知らないでは済まされない、米中の東・南シナ海での鍔迫り合い

米中の睨みあいは、『貿易戦争』だけではない

カテゴリ:ワールド

  • 3月23日、中国の爆撃機、戦闘機等、沖縄本島=宮古島間を往復
  • 同日、中国・海警局の船が、尖閣で領海侵犯
  • 同日、南シナ海で米軍は航行の自由作戦+洋上でF-35Bステルス戦闘機の運用。中国はH-6K爆撃機に巡航ミサイル搭載

23日、午前から午後に掛けて、中国のH-6爆撃機4機、Tu-154情報収集機1機、Y-8電子戦機1機、それに、戦闘機と推定される機体2機が、東シナ海から沖縄本島・宮古島の間を通過して、太平洋に至り、その後、反転。沖縄本島・宮古島の間を通って、大陸方面へ飛行した。

航空軍事評論家の石川潤一氏によると、このH-6K爆撃機は、安徽省・安慶基地の空軍第28轟炸機師団所属機で、Tu-154は、Tu-154M/D電子戦機または電子情報収集機で北京南苑基地の第34運輸機師団第102航空連隊所属。

それに、Y-8は、Y8G/GX4型機で浙江省・嘉興基地の第20航空師団第58電子戦連隊分遣隊所属機とのことです。

また、中国の戦闘機と推定される機体は、安徽省蕪湖基地の第9航空旅団第9航空連隊所属のSu-30MKK戦闘攻撃機の可能性が大きいとのこと。

爆撃機4機に、護衛の戦闘機2機、さらに、日米の反応を見るための情報収集機という組合わせだろうか。

注目されるのは、第11管区海上保安本部によると、この日午前7時59分頃から8時10分頃に掛けて、中国・海警局の海警2304、2305、2501が、久場島北西から接続水域に入り、午前10時22分から32分頃に掛けて、魚釣島北北西から領海侵入したということ。

海警局は、中国の組織改編で、中国共産党・中央軍事委員会の下にある武警(=武装警察)の一部となることが決まっており、軍と歩調を合わせて行動しやすくなる、と言われた最中の出来事である。

沖縄の上空と南西の海での出来事は、この共同歩調のテストケースなのか、気になるところだ。

また、ロイター通信などによると、アメリカ海軍は、23日、イージス駆逐艦マスティンを中国が領有権を主張する南シナ海・スプラトリー諸島のミスチーフ礁の人口島から12カイリ以内を航行。

いわゆる航行の自由作戦を実施。中国側は、中国海軍の軍艦2隻で追い払ったと主張。25日には、南シナ海で、H-6K爆撃機やロシア製の最新鋭戦闘機Su-35などが参加した「合同戦闘パトロール」を実施したとして、映像も公表した。

H-6K爆撃機の主翼の下には、KD-20と書かれたものがぶら下がっていた。これは、射程2000km以上もあるという空対地巡航ミサイルだが、実弾か、訓練弾かは、分からなかった。

ただ、中国当局としては、各国に見せたかったのだろう。また、Su-35戦闘機は、90km先の10cm四方の物体を捕捉できるイルビスEというレーダーを搭載。強力な電波を出すという、ステルス機とは、全く逆の発想でロシアが開発した戦闘機だ。

さらに、23日、先週、沖縄県ホワイトビーチをドック型揚陸艦グリーンベイなどとともに出港した強襲揚陸艦WASPが、アメリカ海軍唯一の強化型遠征打撃群という部隊の能力の基盤となるF-35Bの運用を海上で実施している模様の映像も公開された。来月から始まる米韓演習に参加するかどうかが注目されている。

沖縄近海から、南シナ海まで、米・中の軍事的動きが集中し、見せつけあった3月23日。ひょっとすると、今回は、中国に対し、米軍の動きは抑止として働いたかもしれない。だが、日本にとって、高みの見物と決め込むには、あまりに近く、あまりに刺激的な内容の一日だった。

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