南北閣僚級会談の陰で、北極海~東・南シナ海で、中・露が航空戦力誇示

外交交渉の裏でうごめくものから目が離せない

カテゴリ:ワールド

  • 3月29日、南北首脳会談は、4月27日開催で合意。
  • 28日、露・中は、それぞれ航空戦力を誇示するような映像公開
  • 韓国にも最新鋭ステルス戦闘機、F-35A

3月29日、朝鮮半島の南北境界線上にある板門店で、北朝鮮、韓国の閣僚級会談が行われ、南北首脳会談は4月27日とすることで合意した。
いよいよ、南北首脳会談、その先には米朝首脳会談も視野に入るのだろう。

だが、外交はテーブルの上だけで成果があげられるものではない。
日本の周辺国では、他国にとって気になる動きを敢えて見せる、という状況があった。

ロシア国防省が、北極近くでのMiG-31戦闘機(参照:上画像)の訓練映像を3月28日、公開した。
ロシア太平洋艦隊の航空部隊は、IL-38対潜哨戒機の編隊を敵の爆撃機と見立てて飛ばし、高高度迎撃戦闘機のMiG-31を発進させた。

マッハ2.5を上回るMiG-31は、現在も世界で最もはやく飛べる実用戦闘機として知られている。
MiG-31の任務は、爆撃を行う前の時点敵の航空機を破壊することで、カムチャッカのMiG-31戦闘機は、Il-78M給油機からの2回の空中給油を行い、北極地方に4000キロ以上のノンストップ飛行を初めて実施した。
ロシアにとって、北極の向こうには、北米大陸があり、そこには、B-52H、B-1B、B-2Aといった戦略爆撃機を保有する米国がある。

中国も28日、長距離爆撃機、H-6K爆撃機(タイトル写真上)を中心とした映像を公開した。

ロシアから導入した最新鋭機、Su-35戦闘機、J-11戦闘機、Su-30MKK戦闘攻撃機など推定される機影と編隊飛行を行っている。
爆撃機とその護衛用の戦闘機、戦闘攻撃機という組みあわせだろう。

特にSu-35(参照:上写真右)は、強力なレーダー、イルビスE(参照:上写真左)を搭載し、いわゆるステルス機とは、逆の発想で作られた戦闘機。
90㎞先の10cm四方の物体も捕捉できるという。
つまり、ステルス性の高い飛翔体の捕捉が目的とも考えられる戦闘機だ。
これらの編隊が洋上を飛んでいる映像が流れており、中国は、南シナ海や、東シナ海の空に多彩な戦闘機、戦闘攻撃機とともに進出する能力を誇示しているようだ。

今年に入って、航空自衛隊は、青森県・三沢基地にF-35Aステルス戦闘機を配備したが、韓国空軍向けF-35A戦闘機の初号機(参照:上写真)が完成し、3月28日、そのお披露目、ロールアウト式典が、テキサス州フォートワースで行われた。韓国は6機を発注済みで、今後40機にまで、増える可能性がある。

日本には、航空自衛隊用のF-35Aの最終組み立ておよび整備用の施設FACO(参照:下写真)があるが、これは、世界に日米伊の3か所にしかないものの一つ。これから、F-35を採用する国が増えれば増えるほど、日本のFACOの戦略的価値は、高まる可能性がある。そうした中で隣国・韓国のF-35Aの整備をどうするのか、日米韓の間で、協議が必要になるかもしれない。

日本周辺の安全保障は、厳しくなるとともに、複雑化している。
ほぼ同日に公表された周辺国の戦闘機・戦闘攻撃機の映像。

これらは、意図をもって公表されていると考えたほうがいいかもしれない。
概観しただけでも、その鞘当、鍔迫り合いが伝わってくるようだ。

劇的な中朝首脳会談、来週始まる米韓演習、来月27日にセットされた南北首脳会談、そして、史上初の米朝首脳会談も視野に入ってきているわけで、外交上の成果が語られる中、むしろ、それだからこそ、上記のような、鞘当、鍔迫り合いが起きていることも注視すべきことなのだろう。

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