【働き方改革】子どもと離れすぎずに離れたい 都が支援する保育「第三の道」

カテゴリ:ビジネス

  • 東京都が「女性向けインキュベーション施設」に補助
  • 日本が元気になる鍵は、多様性を認める社会を作ること
  • 「理想の働き方は、社会に合わせるのではなく自分で実現していくもの」

東京都が「インキュベーション施設」に補助

働き方改革や時差BIZなどを推進する動きもあり、シェアオフィスが増えている。
そんな中、東京都が補助を始めたのが「女性向けインキュベーション施設」。

インキュベーション施設というのは簡単に言うと「ビジネスアドバイザー付きシェアオフィス」のこと。
いったいどんなものなのか。
そのひとつ≪RYOZAN PARK大塚≫を取材した。

キッズスペース横にあるオフィス

育児型シェアオフィスで”仕事タイム”と”子供タイム”

大塚駅から程近いビルの5階・6階・7階と屋上を使用。
5階が個室型のオフィス、6階が間仕切りのないオフィスで、会議スペースやラウンジ、集中ブースやデッキスペースもある。

そして、7階が「子育てビレッジ」とよばれている育児型シェアオフィス。

フロアの3分の1ほどが子供の遊べるキッズゾーンで、その向かい側に子供を見守りながら仕事ができるテーブルがある。
さらに畳敷きで食事ができる部屋も。

子供と一緒にここにきて、キッズスペースで保育士さんに子供をみてもらっている間は、すぐ横のオフィススペースで自分の仕事ができる。

でも、子供のお世話がどうしても必要なな時はキッズスペースに移動。
いつでも”仕事”から”子供”に重点を移すことができる。

6階にあるシェアオフィス

満員電車は嫌!サラリーマンを辞めて社会改革

オーナーの竹沢さんは、1981年文京区生まれで「人と変わったことがしたい」と思っていた男の子だったそう。

都内の小中高卒業後、中央大学法学部、ワシントンDCのアメリカン大学大学院に進み、日本の大手企業に内定をもらったものの"満員電車のサラリーマン"がいやになり辞退、ワシントンで日本語の情報誌の運営などにあたったという。

そんなとき東日本大震災が起き、様々なバックグラウンドをもった人たちが日本のために何かしよう、と考え動いてくれている姿をみて「震災で疲弊した日本を再び元気にする鍵は、社会がもっと多様性を認めていくことではないか」と思ったそうだ。

また、竹沢さんの母方のご実家はゴムやウレタンの卸を営んでいたため、子供の頃、その職場で遊んだり荷出しを手伝っていたそうだ。
「この子育てビレッジでも、子供たちは働く親の姿をまじかに見て育ちます。子供のころから生活の中で町の中小企業で一生懸命汗水流しながら働く大人たちを見てきた経験はここにも少なからず影響していると思います。」と竹沢さんは話す。

こういった経験から2012年4月に竹沢さんは生まれ育った巣鴨にこの施設を立ち上げた。しかし、周りからは「5年から10年ぐらい早すぎるのでは?子供を連れてまで働くというのは普通ではない 」と言われ、理解してもらうのに時間がかかったという。

また、「認可保育所なら安い時間で長時間預かってもらえて、しかも預けっぱなしにできる。その方が楽かもしれない。ただ、そうでない第三の選択肢を作りたい」とこの施設に懸ける思いを語った。


キッズスペース

「コミュニティーを大切にする」

この「子育てビレッジ」の対象は1~3歳児で、開園時間は月曜~金曜の8時~18時。
1日コース、午前コース、午後コースから選択可能で、1か月51,840円~。

2月の段階で、収入は7組ほどの会費からの30万円。
その一方で、人件費は保育士2名とスタッフの合計80万円程。
赤字運営が続く中で、東京都の補助金が出た。

「あれがなければ施設を閉じていたかも」と話す竹沢さん。しかし、どんなに経営が厳しくても、より多くの補助金がもらえる認可保育園を目指す考えはないという。

その理由について竹沢さんは「認可保育園になってしまうと、こちらの≪ROZAN PARK≫の設立意図に合わない人も引き受けないといけなくなります。あくまでコミュニティなので設立意図に賛同してくれる人達に集まってもらいたいのです」と語った。

「理想の働き方は、自分で実現していくもの」

大手商社勤務のSさんは育休中の3月末までこの施設に子供を預けていた。

育休の過ごし方を考えた時、目の届くところで子供を見ていたいけれど、自分の時間も作りたい、と思っていたSさん。≪RYOZAN PARK≫は、フルタイムで預けるのでもフルタイムで育児をするのでもない、魅力的な選択肢となっていたという。

「このコミュニティーを通して、仕事も育児も多様なあり方を実現しているたくさんの家族に出会えたことが良かったと思います。家事と育児の分担、仕事と育児のバランス、働き方は、それぞれの家族で、またライフステージによって、理想の形は異なるものだと思います。それは、今の社会の中では実現することが難しいものもあるかも知れませんが、社会に自分を合わせるのではなく、自分達で実現していくものなのだと、学ぶことができました」

しかし、会社に復帰する4月からは認可保育所に預けるという。

オーナーの奥様レイチェルさんはイギリス出身。
4月からは7階の「子育てヴィレッジ」で英語教育も始まった。
1人1人が納得して満足できる、さまざまな保育サービス、そして働き方が増えることが望まれる。


【執筆:フジテレビ 経済部 小川美那記者】

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