先鋭化するNATO 対 ロシア:元スパイ襲撃事件で、露外交官130人以上大量追放

クロアチアでは主力戦闘機MiG-21の代替として、F-16バラクを採用。ロシア離れを意識か

カテゴリ:話題

  • ロシア軍元スパイ重体を受け、史上最大規模でロシア人外交官を追放
  • ロシアではプーチン大統領が圧倒的支持を受け、再選
  • クロアチアの主力戦闘機をイスラエルバージョンF-16C/Dの一つ、F-16バラクに決定

北朝鮮・金正恩政権が、中国の習近平主席と会談するなど、外交攻勢が目立つ中、露対米欧では、外交官の大量追放という事態が起きている。

ことの発端は、2018年3月3日、娘とともにロシア軍の元スパイ、セルゲイ・スクリパリ元大佐が意識不明で見つかり、その後、重体となったこと。スクリパリ元大佐は、イギリスに寝返りロシアで裁判に掛けられた2006年に有罪判決を受けたが、2010年の米露間のスパイ交換で釈放され、その後はイギリスに住んでいた。

イギリス政府は、スクリパリ氏に使用されたのは、ロシアで開発された神経剤だとして、ロシアの関与を指摘。

ロシア政府は事件への関与を否定したものの、イギリス政府が報復として、ロシアの外交官23人を追放したのに続いて、西側の個別の国だけではなく、NATOも「ロシアとの間で設けている政治的な対話の枠組みは維持する」としつつ、イギリスに同調して、ロシア代表部から7人の外交官を追放すると発表。

これで、イギリスだけでなく米国など、20カ国以上の西側諸国及びNATOによって130人以上のロシア外交官の追放になりそうな勢いになっている。

つまり、西側諸国がロシアに対する結束を見せつけた格好だ。

ロシアでは、プーチン大統領が3月18日、開票率70%超の段階で75.9%の得票という圧倒的な支持を受け、再選している。

強力な支持基盤を持つ政権だけに、プーチン大統領は、西側諸国の外交上の挑戦に、安易に妥協は出来ないだろう。

そうした中、旧ユーゴスラビアの一国、2009年にNATOに加盟したクロアチアでは、古くなった旧ソ連製のMiG-21戦闘機(参照:下写真上)の代替としてアメリカのF-16ブロック70/72、ギリシャF-16ブロック30、スウェーデンのJAS39グリペン戦闘機等との比較の結果、3月27日、本家、アメリカのF-16等を抑え、イスラエル・バージョンのF-16C/D戦闘機の一つ、バラク(参照:下写真下)、12機に換えることを決定した。

F-16は、もともと、アメリカ軍の戦闘機だが、イスラエル独自の改造が加えられ、イスラエルが開発したパイソン空対空ミサイルも装備できる。

パイロット訓練用のシミュレータを含め、最初の2機は2020年ころ。残り10機は2022年に引き渡される見通しだ。バラクの初号機は1980年代の機体で、最新鋭ではない。しかし、クロアチアは戦闘機の選定でも、例え古くとも、ロシア離れを優先したのかもしれない。

西側諸国とロシアの対立が先鋭化するなら、日本としても看過できないことだろう。

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