるわけではない。
そして、これだけの依存症患者がいるとされる状況を、長年にわたり放置してきた責任は政治にはないと言えるのだろうか。

自公に続き野党も立憲など4会派が対策法を提出

自民党の萩生田幹事長代行は4月2日の会見で、超党派で行っているギャンブル依存症の議論について「立憲民主党だけが、議論のテーブルにつこうという意思を示していないのは極めて残念」と苦言を呈した。
確かに自民党・公明党に続き、野党も立憲民主党など4つの会派が対策法を提出するなど、この問題に対する与野党の思いは一緒のはずだ。

しかし、萩生田氏は「ギャンブル依存症対策の法案が成立すれば、次はIR実施法となることを危惧しているなら、それは国民の期待と違う」との皮肉も発した。
つまりIR法案を成立させないために、一部野党は与党側がIRを進めるための前提と言っている、ギャンブル依存症対策を進めないつもりではないか?と言っているのだ。

ギャンブル依存症対策は待ったなしの状況

約320万人もギャンブル依存症が疑われる国民がいて、その家族や関係者も含めた数は計り知れない状況だ。
この対策は待ったなしと言える状況だろう。
野党が言葉だけで行動に移さなければ、それは国民不在の政局劇との批判は免れないのではないか。
萩生田氏は、依存症で苦しむ人や家族を捨て置いてでも、政局としてIR実施法案潰しを優先し、政権交代を狙う姿勢は、国民から受け入れられるものではないと警鐘を鳴らす。

こうした萩生田氏の意見を「違う!」と野党側が言うのであれば、むしろ積極的にこのギャンブル依存症の議論をリードすべきではないか。
与野党は速やかにギャンブル依存症対策を議論し、早期の法案成立を図るべきだ。
それができる環境は整っているし、今国会で確実に法案を成立させることができるはずだ。
カジノに反対する野党は、その上で、IR実施法案の議論を堂々と展開するのも、ひとつの道だろう。
批判だけでなく、成案を得るための議論をリードする野党の姿が見てみたい。


【フジテレビ政治部 平河キャップ 中西孝介】

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